伝奇集 (岩波文庫 赤 792-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003279212

感想・レビュー・書評

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  • p105「図書館は、その厳密な中心が任意の六角形であり、その、円周は到達の不可能な球体である。」
    題名が有名で、陶酔している人をよく見かけますが、、イマイチぴんと来なかった。
    円環、バビロン、迷宮、廃墟、神託、図書館…

    円環の廃墟、バベルの図書館あたりはストーリーもあり虚構の深淵さの永遠さがイメージしやすくて雰囲気に乗れたけれども、文学が文字の芸術たる所以だと感じとれたけれども、他は百科事典的で、格言や註釈がほんとなのか虚構なのか何を表現したいのかよく分からなかった。西洋の伝説史実哲学の知識がなく、想起させる何かを感じ取る素養がなかったのだと思います。
    ハーバート・クエインの作品の検討、アル・ムターシムを求めて、あたりはどう読むのが味わうのがいいのだろうか、心に残る言葉や文がほぼ無かったのですが、皆さんどんな感想を持っているのでしょうか…

  • 目当ては「バベルの図書館」。
    ケンブリッジ大学の数学教授が話題にしていたのがきっかけで読みました。
    書評のような話は勉強不足でよくわかりませんでしたが、後半の話は楽しく読めました。
    世界的に有名な文学者って、ほんと独創的。
    以前読んだガルシア・マルケス然り。
    どこからそんな想像力が出てくるのだろう~

  • タイトルからは「おどろおどろしい話」かと思うが,そうではない.夢,それも比較的具体的で,出口がなくて焦って目が覚めるパターンの夢,のような話である.

    少し前に,
    https://twitter.com/shambhalian/status/995807024888725504
    というtweetを見たのだが,ここにあるボルヘス直筆のメモをそのまま文章にしたのが,この本に収められている短編達である.

  • 「円環の廃墟」「隠れた奇跡」が秀逸。
    「南部」も良い。

  • 授業で扱ったため「ハ岐の園」のみ英語で読了。
    彼にとってのラビリンスとは何だったのか。
    ネットに転がる考察も交えて読んで、新しい概念の提示をみた。
    興味深く面白かった。

  • ボルヘスはレビューの難しい作家だ。面白かった。しかしどこまで理解できたか定かでない。読んでいる最中に話か誰が語り手かわからなくなり前のページへ戻ったり。著名人名などが頻出し、ネット検索が間に合わない。注を見ると架空の人物とあったりする。
    しかし、すべてはボルヘスの企んだ迷路であり、恥ずべきことではないと開き直った。わからなくても、次にまた読むことがあったら楽しめるではないか?
    以下覚え書き
    ボルヘスは私生活の出来事を小説に取り込むことが多々ある。
    ボルヘスは事実のメカニズムに関心がない。
    ボルヘスは本が好き。特に無限の本が。
    ボルヘスは迷路が好き。それは宇宙。迷路の中心へ行くには左へ左へと曲がれ。
    ボルヘスは語り手が別人と入れ替わる話が好き。アイデンティティの揺らぎ。
    ボルヘスは天才で書物フェチまたは知識フェチ、参照フェチである。引用を弄しながらゲフゲフ笑いながら書いているに違いない。読者がわからなくても仕方ないですねだって関連が出てきてしまうのだものなどと。

  • 文学史上の位置づけも特に意識せず、余り深読みもせず読んでみた。個人的には「ドン・キホーテの著者」の発想と、「南部」の静かな熱情が気に入った。
    他のわかりやすい作品は短編としてもあっさりし過ぎていたり、妙に説明過多だったりした印象。形而上学的なものは訳のせいか元からなのかわからないが、幾つかは文意を掴みきれず。もう一度読み直せば変わるかもしれないが。

  • 「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」★★★★★
    「アム・ムターシムを求めて」★★
    「『ドン・キホーテ』の著者、ピエール・メナール」★★★★
    「円環の廃墟」★★★
    「バビロニアのくじ」★★★
    「ハーバート・クエインの作品の検討」★★★
    「バベルの図書館」★★★
    「八岐の園」★★★
    「記憶の人、フネス」★★★
    「刀の形」★★
    「裏切り者と英雄のテーマ」★★★
    「死とコンパス」★★★
    「隠れた奇跡」★★★★
    「ユダについての三つの解釈」★★★
    「結末」★★
    「フェニックス宗」★★★
    「南部」★★★

  • この怖い表紙に覚えが会ったし、『薔薇より赤い心臓の歌(歌。ホーカシャン。伊藤ヨタロウと、濵田理恵の)』のイメージに近い、という書評から、かつてこの人の本を読んだんじゃなかったかなあと思って記録を調べる。
    2007年に『エル・アレフ』を読んだらしい。が、当時は「さっぱりわからん」と思っていた記憶がある。
    2003年に、まさにこの『伝奇集』を読んだときには、放棄したらしい(笑)

    今回は、『草子のブックガイド(マンガ)』で紹介されていたので、読んでみた。
    この人のブックガイドは、本当におもしろく、『伝奇集』と『銀河鉄道の夜』を、人の心という鍵でつないでいた。

    自力で読んだ感想。
    幻想文学、昔は熱心に読んでたけど、この人の…この短編集中、意味が通じるものしかおもしろくない。だった。
    ブックガイドを読んでから、再読。
    なるほど、無限である『バベルの図書館』の、六角形の小部屋が人の心である。という解釈があるなら、読める。
    ものをもののまま受け取るので、それが何を表しているのかということを読み取るのが苦手なのですよ……

    図書館中の六角形の小部屋がすべて、人の心であるとするのなら、無限に広がるバベルの図書館は、地球であり、同時に人体である。
    小部屋は人であり、人の細胞である。
    図書室にいる司書は、それぞれの人の心である。

    どこかにあるという、自分のための「弁明の書」。その一冊を得るために、人々が狭い階段で揉みあい、互いを殺しあってまで得ようとした書。
    弁明の書とは、人が、誰かに許しを乞いたいとつよく願うという、罪深さや悲しさを表すのだろう。

    ときおり訪れる旅人の存在が何を表すのかはわからないけれど、これは、人の心との交流なのだろう。
    無限の本を抱える図書館を永遠の旅人が旅をするとき、数世紀に一度、かつて出会った本にまた出会う。それが図書館の粋な計らいであり、心あたためる希望であるのなら、人との交流の難しさや、ありがたさになるのだろう。

    私自身は、「師匠のこの歌は、実はレコード会社への怒りを表していて」なんて知ると、おもしろいし、ふうんとは思うけど。
    その歌自体を楽しみたい。
    だから、何かを仮託されていることを読み取る、という本の読み方もあるんだなあと今さらながらに、それはそれでおもしろいと思った。

  • 難解だった。

J.L.ボルヘスの作品

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