メゾンテリエ: 他三編 (岩波文庫 赤 550-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003255063

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  • フランスの作家、モーパッサンの中篇『メゾン テリエ』と短篇『聖水授与者』『ジュール伯父』『クロシェット』の4篇。

    『メゾン テリエ』
    娼家の女主人であり未亡人のマダムが、5人の娼婦を雇って、町の馴染み客で賑わっていたところ、弟から姪の初聖体に招待されます。娼家から教会までは、かなり距離がありますが、姪の名付け親である姉という立場から、休業して娼婦5人を連れて教会に行き…

    突然の休業による、馴染み客の取乱し様や、教会に向かう娼婦達の珍道中、教会での感動的な聖体式。そして、娼家に戻ってからの変わらぬ賑やかさなど、人間味溢れた登場人物達の個性が描き分けられていて、読んでいて楽しかったです。

    『聖水授与者』
    失踪した5歳の息子が、ただひたすら生きていることを信じる夫婦の苦労話し。

    身を落とすところまで落とした夫婦に訪れた、感動的なラストが印象的でした。

    『ジュール伯父』
    遺産を使い込み、家族の厄介者であった伯父。渡米先で成功しているとの噂を耳にていましたが、以外な場所で再会します。

    他人のお金を当てにしてはいけない教訓を含んでいます。気持ちは分かりますけどね。

    『クロシェット』
    お針子のおばあちゃんに秘められた過去。

    なんとも悲しい話しでした。とても痛そう。

    追記:
    戦前の翻訳のためか、文章が古風に感じます。以下は、手持ちの他の本との比較。

    『ジュール伯父』は、同じ岩波文庫の『モーパッサン短篇選』に新しい訳が掲載されています。本作中の「ジュルセイ」の場所が分からなかったですが、短篇選では「ジャージー島」と書かれていて、あーなるほどと思いました(新訳の方が読みやすい)。

    『聖水授与者』は、光文社古典新訳文庫では『聖水係の男』のタイトルで、『脂肪の塊/ロンドリ姉妹』に掲載されています。新訳は、ラストの場面のイラストが印象的で、翻訳も新訳の方が読みやすかったです。

  • この時代の自然派の文学としてはかなり緻密に描かれていて、最後の短編のクロシェットのおばあちゃんの話は印象的でした。
    もっと他の短編も読んでみたい。

  • 坦々とした描写が続き、いつの間にか読み終わって、そのあとそこはかとない余韻が続くという不思議な小品集。1979年には100円だった岩波文庫が2008年には古本屋で300円で売られていたようだ。どうでもいいけど今は新品は手に入らないんだろうな。

  • 2010年8月13日(金)、読了。

  • 初めて読んだモーパッサン作品。

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著者プロフィール

フランス人。1850〜93年。母の友人フローベールにすすめられ文筆に転向。最初の成功作『脂肪の塊』(1880)で一躍新聞小説の寵児となる。短編約三○○、長編数作を書く。長編に『女の一生』(1883)『ベラミ』(1885)。短編小説『幻覚』や『恐怖』は戦慄させるほどの正確さで狂気や恐怖を描写し、この狂気の兆候が1892年発病となり、精神病院でなくなる。

「2004年 『モーパッサン残酷短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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