とても楽しみな Japan SF
なんせ最高の作者さんたちが集まった感じだ。楽しみだなぁ。
まずは「神星伝(冲方丁)」。木星が舞台のアクションだと思うのだが、やたら勝手な設定が多く、しかもそのほとんどが漢字だという読みにくさ。パス。
次の「黒猫ラ・モールの歴史観と意見(吉川良太郎)」は、はじめての作家さんかな。いいタッチなんだが、イマイチスッキリしない。
そして期待の「楽園(パラディスス)(上田早夕里)」は瀬名秀明風。オチがわかりにくく、少し残念。
さらに「チャンナン(今野敏)」は、タイムパラドックスものだが、むしろ格闘系物語だと感じた。SF 色は極めて薄い。
複雑な割りにはさっぱりの「別の世界は可能かもしれない。(山田正紀)」は期待外れ。
これまた好きな作家さんの「草食の楽園(小林泰三)」。宇宙コロニーが舞台ってことで大いに期待したが、平凡な展開とオチには閉口。
大期待の「不死の市(瀬名秀明)」も複雑系。ファンタジーだが、ややこしい。
さらに期待の「リアリストたち(山本弘)」は、アイの流れで読みやすく、かつおもしろい。シンプルで好きだな。
そして、本作一番は「あの懐かしい蝉の声は(新井素子)」。軽快なタッチでインターネット時代の盲点を綴る。いい作品。
もっとも期待の「宇宙縫合(堀晃)」は期待通り。ディックの流れに梅地下テイストをふりかけたタイムパラドックス作品。いいなぁ。
ロボットになりたい技師を描く「さよならの儀式(宮部みゆき)」は瀬名流だな。読ませる文章はさすがに一流小説家さんだ。
イマイチ感性があわずに「陰態の家(夢枕獏)」は流し読み。
全体的には期待外れだが、大好きな作家さんの作品に触れることができて満足だ。
- 感想投稿日 : 2013年5月11日
- 読了日 : 2013年5月14日
- 本棚登録日 : 2013年5月11日
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