宮部みゆき、初読。これは「初毒」かも、と思うほど読みやすく、次の宮部みゆきを書店で探してしまう自分の姿が想像できる。
エンタテイメントの一級品。
決して作者が同じ年代だからツボにはまったのでは無いと思う。
なぜ彼女の作品が次々と映像化されていくのか、これで合点がいった。
映像系なのだ。
プロローグ以降の話のテンポ、組み立て、文体のリズムがことごとくツボにはまる。
まるで120bpmで刻まれた新しい映画のよう。
本を読んでいるというよりも、むしろ脚本を読んでいる感じ、さらに言えばテレビドラマを見ている雰囲気。
活字の先に常に映像がしっかりと見える本でした。
秘密のひとつはカメラ。本作では探偵事務所の犬(元警察犬)にカメラがセットされ、その目線からストーリーが語られる。
だから感情移入しやすく、地の文で描かれる視点との差異が際立つ。
もうひとつの秘密はキャラ立ち。長編推理小説だからそれなりの人数が登場するが、それぞれのキャラが立っているおかげで見分けがつきやすい。
難癖をつけるとすれば、あまりにもキャラが一本立ちしているので、時にマンガのように薄っぺらい感じがしてしまうことくらいでしょうか。
性格がはっきり色分けされているので、その人物が次にどんな行動にでるかが先読みできてしまう。
時にデジャヴを追いかけているような気持ちになるのもそのせいなのかも知れない。
まったく関係の無いように思われる2つの事件が終盤に結びつく。社会問題も含めてテーマは重いけれど、軽快な筆運びで、胃にもたれることも無くスイスイと読めました。
ただ、最後の父親の告白は無理矢理感があったけれど。
ま、何をどう言おうと面白かったものは面白かった。
- 感想投稿日 : 2011年11月24日
- 読了日 : 2011年11月24日
- 本棚登録日 : 2011年11月3日
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