海の沈黙 星への歩み (岩波文庫 赤 565-1)

  • 岩波書店
3.44
  • (8)
  • (10)
  • (26)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 199
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003256510

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この作家のことを何も知らなかったというか名前も知らなかったのだけれど、つまりは初めて読んだということなのだが、静かな、淡々とした、隠にこもる感じの作品だった。

  • 映画にもなりましたが、終始静かな作品で心に残ります。レジスタンス、運動に加われなくとも、私達に出来る、出来たのは、海よりも深い沈黙を徹すこと。

  • 岩波文庫赤

    ヴェルコール 「 海の沈黙 星への歩み 」 ナチス占領下のフランスを描いた 抵抗文学2編

    「海の沈黙」ナチス将校に対して、沈黙により抵抗したフランス人の物語。ナチス将校の巧みな懐柔策に対して、徹底して 沈黙を貫く姿を描く。沈黙であることが 自由と正義に基づく抵抗を より一層 際立たせている

    沈黙する側も 沈黙される側も 弱い人間は 沈黙に耐えられない

    「沈黙の下には〜水の静かな表面の下に 海の動物の乱闘があるように〜互いに相手を否定して戦う思想がある」

    「愛は汚れた結末に消えることが多い。誰かがそれを殺すことがある。その愛の死は 人の胸をえぐる」


  • 原書名:LE SILENCE DE LA MER, LA MARCHE A L'ETOILE

    海の沈黙
    星への歩み

    著者:ヴェルコール(Vercors, 1902-1991、フランス・パリ、小説家)
    訳者:河野与一(1896-1984、神奈川県、哲学者)、加藤周一(1919-2008、渋谷区、評論家)

  • フランスを愛し、フランスに憧れた他国人が、戦争という非常時において挫折し、希望を失って去っていくまでを、抑えた筆致で描いている。これは、「暗殺された愛」という言葉で表現されている。「星への歩み」では、主人公を殺すのは敵国人ではなくフランス人である。それが一層悲壮である。
    (2016.2)

  • 何度も読み返した記憶があります。
    レジスタンス文学は今や時代遅れかもしれません。
    しかし哀しさ、切なさが静かな音楽のように流れるこの小説、今でも読む価値は十分あると思います。

  • 抑制された怒りの迫力を体感する読書。
    敵国の非を糾弾することに終わらず、内なる敵も睨んでいる。「星への歩み」の主人公は帰化してフランス国籍を取得した男であり、生まれながらにフランス人だったものとの比較の中で、愛国感情についても一考察入っているところが、この物語の深みであると感じる。

  • 海の沈黙

    静謐な物語。
    重く垂れ下がった空気が存在する。
    そして、かぎりない 沈黙が。

    ドイツ人将校が、私の家にやって来た。
    そして 2階に住むようになった。
    寒い夜に 暖炉にあたりに来た。
    蜂の羽音のような声で、いろいろ語った。
    かれは 作曲家で フランスが好きだった。
    しかし、私と姪はひとことも 語ることはなかった。

    ドイツ人将校は マクベスを読んだ。
    『支配を受けているものは恐怖に従うだけで、愛には従わなくなっている。』

    そして、将校は パリにいき ドイツ人たちと話をして来た。
    かれらは フランスを叩き潰す つもりだった。
    そんな使命を 受けていた。

    そして、ドイツ人将校は いつもは おやすみなさい と言って、
    部屋に帰るのだが そのあとに 御機嫌ようといった。
    姪は それに 応えたのだ。御機嫌よう。と。
    姪は 初めて 言葉をかけた。

    「翌る日、私が牛乳を飲みに下におりて来た時、もう発っていた。姪はいつもの通り朝食の用意をすませていた。黙って給仕をした。二人は黙って飲んだ。」

    静かで 音が わずかにするなかで
    人間の声は ほとんどない。
    ただ、ドイツ人将校は 自分を納得させるために
    話を 続けているのだった。

    たえられない 海のような沈黙。
    沈黙のなかに 燃えるような怒りが内在していた。

    星への歩み

    全く、文体が違う。
    フランスに対する 深い愛。

  • フランスとドイツという二国間にあるものは複雑で、日本人にはおいそれと理解出来ないものだと思うけれど、これを読むとその末端には触れられる気がする。

    抵抗文学、というにはあまりに繊細で切ない。

  • 戦争文学は夏に読むに限る。これで「抵抗」なのか。

全14件中 1 - 10件を表示

ヴェルコールの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×