事典 和菓子の世界 増補改訂版

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000612593

感想・レビュー・書評

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  • タイトル通り、まずは日本各地の和菓子が五十音順で紹介される。その他に和菓子のモチーフになる動植物や四季の風情、素材用語などなど。イラストや写真もほどよく挿入され、目でも楽しく読める。

    スーパーなどで販売されてるものも紹介されているが、名店と言われてる所でしか買えないものや、仕事柄「名前は聞いたことがある」ようなものの由来など、知るとちょっと得した気分になる。

    世界各国に様々な伝統菓子があるが、日本の菓子の種類の豊富さと手の込んだ意匠の数々は世界でも類を見ないのではないだろうか。日本は四季で景色の変化が多彩な中で、細かい意匠にこだわる繊細な感覚が育ったからだろうか。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1213675

  • 虎屋取締役、虎屋文庫専門職の中山圭子氏によつてまとめられた“和菓子の事典”。とても広くて深い。事典だが読み物としても飽きない。
    広いといえば、ありとあらゆる和菓子を網羅しているのだ。上菓子だけでなく、“あられ”や“かきのたね”、“飴”、“鯛焼き”、“焼き芋”なども立派に和菓子として取り上げられている。
    深いといえば単にそのお菓子の材料や作り方や歴史を述べているだけでなく、そのお菓子が古典文学の中のどの部分に登場するかとか、そのお菓子に使われるモチーフが古代から人々にどのような印象を与えてきたかなどのエピソード、そのお菓子の製法が書かれた一番古い文献の紹介などを織り交ぜて書かれている。
    例えば、“飴”が『日本書紀』の神武天皇紀の中に記述があるのを引用されていたり、“安倍川餅”が『東海道中膝栗毛』に登場すること、“亥の子餅”が『源氏物語』の「葵」の帖に登場することなど。“外郎(ういろう)”というお菓子については歌舞伎の「外郎売り」のこと、元は薬としての外郎の歴史などについて詳しく1頁ほどさいて説明された後で、お菓子の外郎の歴史について述べられている。
    また、お菓子のモチーフについては、例えば“卯の花”は「卯の花重ね」「卯の花垣」などの名前で、白と緑の配色のきんとんや羊羹が江戸時代から作られているが、この配色は平安時代の装束のかさねの色目の一つになっていたことなど興味深いお話が書かれている。
    古典だけではない。例えば“カルメ焼”のところでは、漫画の『じゃりン子チエ』の登場人物が長年の夢をかけてカルメ焼き専門店を始めるエピソードを盛り込んだり、とにかくこの中山氏は教養が深くて引出しが多くて、もう、読んでるだけで和菓子をじっくり味わった気分になる。写真もきれいで、絵もかわいい。
    以下は私が気になった和菓子
    “外郎(ういろう)”
    説明やエピソード、読んでいて楽しかったのだけれど、前から気になっていたことが分からない。写真からはよく分からないけれど、“ういろう”と名古屋のほうの“ういろ”とは違うの?どちらも関西には無いから分からないんだ。

    “黄身時雨”
    「外側が黄身餡のそぼろで、中に白餡が入る。鮮やかな黄の色合いは、雨の上がったあとの太陽の光にも通じよう。」たまりませんなあ。多分一番好きな味だと思う。また、明治から昭和初期の菓子製法書では「君時雨」の表記があるとも。「なにやら恋しい人を時雨にみたてている詩情もあるが…」確かに。

    “くず餅”
    小麦澱粉を発酵精製し、蒸して作ったお菓子。東京の亀戸天神近くに店を構える船橋屋が有名だそうだ。きな粉と黒蜜がかかっていて美味しそう。
    「不思議な思うのは西日本ではくず餅をまず見ないこと」そう!ホンマに!なんで無いの!食べたいやん!

    “さくら餅”
    この写真のような桜色の小麦粉生地に餡をくるっと巻いてその上から桜の葉で巻いた桜餅は一度しか食べたことない。友達が作ってくれたんだ。ここに書かれているように京阪では道明寺生地といって桜色の米の粒の中に餡が入っているのだ。こちらの写真も載せてほしかったなあ。

    “すあま”
    蒸した新粉生地に砂糖を混ぜてつくる餅状の菓子。平べったい紅白の卵形のものが、出産や入学祝いに使われるそう。見た目も名前もおっとりしていて美味しそうなんだけれど、見たことも食べたこともないのは私だけ?

    “金花糖”
    砂糖液を木型などに流し込み、固めて彩色したお菓子。色が綺麗。このお菓子を模したビニールの鯛にお砂糖が入ったものは見たことあるが、ちゃんと本物を作るには手間暇かかるらしい。そういえば、金沢のホテルの売店で見たことあるかな。

    “辻占(つじうら)”
    せんべいの中に“占い”が入っている。その原型は奈良時代の「夕占(ゆうけ)」に遡るらしい。こんなロマンチックなのが昔からあったんだね。

    「年中行事と和菓子」「幻の菓子」「和菓子の歴史」などのコラムも面白い。欲をいうとしたら、「同じお菓子の別の地方バージョンの写真も載せて下さい」ということかな。

    • なおなおさん
      こんにちは。お久しぶりです。
      昨日はかしわ餅、今日はちまき風のかしわ餅!?(味は同じ。いずれもスーパーの安いやつ)を食べながら、お二人と、こ...
      こんにちは。お久しぶりです。
      昨日はかしわ餅、今日はちまき風のかしわ餅!?(味は同じ。いずれもスーパーの安いやつ)を食べながら、お二人と、このコメントのやり取りを思い出しちゃいました^^;今年のこどもの日は何か食べましたか?
      またお店で“すあま”を見かけるとMacomi55さんを思い出します。
      あれから出会ったかなぁ(ღ˶ᵕᴗᵕ˶)。o♡
      2023/05/06
    • Macomi55さん
      なおなおさん
      こんにちは!お久しぶりです。
      GWもあと1日ですね。
      私もスーパーの安い柏餅を食べましたよ。
      色の濃い緑色の葉に包んだほうが粒...
      なおなおさん
      こんにちは!お久しぶりです。
      GWもあと1日ですね。
      私もスーパーの安い柏餅を食べましたよ。
      色の濃い緑色の葉に包んだほうが粒あんで、色の薄い葉に包んだほうが、こし餡でした。これ別に関西だからどうこうの話ではないですが。
      ちなみにデパ地下で行列して買った店では、以前“白味噌あん”というのもありました。これは京都ならではかな?
      2023/05/06
    • なおなおさん
      Macomi55さん、GWもあと1日…もう終わっちゃう(;_;)
      私は「まだ1日もある!」とは考えられないマイナス思考者です。落ち着かない…...
      Macomi55さん、GWもあと1日…もう終わっちゃう(;_;)
      私は「まだ1日もある!」とは考えられないマイナス思考者です。落ち着かない…^^;
      白味噌あん!こちら関東にはないと思います。地域によって違うのは面白いですね!
      お返事をありがとうございました(^^)
      2023/05/06
  • 和菓子はとても、奥が深いのね。

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  • 『たんときれいに召し上がれ 美食文学精選』を読んだ後で、本と食が自然と結びついて目についた。岩波書店への信頼も手伝って冒険。

    昔は果物のことを水菓子と言っていたそうだけどそんな話じゃないよね?と期待半分警戒半分で手を出した。ちゃんと和菓子の話だった。よかった。
    現在も食べられているもの、いつからか廃れたもの取り交ぜて、材料や作り方、地域ごとの特色や名前の由来などなど、様々に取り上げられている。老舗が提供する写真やかわいらしいイラスト、浮世絵のような図版まで盛り込んで目にも楽しい。これは食べたくなる。
    江戸時代以前の料理本や民俗行事、歌舞伎のような庶民の芸能、文学の中に見える和菓子をつぶさに取り上げているのも見どころ。奥も深ければ横にも広い。助六、煎餅、といえば現在市販の煎餅に歌舞伎揚げがあるなあ。

  • 専門事典

    和菓子の種類をそれぞれのイラストとともに説明した事典。
    増補改訂する以前のものが南山大学に所蔵(参考資料のコーナーではなく2階に置かれていた)。
    増補改訂版は椙山女学園大学など愛知県内13箇所に所蔵。

  • 「和菓子のアン」坂木司
    参考文献

  • <閲覧スタッフより>

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    所在記号:383.81||ナカ
    資料番号:10242998
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  • 見て美しく、読んで楽しい。
    和菓子について網羅されているので、借りるより自分の本棚に置きたい一冊。

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著者プロフィール

中山圭子 中山圭子東京芸術大学美術学部芸術学科卒業。和菓子のデザインのおもしろさにひかれて、卒論に「和菓子の意匠」を選ぶ。 現在、虎屋の和菓子資料室、虎屋文庫の研究主幹。和菓子の展示企画や資料整理などの仕事をしている。著者に『和菓子ものがたり』(朝日文庫)、『和菓子おもしろ百珍』(淡交社)「事典和菓子の世界」(岩波書店)など。

「2007年 『和菓子のほん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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