照葉狂言 (岩波文庫 緑 27-8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (135ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003102787

感想・レビュー・書評

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  • 再読。手元にある鏡花の文庫の中でいちばん古くて、というのもずっと絶版だったから入手した20年ほど前ですら古書店で、昔ながらの岩波文庫のパラフィン紙が巻いてあるやつでした。久しぶりに手に取ったらさすがにパリパリになって崩れちゃったのでパラフィン紙は捨てちゃった(残念)

    閑話休題。比較的初期の作品のせいか、主人公が少年のせいかとても初々しい。幼児の頃からモテモテの貢くん、すでに母をなくし伯母さんに育てられているけれど、そんなところが母性本能をくすぐるのか、近所の人妻、お姉さん、お手伝いさんから芝居一座の姉さんたちにまで無闇やたらと可愛がられる。

    いろいろあって最終的に、近所の優しいお雪お姉さんか、自分を引き取ってくれた芝居一座の小親(こちか)姉さんかを選ばなくてはならなくなるのだけど、このあたりはいかにも鏡花得意の義理人情で、どっちの女性も魅力的、どちらを選ぶのも身を切られる想い・・・というジタバタするような切なさ。

    女たちがどういうつもりで幼児の貢さんを可愛がっているのか、年齢差がどうなってるのかはちょっとモヤっとするのだけど、ある意味少女マンガ的三角関係。素直に読めて美しい。

    解説は里見とん。

  • 岩波文庫の復刊。

    なんとも泉鏡花らしい小品。
    里見弴の解説も(引用部分がやや多いきらいがあるものの)素晴らしい。
    新字に直す改版が入らなくて本当に良かった……。

  • 金沢などを舞台とした作品です。

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著者プロフィール

1873(明治6)年〜1939(昭和14)年)、小説家。石川県金沢市下新町出身。
15歳のとき、尾崎紅葉『二人比丘尼色懺悔』に衝撃を受け、17歳で師事。
1893年、京都日出新聞にてデビュー作『冠弥左衛門』を連載。
1894年、父が逝去したことで経済的援助がなくなり、文筆一本で生計を立てる決意をし、『予備兵』『義血侠血』などを執筆。1895年に『夜行巡査』と『外科室』を発表。
脚気を患いながらも精力的に執筆を続け、小説『高野聖』(1900年)、『草迷宮』(1908年)、『由縁の女』(1919年)や戯曲『夜叉ヶ池』(1913年)、『天守物語』(1917年)など、数々の名作を残す。1939年9月、癌性肺腫瘍のため逝去。

「2023年 『処方秘箋  泉 鏡花 幻妖美譚傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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