あいまいな会話はなぜ成立するのか (岩波科学ライブラリー)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000296953

作品紹介・あらすじ

日常会話は遠回しな表現でみちているにもかかわらず、聞き手は話し手の意図を直ちに理解する。なぜ言葉になっていない意図を推測できるのか? なぜ推測はほどほどでおさまるのか? なぜ遠回しな表現をするのか? 3つの不思議を念頭に、哲学・言語学・心理学の代表的理論から、現代の脳科学にもとづく成果まで紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • AIと会話ができるのかどうか、という点も含めて昨今度々話題になる「会話がどのように成立しているのか」というところを解説した本です。

    現状、会話が成立しているように見えるAIとのやり取りは、膨大な量の「入力」と「出力」のサンプルから「それらしい」会話の返答を選択して表示しているに過ぎない(会話の内容をAIが理解して返答しているのではない)ということはよく知られていると思いますが、「文脈を読む」「言葉の裏側のメッセージを読む」ということがどのような仕組みで行われているのか(私たちが意識しないレベルで、どのようなシステムが機能して会話が成立しているのか)という部分がわかりやすく解説されていると思います。

    ただ、最終章で現在の研究状況が語られる部分では、具体的な心理・脳のテストやその結果など少し専門的な部分が多く、それまでの観念・概念をもとにした解説から離れたことによる「読みにくさ」「わかりづらさ」を感じました。
    前半部分をとても興味深く読んでいただけに残念にも思います。

  •  面白いタイトルなのだが、まじめに混まなく分類していく類の本なので、読み物として読みやすく面白いかというと、どうだろう。
     ただ、書き起こすとなぜ会話が成り立っているのかわからないようなやりとりが、こういうことだったのかー!ってなる。そこはとても面白い。
     難しい所はさらりと読み流し、気になるところを楽しんでしまいました。すいません。

     会話の意味はコンテクストで……ということになると、思い出すのが平田オリザ氏脚本、あの、舞台で見る分には意味がわかるのに脚本だけを読むとよくわからない感じの背景には、こういうことがあるのか……と。
     言語について心理学の研究もチェックしなければというけれど、ぜひ平田オリザ氏とのコラボもして欲しい。難しいことを、わかりやすく演劇で見てみたい。

  • 岩波のこのシリーズはハズレが多い?前も同じような言語・コミュニケーションに関するもので読むんじゃなかったと後悔した。この本もタイトルはとてもキャッチ―で読んでみようという気持ちになるが、こんなことも言われているしあんなことも言われていると知見を整理しながら新しい理論を組み立てるのかと思ったら急にfMRIの話と脳の局在・ミラーニューロンの話になったのに機能的結合の話はしていない。結局のところ何が言いたいのかよくわからなかった。今後はタイトルだけで買うのはやめようと思うのだった。

  • 「あいまいな会話はなぜ成立するのか」とのタイトルですが、ちょっといまいちよくわかりませんでした。そもそも、「コーヒー飲む?」「明日、朝が早いんだ」なんて会話は噛み合ってなくて、意味不明だ。ちゃんと聞かれたことに答えろよ。こんなん、Yes か No の2択問題やんかよ、と思う私には難しい本だったのかもしれません。笑
    終わりの方で、脳内のどの領域が働いているのか調べていますが、その辺は結構面白かった。生きてる人の脳内を調べるのは大変ですよね。

  • ・誘拐犯が子供を殺すと直接は言わないのは?
    殺害予告をせず罪を減らすため?

    現代の言語学は演奏=発話ではなく、
    楽譜=発話の背後の共通点を研究

    高次の理解 サリー・アン課題/疑信念課題
    3歳以下、自閉症を除き後天的に獲得している能力

    かもしれないという可能性の判断の部分が多い
    論理の飛躍
    説得力に欠ける、屁理屈

    推論がほどほどで止まるのはなぜか
    非効率な間接的表現を好むのはなぜか

    情緒的
    全部言わずとも察してもらえるのは、
    話す側には効率的?
    敵が来たときに役立つ

    受け手には非効率?
    イエスノーをすっ飛ばして理由だけ答えると、
    情報量が増える
    理解するコストをかけてでも価値がある

    相手の「顔(面目)」を潰す危険度
    親しさ+上下関係+文化
    ただし、親しい相手に敬語を使うと喧嘩腰になる

    ゲーム理論
    対立するそれぞれが
    自分の利益が最大になるよう行動する

    警官に賄賂をほのめかすとき
    間接的表現が最も利益がある

    人間関係の種類
    分かち合い、支配、等価交換

    市場価値は需要と供給で決まるのに、
    買い手はいつも同じ値段で売られていると思っている
    値上げすれば激怒する
    これは人間関係に相反する

    言語にはデジタルな特徴がある
    切れ目がある、言った言葉は消せない
    表情や仕草は曖昧にできるが、
    言葉はうやむやにできない
    言葉もはっきりさせたくない
    場の空気を壊す可能性がある

    脳の神経細胞の活動電位はデジタル
    0か1、電圧と持続時間は一定で頻度が高くなる

    fMRI
    酸素の有無による、
    鉄分であるヘモグロビンの磁石へのなりやすさを測定

    推論が収束するのは
    連想ゲームで関連する語は
    神経回路の安定状態へと移行する
    関連していないものを結び付けるのは暴走状態である

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1356581

  • あいまいな会話について、心理学や脳波や言語学から説明した本である。
     あいまいな会話で失敗したという経験を卒論にする場合にはやくだつかもしれない。

  • キャッチーなタイトルだが、言語と心の理論を分かりやすく解説している。

  • 3つの不思議:文脈の検索の不思議/推論の収束の不思議/間接的表現の存在の不思議

    協調の原理(ポール・グライス)/関連性理論(スペルベル&ウィルソン)/ポライトネス理論(ブラウン&レビンソン)/戦略的話者の理論(ピンカー)

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