- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003247327
感想・レビュー・書評
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この作品が映画化されたりヨーロッパ、アメリカて読者を獲得したのは納得だ
ただのナチスドイツの収容所からの脱出劇というだけでなく、当時のありふれた人びとの心情も細やかに描いている 逃げる人びと、追う側、思想によらず助けることになった偶然のひとたち
ヒトラーが掌握していた時、日本でも同じことが行われていた
作家のゼーガースの人生も波乱に満ちている詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
上巻の始めは確かに7人で脱獄したはずだった。下巻のだいぶ始めの方でほぼ全員捕まる。元村長だった老人は、密告した人間(隣町の村長)の支配欲が露見したせいもあり、家族、近所にガッツリ匿われる。
ゲオルグ(主人公?)の孤独な1人の逃走。そもそも「ユダヤ人だから」で捕まってるのがおかしいし、自分が可愛くない人間なんていないので、誰が、どこで、裏切るのかが、わからないのが、非常にシンプルに素朴にソリッドに真摯に怖いのだ。でもやっぱり罪と解っていても、バッサリ切り捨てられないよね。あったかい血が流れてる人間は。 -
原書名:DAS SIEBTE KREUZ
著者:アンナ・ゼーガース(Seghers, Anna, 1900-1983、ドイツ、小説家)
訳者:山下肇(1920-2008、目黒区、ドイツ文学)、新村浩(1919-) -
上下巻纏めて。
抵抗文学の名作。1週間という限られた時間ながら、作中の時間は非常に濃密(強制収容所からの脱走というシチュエーションを考えれば当然ではあるが)。
それにしても、戦後、敢えて東ドイツに帰国して作家活動を続けた……というのは、果たしてどういう生活だったのだろうか。総本山のロシアではソルジェニーツィンなんて例もあるしねぇ。この辺りの評伝みたいなのは出てないのかな? ちょっと気になる。