アンナ・カレーニナ 上 (岩波文庫 赤 617-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003261712

作品紹介・あらすじ

アンナは兄オブロンスキイの浮気の跡始末に、ペテルブルグからモスクワへと旅立った。そして駅頭でのウロンスキイとの運命的な出会い。彼はアンナの美しさに魅かれ、これまでの放埓で散漫だった力が、ある幸福な目的の一点に向けられるのを感じる。

感想・レビュー・書評

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  • 主役のアンナも、その夫のカレーニンも、愛人のウロンスキーも、個人的にあまり好きになれない。いずれも我が強くお高くとまっていて感じが悪い。
    対して浮気男ではあるけれど、アンナの兄のオブロンスキーは茶目っ気がある。そして、その友達のレーヴィンは本作品で最も好感度が高くほっとさせられる。

    この作品は醒める瞬間が非常に印象に残る。ウロンスキーとの間にちょっとしたときめきを感じた後に再会した夫や息子に対するアンナの醒めた感覚、湯治場で知り合った友人に影響されたキチイが父と再会して奉仕の精神から醒める感覚、そういったちょっとしたタイミングで心変わりする様が、非常に人間の本質を捉えているように思う。

  • 人間描写に嘘が無く、どこまでも人が正直に描かれていて、単純な恋愛描写などでも、胸に熱くなるものがあります。物凄い集中力が必要ですけれど、それだけものすごい集中力で書かれた小説な訳で、トルストイという人が深く人間を愛し、肯定し、キャラクターを強く愛し貫いたことそのことが、まるでこの世のものとは思えず、読書しながら自分の未熟さを痛感しました。

  • 村上春樹の短編小説「神の子どもたちはみな踊る」の中に入っている
    「かえるくん、東京を救う」を読んで読みたくなったので。

  • 2023.02.16

  • 2022.11.7 上 読了

  • 18.05.2013 読了

  • アンナは兄オブロンスキイの浮気の跡始末に、ペテルブルグからモスクワへと旅立った。そして駅頭でのウロンスキイとの運命的な出会い。彼はアンナの美しさに魅かれ、これまでの放埓で散漫だった力が、ある幸福な目的の一点に向けられるのを感じる。
    原題:Анна Каренина
    (1877年)

  • 身構えて読んだが、読みやすくてスルスルと読み進めることができる。
    登場人物の心情も想像し易く、このまま中も下も読めそう。

  • 「アンナ・カレーニナ(上)」トルストイ著・中村融訳、岩波文庫、1989.11.16
    441p ¥520 C0197 (2019.01.14読了)(1998.07.16購入)(1995.07.17/7刷)
    以下は読書メモです。
    上巻を読み始めました。
    第一編は、「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。」という有名な文章で始まります。
    ステパン・オブロンスキイ氏が家庭教師のフランス女と浮気をして、妻のダーリヤが家を出て行くという話から始まっています。ダーリヤはそうはいったもののどうしようか悩んでいます。
    話は、ステパンの親友コンスタンチン・レーヴィンが久しぶりに田舎から出てきて、ステパンの妻の妹であるキチイにプロポーズしようかどうしようか、と悩んでるという方向に進んでゆきます。キチイの方も、コンスタンチンを好きなようなのですが、コンスタンチンが田舎にひっこんでる間にウロンスキイという男性を好きになり、コンスタンチンのプロポーズを断ってしまいました。
    14節まで読み終わりました。(103頁)
    15節に入ったら風向きが変わってきました。キチイとウロンスキイの縁談が進むと思いきやそうはなりませんでした。
    18節になって、アンナ・カレーニナが登場しました。ステパンの妹です。主人公が登場する迄に100頁以上費やすとは、恐れ入ります。ステパンが、妻のドリイと仲直りの仲裁役をお願いして、アンナにペテルブルクからモスクワまで来てもいました。ステパンの思惑通り、ドリイと仲直りができました。
    キチイは、レーヴィンのプロポーズを断り、ウロンスキイに期待を寄せています。レーヴィンの田舎暮らしより、ウロンスキイの都会的カッコよさに夢を膨らませているようです。キチイは舞踏会でウロンスキイと踊ることを楽しみにしていたのですが、ウロンスキイは、一度キチイと踊っただけで、あとは、アンナ・カレーニナと主に踊っています。キチイを追いかけまわして夢中にさせたうえで、アンナの方に切り替えたようです。
    レーヴィンもキチイも失意の状態です。レーヴィンは徐々に回復してゆきますが、キチイは病気のように弱っています。立ち直りは大変のようです。
    アンナとウロンスキイは、ペテルブルクに住んでいるので、ペテルブルクの社交界で頻繁に会って恋情を燃え上がらせてゆきます。アンナの夫のカレーニンは、アンナに注意しようとしますが、アンナは上手に言い逃れしています。280頁まで来ました。
    アンナ・カレーニナとウロンスキイは、お互いに夢中になっています。アンナは身ごもったようです。アンナの夫のカレーニンは、ウロンスキイとの仲を否定してほしかったのですが、アンナはウロンスキイと恋仲であることを認めました。アンナの子供のセリージャは、ウロンスキイにどのように接したらいいのか困っています。
    キチイは、温泉地でワーレンカという女性に出会い、元気を取り戻しました。
    上巻を読み終わりました。(441頁)

    登場人物
    ステパン・オブロンスキイ 通称スチーワ、役所の長官
    ダーリャ・オブロンスカヤ 通称ドリイ、ステパンの妻
    マトヴェイ オブロンスキイ家の侍僕
    マトリョーナ 乳母
    グリーシャ ステパンの息子 タンチャローチカ
    ターニャ ステパンの娘
    アンナ ステパンの妹
    アレクセイ・カレーニン アンナの夫
    フィリップ・ニキーチン ステパンの職場の同僚
    ミハイル・グリネーヴィチ ステパンの職場の同僚、侍従武官
    コンスタンチン・レーヴィン ステパンの親友、32歳
    セルゲイ・コズヌイシェフ レーヴィンの異父兄
    ニコライ・レーヴィン レーヴィンの兄
    シチェルバーツキイ家 ステパンの妻の実家
    ナターリイ シチェルバーツキイ家の次女(外交官リヴォフの妻)
    カチェリーナ・アレクサンドロヴナ 愛称キチイ18歳 ステパンの妻の妹、末娘
    アレクセイ・ウロンスキイ ペテルブルク社交界の貴公子、侍従武官
    ノルドストン伯爵夫人 キチイの友達

    【目次】(なし)
    主要登場人物
    第一編
    一~三四
    第二編
    一~三五

    ●自由党とステパン(15頁)
    ロシアではすべてがだめだ、と自由党は言っていたし、事実、ステパンの場合も、負債が多くて、金にはまったく困っていた。結婚は時代おくれの制度で、からためなくてはならぬ、と自由党は言っていたが、たしかに家庭生活はステパンには大した喜びは与えてくれずに、うそをつかせたり、体裁をつくらせたりしたが、これは甚だしく彼の本性に反するものだった。また自由党の人々は、宗教は一部の野蛮な国民にとってのくつわにすぎない、と言っていた、というよりほのめかしていた。そしてたしかにステパンは短い祈りですら、足の痛みなしには耐えられなかったし、この世がかくも楽しいのに何で来世をあんな恐ろしい、大げさな言葉で述べ立てるのか分からなかった。
    ●誰に奪われた(131頁)
    あたしの若さや美しさは誰に奪われたっていうの? あの人と、あの人の子供にじゃないの。あたしはあの人に尽くしました、そしてその尽くしたおかげで自分のものは何もかも失ってしまったのです。
    ●ウロンスキイの二つの世界(212頁)
    彼(ウロンスキイ)のペテルブルグの世界では、すべての人々がまったく正反対の二つの種類に分かれていた。一つは低級な種族、つまり、俗悪で、愚劣で、ことに滑稽な人たちで、これは、良人たるものは結婚した以上、一夫一婦の生活を守らねばならぬとか、乙女は純潔でなければならぬとか、婦人は羞恥心を忘れてはならぬとか、男性は雄々しく、自制心に富み、毅然としていなければならぬし、子女を養育し、自らのパンを稼ぎ、借金は払わねばならぬとか、―そのほかこれに類した愚にもつかぬことを信じている連中である。これは旧式で笑うべき人々の種族だった。もう一つ別に、彼らの仲間がすべて属している真の人々の種族があって、そこでは、なによりもまずエレガントで、美しく、寛大で、勇敢で、明るくなければならず、顔を赤らめずにどんな情慾にも身をまかせ、それ以外のものすべて嘲笑し去らねばならなかった。
    ●物笑いのたね(238頁)
    良人のある婦人をつけまわして、相手を姦通に引き込もうと、ともかく命をかけているような男の役には、どこか美しく、偉大なところこそあれ、決して物笑いのたねになどなるはずのないことを、彼(ウロンスキイ)はちゃんと承知していた
    ●身を隠す(344頁)
    あのひともおれも、一切を捨てて、自分たちの恋だけを守って、どこかへ身をかくすことだ

    ☆関連図書(既読)
    「光りあるうちに光の中を歩め」トルストイ著・米川正夫訳、岩波文庫、1928.10.10
    「人はなんで生きるか」トルストイ著・中村白葉訳、岩波文庫、1932.09.25
    「イヴァンの馬鹿」トルストイ著・米川正夫訳、角川文庫、1955.08.05
    「戦争と平和(一)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.01.17
    「戦争と平和(二)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.02.16
    「戦争と平和(三)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.03.16
    「戦争と平和(四)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.05.16
    「戦争と平和(五)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.07.14
    「戦争と平和(六)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.09.15
    「トルストイ『戦争と平和』」川端香男里著、NHK出版、2013.06.01
    (2019年2月9日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    アンナは兄オブロンスキイの浮気の跡始末に、ペテルブルグからモスクワへと旅立った。そして駅頭でのウロンスキイとの運命的な出会い。彼はアンナの美しさに魅かれ、これまでの放埓で散漫だった力が、ある幸福な目的の一点に向けられるのを感じる。

  • 内容的にはベタな不倫もの。この先どうなるのかは楽しみだけど…登場人物が多すぎて戸惑ってる。正直この広がりのままの世界で中・下と続くのかと思うとうんざり。

  • 日本の近代文学作品を読んでいると、必ずぶちあたるドストエフスキーやトルストイ。(もちろん、まだまだ他にも)

    先日、カラマーゾフを読み終えた感覚から、ちょっと意気込んで読み始めたのだけど、これが非常に読みやすい!

    日常の枠に嵌ることに違和感のなかったアンナが、夫カレーニンの耳に「気味悪さ」を見出す所からの、醒め具合が秀逸。

    好きな人の汚点を、良しと出来るかどうか。
    序盤のドリイとステパンの関係もさながら、この感覚、とてもよく分かる。

    三冊ある中、一冊目でこんなにかっ飛ばして良いのか心配だけど、とにかく次に進む。

    新潮版の方がレビュー数も多いのに、岩波版の小さい字と格闘していることに、理由はない(笑)

  • 初トルストイ。上中下巻と分量のある長編で腰が重かったけどようやく手にとった。
    時代を超えて読まれているのも納得のいく作品。3組の夫婦を中心に色々な人物が登場し、そのそれぞれのキャラクターが活き交わることで、アンナの悲劇、カレーニンの苦悩、レーヴィンの模索の中に自然と入り込んでゆける。
    また何年も経ってから手にとりたい作品。

  • 再読。トルストイの細部へのこだわりが見受けられる。

  • クライマックスへ!

  • (後で書きます)

  • 冒頭に有名なセリフがある。そして悲劇的な結末がある。
    有名なセリフみたいなものを持つ名作は、どうしてもそこに注意が行きがちになってしまう。そこに書かれていることを自分なりに咀嚼しただけで、なんとなく正しく読んだような気になってしまうところがある。昔「アンナ・カレーニナ」は読んだのだが、今思うとなんとなくの読み方になっていたような気がする。
    「本に読まされる」のではなく「自分から本を読む」スタイルでこれも再読できればと思う。

  • それぞれの情愛が絡み合うように描かれている。
    時に情熱的に描き、時に冷静に描き
    でもどんな状況であっても、
    誰に恋をしてようとも(良人以外にさえ)
    真っ直ぐな愛である。

    昔の方の「教養あふれた」場面が非常に多く
    社交界や貴族などだからこその
    どこか平和な愛なのかなと感じた。

  • 意外と読みやすくてびっくり。そして面白い。心情描写が鬱陶しい。だがそこが好き。レーヴィンがんばれ。

  • 登場時のアンナが最も魅力的でした。

    レーヴィンがすきです。

  • 09/4 ★★
    中下と未読

  • トルストイと聞いただけで堅苦しいと思うかも知れないけれど、大筋の内容としては夜10時ぐらいにTBSやらフジやらで、やってそうな不倫絡みのドラマです。もちろん深読みすれば色々見える部分もあると思いますし、ロシア文学特有の読みにくさ(一人の人物に多数の呼び名など)はあり、気を抜くと話に追いつけなくなったりするけれど、まぁ比較的読みやすかった。
    様々な登場人物が出てきて、全員が主人公とも言えるけど、基本的にはアンナとレーヴィンが中心だと言える。アンナについては、読んでいて腹が立つ部分もあるけれど、どうしようも無いほどに女なのだと思った。こういう人、実際居るし。結果的には悲劇的な最後だったと言えるかも知れないが、そこに至るまでのアンナの心情、心の動きの描き方がさすがに素晴らしい。
    また、ある意味ではアンナと対する様に描かれているレーヴィンだが、最後の最後の自らの「生きる」と言うことに対し思索する場面は、そこを読むだけでもこの本を読む価値がある…と言えるほど、これまた素晴らしい。まぁ、歴史に残る名作ですしね。一度は読んどくべきですな。

  • 2007/12/21

  • 「なかなか主人公が出てこない」
    って村上春樹が紹介していたのを見て
    どらどら、と買ってみたのがきっかけだったと思う。
    アンナさん、情熱的な人です。

  • イメージ出ないのが残念やなぁ…。ドストエフスキーをちょろっと読んだだけで「ロシア文学=暗くて救いがない」とイメージづけたワタシは読むことになるとは思わなかったのだけど、これがなかなかおもしろいわ〜 逆に学生時代じゃーあんまりおもしろくなかった気がする。ってゆーか本当に主人公ってアンナなのかなぁ〜 一人ひとりのキャラの設定とか心情を細かく書いてくれるので楽しい。あほほど長い小説だけど(1600pもあるなんて聞いてなかった)、今後が楽しみ!2007.9.15

  • トルストイ

  • 「アンナ・カレーニナを読んでる」と言うと必ず「青春の思い出を読み返してみるのね」と返されるのですが、みんなそんなに読んでないと思う。
    岩波文庫のが読みやすく、しかもキャプションつきの絵もついてるのでおススメです。男と女の目線のずれみたいなものが、いくつもの会話と地の文(まるこの後ろに流れる声のように登場人物のぼけっぷりに対してクールにつっこんでいたりする)で豊かに語られる。
    面白いというと名作だからね、と思われがちだけど(私もそうだった)本当に面白かった。まだ読んでんの?!というくらい読むのが遅くてもあんまり恥ずかしくないし。

  • 展示期間終了後の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号 983//To47//3

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著者プロフィール

一八二八年生まれ。一九一〇年没。一九世紀ロシア文学を代表する作家。「戦争と平和」「アンナ=カレーニナ」等の長編小説を発表。道徳的人道主義を説き、日本文学にも武者小路実らを通して多大な影響を与える。

「2004年 『新版 人生論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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