偶然の祝福 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2004年1月23日発売)
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どこにいるのかわからなくなってしまったものたちの物語を「私」は紡ぐ。

糸を紡ぐ、言葉を紡ぐ、命を紡ぐ……
紡ぐこと、それはまるで祈りのようだ。

私が失ったリコーダー、万年筆、弟、伯母、恋人。それら「失踪者」たちと過ごした特別な時間は、あまりにも突然に消え失せ、私に深い喪失を与えてしまう。

深い喪失は私のなかで沈黙し、言葉として生まれ変わるときを静かに待つ。やがて私の一部となった喪失は物語という形になって蘇生されるのだ。

誰かの物語は私の物語となる。

愛と祈りをこめて。
失ったものたちの物語を私が紡ぐ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学:著者あ行
感想投稿日 : 2020年10月9日
読了日 : 2020年10月9日
本棚登録日 : 2020年10月9日

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コメント 7件

いるかさんのコメント
2020/10/09

地球っこさん

こんばんは。
小川洋子さんの小説はすごく文学的で良いなぁと思う物と、ちょっとついて行けなくなる物と両極端に思うのですが、この本は地球っこさんのレビューを読んで、是非読みたいと思いました。
いつもありがとうございます。。

nejidonさんのコメント
2020/10/09

地球っこさん、こんばんは(^^♪
レビューを読んで思い出したことがあります。
私ね、小川洋子さんか梨木香歩さんにノーベル文学賞をとってもらいたいのですよ。
何故って、愛と自己再生があるでしょう?
社会的に良い影響を与えたものが選ばれるなら、間違いなく範囲内だと思うんですが、どうでしょう?
翻訳事情が分からないのでこれ以上はなんとも分からないのですが、海外でも読まれているといいですよね。
ところで平安貴族嫉妬と寵愛の作法は地球っこさんとマリモさんにむけて載せてみました。
ビギナー向けではありますが、楽しかったですよ・(笑)

地球っこさんのコメント
2020/10/09

いるかさん、こんばんは。

小川洋子さん、分かりますよー。
「博士の愛した数式」のような優しい物語から、毒を含んだものまでありますよね。
エッセイの小川洋子さんは、また雰囲気が違ってびっくりします(面白い方向です)

この物語は、その中間あたりだと思います(中間……てのは余計難しいですね 笑)


合わないわーと思ったら、無理せず中断していいと思いますよ(*^^*)
わたしもそうなので 笑

いるかさんのコメント
2020/10/09

お返事 ありがとうございます。
博士の愛した数式 など、素晴らしいと思うのですが、ホテルアイリスはどうにも理解ができませんでした。
私が未熟なのかもしれませんが。
でも、この本は読んでみたいと思います。
ありがとうございます。

地球っこさんのコメント
2020/10/09

nejidonさん、こんばんは。

ノーベル文学賞、たしかに!
小川洋子さんと梨木香歩さんがとられたら嬉しいです。
大好きな作家さんたちですからo(>∀<*)o

愛と自己再生、なるほどです。
とくに自己再生という言葉に、はっとしました。

「平安貴族嫉妬と寵愛の作法」面白そうだと思ってました!
なんとマリモさんとわたしに向けてくださってたなんて、嬉しいかぎりです(〃▽〃)
読んでみます、ありがとうございます!

今、ウェーリー版「源氏物語」を読んでいて平安時代へ毎夜トリップしているところでーす。

地球っこさんのコメント
2020/10/09

いるかさん、ホテルアイリスは毒気が強かったですよね(>_<)


ホテルアイリスと比べれば、まだ大丈夫だと思いますよ。

わたしは小川作品は「余白の愛」かロマンティックでいちばん大好きです(*^^*)



いるかさんのコメント
2020/10/09

ありがとうございます。
是非それも読んでみたいと思います。
ありがとうございます。

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