短編復活 (集英社文庫)

  • 集英社 (2002年11月20日発売)
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著名な作家さんによる渾身の短編アンソロジー。

 「回想電車(赤川次郎)」はファンタジックなお伽話。「角筈にて(浅田次郎)」も同じ味だ。しかし、「特別料理(綾辻行人)」はラスト一行の怖さがハンパじゃないホラーだ。次の「蛍ぶくろ(伊集院静)」はダラダラ感が先行してパス。

 気を取り直して「岩(北方謙三)」。ハードボイルドタッチの作品だが、テーマが見えず面白くない。SFタッチの「猫舐祭(椎名誠)」はユニークな作品。きれいな「38階の黄泉の国(篠田節子)」については非現実感満載だけど、これまたテーマが見えない。

 逆に現実感たっぷりの「プレーオフ(志水辰夫)」はハッピーエンドが爽やかないい物語。苦手な漢字率が高い「苦労判官大変記(清水義範)」は義経弁慶パロディ。ひねりなく単純。

 漢字率が高めで苦手な「梅試合(高橋克彦)」はほぼパス。ハッピーエンドの「盛夏の毒(坂東真砂子)」はまぁまぁ良い感じ。

 おもしろかったのは「超たぬき理論(東野圭吾)」。サッパリのオチだが、途中までの乗りが良いのだろう。

 既読の「さよなら、キリハラさん(宮部みゆき)」は味ある作品だ。でも宮部作品にしては、少しばかりうすっぺらい。人物が平面に感じるな。

 そさて、普通の日常「キャンパスの掟(群ようこ)」は、展開も流れもふつうのお話だ。テーマが見えない。次も意味不明の「いるか療法(山本文緒)」。最後のホラーはラストに驚愕の「青の使者(唯川恵)」。

 まぁまぁ良い感じのアンソロジーかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: アンソロジー
感想投稿日 : 2013年2月7日
読了日 : 2013年2月15日
本棚登録日 : 2013年2月14日

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