ぼくのうちに波がきた (大型絵本)

  • 岩波書店
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本棚登録 : 79
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (31ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001108644

感想・レビュー・書評

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  • メキシコの詩人オクタビオ・パスの「波と暮らして」を絵本化したものです。「波と暮らして」はこちらに収録。
    https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4309464521#comment

    ぼくは海水浴でひとつの波と友だちになった。
    お父さんとお母さんに頼んで波を家に連れて帰ったんだ。
    波との生活は楽しいことがいっぱい。
     光に輝く波はきれいで、お日さまとダンスをするんだ。
     波がぼくを抱き上げて、優しく床におろしてくれる。
     夜中じゅうぼくを揺らしてくれたり、たくさんお話をした。
    でも、困ったこともいっぱい。
     機嫌が悪い波は、黒くなって部屋中を荒らし回る。
     お友達になるかなと思って魚を入れてみたら、魚とばっかり遊んでる。
     曇りの日なんて波のご機嫌は最悪。遠くの方から海の怪物まで連れてきた。
    我慢できなくなったお父さんとお母さんは、ぼくを連れて家を出た。
    寒い寒い冬が過ぎて家に帰ったら、波はすっかり凍っていたんだ。
    ぼくたちは波を海に返しに行ったよ。
    波のいなくなった窓から雲を見てぼくは思う。次は雲を連れて帰りたいな。(嵐になるよ!)

    ===
    オクタビオ・パスの「波と暮らして」では男性が海から波を連れて帰ってくるがわがままな波に振り回されて、残酷な結末を招くというものです。ここでの波は、女性を表しているんだろうなあというのがわかりやすい解釈です。
    そんな大人向けの残酷さもある幻想短編をよくもまあ子供向けの絵本にしたなあと思いますが、物語の筋である「海の波を家に連れて帰ったら楽しいだろうな」というところは子供向けでもあるのかな。
    絵本の言葉も、オクタビオ・パスの文章をそのまま使っている(子供向けにしない)ところもあり、ただ「子供にわかりやすく絵本にしてみました」ではないところがすごいなあ。
    しかし絵本にしたからと言って微笑ましい絵柄でもお話でもなく、ファンタジーなのか、一種のホラーなのか微妙なところ。

  • ◆オクタビオ・パスの「波と暮らして」を絵本でどう料理するのかに興味をひかれて。◆表紙には良心的に「原案」と明記。「波」と屋内で暮らす世界観はマーク・ブエナーが上手にビジュアル化していて、「なるほど」と思うものの、主人公がアメリカンな明るい男児であること、さらにアメリカンな両親が加わってくると、やはりこれは別物…。また海や波の絵の中に隠し絵がふんだんに施され、ミッケ!状態に夢中になるムスコたち…。絵本としては十分成立しているが、原作「波と暮らして」をほろ苦い恋愛譚として愛する私には違和感が。◆原案にないラストはちょっと絵本としてよかった。◆訳者あとがきに、パスの紹介あり。パスの原作にもエミリー・ディキンソンの影響があることを知ることができてよかった。しかし、うーん、誰にどのように手に取って欲しい絵本なのか?

  • 自然には、楽しいと怖いが裏表のようにして存在している。
    読んでいると、楽しい思い出と怖かった思い出が交互に蘇ってきて、こんなナンセンスな話が、何故か、リアルに感じるから不思議だ。
    ちょっぴり怖い、不思議ワールド。空想力豊かな子どもたちは、このナンセンスを、私より、もっと身近に感じるかもしれない。さらなる空想に導いてくれるラストシーンは、必見だ。

  • これは何が言いたいのだろう?難しい。波と友達になって家に連れて帰るのだけど、楽しく暮らすうちにだんだん機嫌が悪くなる波。子供は、楽しいけどやっかいなものを持って帰ってくるものだ。波の絵は美しい。

  • 表紙の波を持つ男の子が印象的で手に取った一冊。

    波を連れてかえって、飼う、という発想がおもしろくって、
    絵も美しい。

    だんだん手に負えなくなる波を、ついに手放すところも
    夏休みの終わりのさみしさって感じでイイ。

    いろんな絵本があるなあ!

  • これ、私は突拍子もなくて
    大好きなんだけど、うちのこは
    まだ小さくてわからないみたい。

  • この突拍子もない設定に脱帽! 何たって《波》が家に来ちゃうんだから☆ シュールな話にシュールな絵のコンビネーションには大爆笑!

  • 絵がとてもリアルで驚いた!

    波が友達になるなんて、発想がなかった(笑)

  • オクタビオ・パスの原作とは似ているけど違う。
    原作を読み終わった後の、なんとも言えない余韻が良かったけれど、この絵本だとそれがない。

  • 2018/8/19 16:12

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オクタビオ・パスの作品

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