- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000006118
作品紹介・あらすじ
領域を超え、規模を拡大して進展する学術研究には、つねに活性化をおこたらない組織が必要である。著者は京大人文研時代から民族学博物館長の現在にいたるまで、さまざまな研究組織の現場でリーダーシップをとってきた経験から、学術研究の場面に「経営」という観点を導入し、斬新な研究組織論と新しい研究者像を提示する。
感想・レビュー・書評
-
梅棹忠夫氏は民俗学、人類学、文明学の分野で数多くの業績を残されているが、本書からは研究管理者、指導者、教育者としての先見性や卓越性の一端を垣間見ることができる。優れた業績を残しつつ多くの後進を育成した研究者はおそらく多数いると思うが、梅棹氏のように学術の発展や後進の育成を促す仕組みを構築し、システムとして残した方は限られるのではないかと思う。
そのシステムの中核をなすのが国立民族学博物館(みんぱく)であるが、初代館長としての訓示「国立民族学博物館における研究のありかたについて」は言葉に重みがある。梅棹氏の主張は今でこそ「当たり前感」があるが、この当時の人文系研究分野としては先進的かつ画期的だった一方、おそらく反発も相当あったに違いない。みんぱくは何度か展示を見に行ったことはあるが、研究所という視点で見学に行ったら、今まで気づかなかったものも見えるかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
博物館の研究者の目で綴った講演録・随筆集であった。
いわゆる研究支援について調べていて実務的な内容を期待して
他キャンパス図書館から取り寄せてみたが、
ちょっと思っていたものと違った。純粋に読みものとしてはおもしろい。
・雑用ができなければ一流の研究者とは言えない。
・研究者はまず(人文系であっても)学位を取るように。
ということが述べられている。
研究上の組織、調査活動、アウトリーチ、広報、シンポジウム、
学会運営の日常が描かれている。