- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000246323
作品紹介・あらすじ
イギリスの作家ロバート・ウェストールの作品集。大戦下の少年たちの友情と恐怖を描く「ブラッカムの爆撃機」の他、「チャス・マッギルの幽霊」「ぼくを作ったもの」の2編に、リンディ・マッキネルによる「ロバート・ウェストールの生涯」と宮崎駿のカラー書き下ろし「タインマスへの旅」を収録。
感想・レビュー・書評
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宮崎駿さんの絵から始まり、絵で終わる!
最高の1冊でした。
戦争、飛行機…と内容的にも難しいかな…と思っていたのですが!さすが金原瑞人さんです!読みやすい!の一言につきます。
私も読みながら恐怖を体験してしまいました…
みんなが乗りたがらない飛行機。機内でいったい何が起きているのか…
これはちょっとしたホラーだと思います。
難しい描写も、宮崎駿さんの絵で、「なるほど〜」
とまた理解が深まります!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
宮崎駿の絵が本当に素晴らしい
彼が何か共鳴する作家らしいが初めて読んだ。
戦争の話、どこか身近で、結構怖い、昔のようで、今につながっていて、悲しくて、怖くて、切ない、今までにない戦争の話だった。
このあとどうなるのかとドキドキさせられる。
読みやすい、面白い本だった。
ところで、この「場所」って、あの「場所」かな。 -
最初に読んだウェストール作品。宮崎駿氏がシンパシーを寄せる作家。
子供目線の戦争体験談(小説)は、まるごと悲惨というわけでもなく、うまく形容できない微妙なバランスでかろうじて保ててるような脆さを感じるが、この本はとりあえずホッとできる結末の話。 -
パンチ力はんぱねえ。
あえて戦争の悲惨さを訴えてる内容じゃないのに、語り口は淡々としてるのに、めっちゃくちゃ怖かった。
そして臨場感。自分、雲の中を飛んでる飛行機の中が感じられた。エンジンの音や張り詰めた空気や。
『永遠の0』読んだ人に貸してあげたい。 -
以前、夜間の爆撃で炎上する町と子どもたちという陰鬱な表紙で刊行されて、品切れ絶版になったものを、この作品に入れ込んだ宮崎駿さんが、出版元を福武書店から岩波書店に替え、最初と最後に著者ウェストールの故郷タインマスへ著者を訪ねての旅を漫画として描いたものを追加するというとんでもない肩入れをして、復刊にこぎつけたもの。
ジブリのアニメの中の飛行機乗りの心に触れる部分の肉付けに貢献した何冊かの本の一つであることは間違いないだろうと思うが、これは児童文学として書かれた割には、かなり大人向け。戦争の生々しさ、残酷さがそのままにでてくるので、小中学生にはやや内容が重すぎるかも。 -
貧弱なアルミ管の骨組みに布が張ってあるだけのウィンピー…本名はウェリントン爆撃機。
テントみたいな爆撃機に乗り込む副操縦士のマット、ナビゲーターのキット、機首銃座のポール、尾部銃座のビリー・ザ・キッド、そして無線士のゲアリー。
機長は中年のアイルランド人機長・タウンゼンド大尉。
通称「親父」。
高校出たての新米ばかりながら、その親父に率いられ、しょっちゅう笑い、そのために幾度もの出撃から生還してきた彼らは、クレフェルト爆撃の夜、後に「ブラッカム爆撃機事件」と呼ばれる事件の発端となった、友軍によるドイツ軍・ユンカース八八型機撃墜を目撃。彼らと変わらぬ年頃の、若いパイロットの断末魔の叫びを聴く。
そして、次の出撃。恐ろしい死の連鎖が始まった――。
表題作『ブラッカムの爆撃機』ほか、『チャス・マッギルの幽霊』『ぼくを作ったもの』2編、宮崎駿監督書下ろし漫画『タインマスへの旅』を収録。 -
宮崎駿関連でこの本にたどり着く人も多いだろう。
そこを切り離して考えてみても、非常に良い本だ。
少年の感性をくすぐる十分な物語性。
話の展開のスピードと、情景、流れる時間、時代。
表面だけの薄っぺらい本とは出来が違う。
周りの少年にぜひ! -
この本は、宮崎駿さんの『折り返し点』で知りました。
本書は当初、福武書店から出版されていたのですが、絶版になってしまうことを知った宮崎さんが、他社で再販と言う、絶版の危機から救ったという作品。
再販に当たり、ご自身で紹介文や、表題の爆撃機のイラストなどを新たに書き起こし、少しでも多くの人に読んでもらえるよう、とても尽力されています。
この爆撃機のイラストのおかげで、本篇での機内の様子や乗組員の位置関係などが非常に分かりやすくなっています。
内容は結構ハードな感じで、「これが児童文学?」という感じすらしました。大人が読んでも十分に堪能できると思います。
「人生って残酷で酷いものだけど、それでもやっぱり勇気を持って生きて行かなきゃいけない」というようなメッセージが込められているような気がしました。
活字が大きく、ページも少ない(全部で220頁程)ので、気軽に読めます。
本書には表題である『ブラッカムの爆撃機』(中編)の他、『チャス・マッギルの幽霊』(短編)と『ぼくを作ったもの』(掌編)が収録されているのですが、個人的には『ぼくを作ったもの』が最も印象的でした。
今後も折に触れてウェストール氏の作品は読んで行こうと思っています。良い作家を知ることができました。 -
中篇1本と、短編2本。
すぐに読めるが、どの作品も厚くて濃くて、冴え渡る臨場感やスリルで、とても大きな読書体験として感じられた。
ブラッカム~・戦争の臨場感にあふれている。
恐ろしい。そして、親父、かっこいい。
仲間たちとの空気もいい。
戦争への乾いた語り口と、湿った事実のバランスが印象的。
チャス・マッギル~・これぞ真骨頂だと思う。
すごい話。時をあざむいてやった、しかし、時の仕返しもあった。という文が印象的。宮崎氏の前書きをみて、こういう意味だったのか、とおぼろげに理解した。
ぼくを作ったもの~・読んでいたら激しい既視感におそわれた。中学校の教科書でこれに既に出会っていたのだった。自伝だろうか、これもまた深く、温かく、戦争への少年のリアルに満ちている。