- Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001140859
感想・レビュー・書評
-
リンドグレーンに育てられたわたしだけど、この本は邦訳が出たのがたぶん高校生ぐらいになってからということもあって、リアルタイムでは読んでいない。大人になってから、河合隼雄さんの紹介を読んで、一度手に取ったことはおぼえているけど、読了したかどうか記憶にない。
今、あらためて読んでみて、おお、なんともひとことでは言い表せない、複雑で、透明な悲しみに満ちた物語なんだと思った。そしてイロン・ヴィークランドの絵のなんと美しいこと。これ、ぜんぶカラーで見たいわと思ったけど、ペン画のものも色つきで立ち上がってくるほどイメージが豊か。文で「美しい」と描かれていて挿絵を見ても本当に美しいことってなかなかないんだけど、この本に関してはほんとうにそう。
戦わなければ自由をつかむことができないことを知っていて、その戦いの先頭に立ちながらも、自分はけっして敵を殺すことができないと知っているヨナタン。究極の非暴力なのだけれど、ではその先は……というわけで、途中からはページをめくるのがつらかった。
しかもこの子たち、一度死んでるんだよね(^_^;;
なんで死んでからこんなたいへんな思いをしなくちゃならないのか。
そして、ラストのその先にあるのははたして真のやすらぎなのか、あるいはまた同じことのくりかえしなのか。日本人の宗教観だとぐるぐるまわるほうをイメージしてしまうけれども、そこらへんはうかがい知れないのだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
兄弟愛が尊くも、究極に切なくもあり、でも幸せな終わり方だったと思います。死後、楽園だろうかどこだろうが、愛する家族といるのが一番、と思えるのが幸せなのだろう。
-
優しく勇敢な兄、ヨナタンを慕う弟のクッキー視点の冒険ファンタジー小説。死後の世界「ナンギヤラ」…優しく穏やかな世界かと思ったら現実世界のように残酷で世知辛い。ラストの展開に驚いた。おもしろいんだけど、なんかすごく感想が書きづらい作品だなあ。
-
最初はお話を語る弟クッキーことカールの文体がしっくりこなくて、しかも救いのない展開に、そこまでの名作かしら?と思いましたが、読み進めるうちにお話にどんどん引き込まれていきました。
ドラゴンのような怪物による結末はあまり好きになれず、積極的に人に勧める気にはなりませんが。
-
衝撃のラスト。分離できなかった二人の最後。2人は強い。心が折れない。しかし、その最後は、、、。無限後退の話しになり、物語るチカラが終止符を打つ。これはアンチ物語論では?象徴的に殺すことができない人間の末路を示しているのでは?死後の世界も現世と変わらないとは?
-
美してくて哀しくて儚い兄弟の話
リンドグレーンの作品で1番好き。 -
もう絶句するしかない話。
全てにイケメンの兄ヨナタンと、それに憧れる弟クッキーの話。
しょっぱなからすごい。だって、これって、つまり、そういうこと!?ですよね!?はあああ?
なのに、世界観は美しく、切なく、激しい。
後半も重要人物たちがいつのまにかアッサリバッサリ死んでいる。
ラスト。またも読者の意識がふっとぶような展開。
凄まじいの一言。
読み返すことはたぶん難しい。
著者プロフィール
アストリッド・リンドグレーンの作品






この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。





