- Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000615662
作品紹介・あらすじ
ジョージ・オーウェルが一九三六年に植えた薔薇の生き残りとの出会いから、見過ごされてきた彼の庭への情熱に光をあて、精神の源を探るソルニット。豊かな思索の旅は、オーウェルの人生とその時代から、化石燃料としての石炭、帝国主義や社会主義と自然、花と抵抗をめぐる考察、薔薇産業のルポ等を経て、未来への問いへと続く。
感想・レビュー・書評
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柴田元幸[バナナ日和 vol. 7]オーウェルの花と鼻 – SWITCH ONLINE
https://www.switch-pub.co.jp/a-perfect-day-for-banana-vol7/
オーウェルの薔薇 - 岩波書店
https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b615153.html -
本棚を見返せば、オーウェルの1984はもちろん動物農場、カタロニア讃歌、パリ・ロンドン放浪記があり、確かに昔熱心に読んだ(葉蘭をそよがせよなども)記憶はあるが、現在ほぼ内容を覚えていない状態。オーウェルの、多くの戦争と長い闘病を経た短い生涯も本書を読んで知った。
タイトル通りオーウェルは庭に薔薇を植え墓に薔薇を植えるよう言い遺したという。社会派作家のイメージのオーウェルは、土いじり(ガーデニングというよりは)や動物の飼育(ペットというよりは)を好み、自然を愛したとは意外なイメージ。1984に自然の描写があったか読み返してみたくなった。
薔薇の特別なイメージ、エコ、スターリンの全体主義とレモン、アメリカ向けに輸出されるコロンビアでの花卉栽培の厳しい労働環境など、多彩な観点が興味深い。 -
「戦争」の反意語は何かと問う。それは、「庭」とソルニットは答えている。戦争の時代に生きたG・オーウェルの庭に植えた薔薇が、この書名『オーウェルの薔薇』となった。オーウェルがこの時代に、どのように生きたのかがテーマなのだが、ソルニットの他の書物と同様に、単なる伝記ではない。いつものように、必然的なあるいは偶然的な出会いの広がりを描くなかで、オーウェルをめぐる環境との相互作用が批評され、眩しいくらいの世界を表現している。また、薔薇をめぐるソロー的な自然観察の文章表現が羨ましいほどだ。
https://www.nikkei.com/article/DG...
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD12CS20S3A110C2000000/