ある婦人の肖像 (下) (岩波文庫)

制作 : 行方 昭夫 
  • 岩波書店 (1996年12月16日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003231371

ある婦人の肖像 (下) (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 最初の2冊は、いろんな意味で「クラシック(古典)だなー」という感じで、特に感情に触れることなく読んだのですが、この巻に入ってから突然めちゃくちゃ面白くなってビックリ。前のめりで入り込んで読んでしまった。
    いやぁ、これはおもしろいです。

    解説を読んでまたビックリ。著者は生涯独身だったんですね。
    結婚していないのに、結婚というものに対するイザベルのこだわりと激しい苦悩がどうして分かったんだろう、と不思議に思うくらい、鋭いと思った。
    イザベルだけじゃなく、伯母や、いとこや、友達や求婚者たちのそれぞれの結婚に対する態度の描写も、時代は全然違うのに、今の私が見る世間そのものが描かれているという感じがします。
    時代を超える普遍的な小説を読んだ、ととらえるべきなのか、それとも人間は100年くらいではまったく変化しない、ととらえるべきなのか、と迷うくらいに。

    ラルフやウォーバトン卿のような心やさしい人たちを私も実際に知っているなぁ、と幸せな気持ちで思う。そして、この著者の人間観察はなんて正確なんだ、とも思います。

    最後にイザベルがラルフと二人でガーデンコートで過ごした時間はとても美しくて、読んでいて心が震えました。
    「きみの犯したような寛大な誤りはきみをほとんど傷つけない」というラルフの言葉は、物語とは全然関係なく、私が今一番聞きたかった言葉のような気がして胸が熱くなりました。まるで読んでいる私の過去の(しょーもない)失敗のあれこれまでを全部洗い流してくれるような、清涼で慈愛に満ちた言葉。
    イザベルだけじゃなく、生きているとみんないろいろやらかすものですが、ラルフのこの言葉みたいに、そうした悲しみを洗い流してくれるような、やさしい人や、ものや、言葉や瞬間、って確かにあるなぁ、と思う。

    最後のページのあと、イザベルがどうしたのか、ということについては議論が分かれているようだけれど・・・私は、イザベルという女性は、最後は自分の過ちを世間に見せることができる勇気のある人だと思うんだけどなぁ。それが彼女が見た「まっすぐな道」だと思ったのだけれど、どうなんでしょうね。

    ちなみに、今回、用心して表2の解説は読み終わるまで見ないようにしていましたが、大正解でした。下巻の表紙裏も、中巻に負けないくらいの衝撃のスポイラーです!

  • 下巻。
    余り幸せではない結婚生活と従兄弟の死がメイン。
    はっきりしないラストシーンが逆にヘンリー・ジェイムズらしい。『ねじの回転』もそうだし。

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