それからはス-プのことばかり考えて暮らした (中公文庫 よ 39-1)

著者 :
  • 中央公論新社 (2009年9月25日発売)
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「ただいま」「おかえり」
今日も「ちょっとした不運」と「ちょっとした幸運」がこの町に住む人々の間で繰り返されながら日が暮れていくようです。何気ない毎日が愛おしくて仕方がなくなる一冊です。

何かに夢中になったり、何かを失くしたり、何かを祈っている……そんな毎日のなかで、ふと振り返ればそこにはたくさんの「そういえば」が転がっていました。もう思い出すこともできない「そういえば」が増えていくことに何だか寂しさを感じてしまうのは、あの頃の自分には戻れないことに気づかされるからかもしれません。でも、その積み重なったさきに「今」という時が刻まれています。そんなあたりまえのことが、実はいちばん忘れちゃいけない大切なことなのでしょう。

この時間を忘れずにいること。
そんな時間がひとにはあるのです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学:著者や行
感想投稿日 : 2019年6月12日
読了日 : 2019年6月12日
本棚登録日 : 2019年6月12日

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