報道は何を学んだのか: 松本サリン事件以後のメディアと世論 (岩波ブックレット NO. 636)
- 岩波書店 (2004年10月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (71ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000093361
感想・レビュー・書評
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松本サリン事件を知らない世代も増えてきている。この事件ほど、報道被害が浮き彫りになった事件はないんじゃないか?いや、本書が出版された同じ年に起きた、鳥インフルエンザの問題や、イラクの人質事件。前者は問題を起こした会社の会長夫妻が自殺したのですが、座談会の発言者は、他の要因もあったかもしれないとしたうえで、報道被害の実例として取り上げているし、イラクの人質事件は当の人質にされた人たちへのバッシングが相当ひどかった。しかし自分も本書を読むまで、忘れていました……。
松本の事件から本書出版時で10年が過ぎ、メディアのあり方を問う内容ですが、ちょっと気になったのが、メディア関係のある出席者が当時を振り返り、いち早く容疑者にされた人の自宅の間取りをわざと少し間違えてフリップでテレビ放映し、他局が同じように間違えて出すかチェックしたという話。
週刊誌などでよくやることらしいんですが、これって本書の後に出てくる、”早さ”だけの追求でいいのかということと、「間違い」をテレビ放送した、しかもこれを他の座談会の出席者と笑いながら話していたことで、とても違和感を感じました。
そういうこともあり、別の出席者の、この本も結局はメディアの「ガス抜き」にしかならないのではないか?が身に染みてしまうのです。もちろん、実行性のありそうな提言もなされています。でも出席者も懸念を示していますが、メディアの世界と受け手との距離を感じました。それは結局現代も進行していることなんです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
案外、松本サリン事件を覚えていなかった自分に驚きました。
また、松本サリン事件と地下鉄サリン事件を同じものと勘違いしていたことに気が付きました。
きちんと松本サリン事件や地下鉄サリン事件のことを知りたいです。
しかし、最近のニュースはコメンテーターが多く、また中途半端な報道が多いこと。
この本はそんなメディアのあり方に疑問を投じ、その解決策を軽く考えています。