母の遺産: 新聞小説

著者 :
  • 中央公論新社 (2012年3月1日発売)
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50代になり、自分の老後のことを考え始める頃、母の介護を担うことになった娘。介護の負担をめぐって姉との葛藤、夫の不倫も重なり、母はいつ死んでくれるのかと考える自分に気づく。

日本の高齢化社会ではよくある介護の苦悩話。だが、比較的早く母が亡くなってくれた主人公は幸運な方だろう。遺産もあったし、夫や姉も自暴自棄にならず、社会性を備え、常識をもって行動してくれた。

主人公は母の死によって、将来を少し明るく感じはじめる。誰もがうらやむハッピーエンドではないが、長々と修羅場が続くことに比べれば相当マシだ。老親の死によって、穏やかで平和な老後を期待することは皮肉でも親不孝でもない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 感動モノ
感想投稿日 : 2022年4月14日
読了日 : 2022年4月14日
本棚登録日 : 2022年4月14日

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