ニコマコス倫理学(アリストテレス) 上 (岩波文庫 青 604-1)
- 岩波書店 (1971年11月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003360415
作品紹介・あらすじ
古代ギリシアにおいて初めて倫理学を確立した名著。万人が人生の究極の目的として求めるものは「幸福」即ち「よく生きること」であると規定し、このあいまいな概念を精緻な分析で闡明する。これは当時の都市国家市民を対象に述べられたものであるが、ルネサンス以後、西洋の思想、学問、人間形成に重大な影響を及ぼした。
感想・レビュー・書評
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読むのに非常に時間がかかった…
古典に慣れていないと、読み進めるのに大変苦労する。数度同じ文を読んでようやく理解出来る所も多々…それでも、手にとったからにはと解説を検索しながら読了しました。カタカナのルビに惑わされすぎないこと。
善、幸福とは何なのか、さまざまな角度からアリストテレスが思考した道筋を辿ることができる。
人間として、国家としての幸せ、正しさ、徳とは一体何なのか?何をもってしてよい人間、よい行いであるのか?
やり過ぎず、やらな過ぎず…なるほど現代にも通じるものがあると感じ、下巻に続く。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第六巻に関してはあまり理解できていない
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ウェルビーイングを考えるならばまずこの本を読むべきだろうなあ。まずこのひと言。噛めば噛むほど良さが出てくる本だと痛感した。
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無謀ではなく、臆病でもなく、勇気をもて。
虚栄ではなく、卑屈でもなく、プライドをもて。
鈍感ではなく、神経質でもなく、おおらかであれ。
友人は第二の自己である。
革命は些細なことではない。しかし些細なことから起こる。 -
「万学の祖」の異名をもつアリストテレスによる2300年前の倫理学の聖典。
弟子のニコマコスが執筆した本書は、人間にとっての幸福とは何かを説き、後世の哲学界に深刻な影響を及ぼしたとされている。
人間のにとっての究極目的、最高善は、「それ自身として常に望ましい善であって、他の何かゆえに望まれる善ではない」のであり、それこそがエウダイモニア「幸福」であると。
他にも、
苦悩に対して無感覚であるよりも、その苦悩を感覚し、平静に耐え抜くことができる姿勢そのものは幸福である(ストア派的?)
知識を有する者が、必ずしも知識を持たない者よりも実践において役にたつ場合があり、その差を生むのは経験である(経験主義的?)
など、上巻だけでも以後の西洋哲学の源泉をつぶさに掬い上げることができた。
確かに、師匠のプラトンが観念的であるのに対し、極めて実学・実践的な思想が描かれている。 -
上巻、下巻すべて読み終わった後の感想を書きます。下巻の最後に解説があり、それを最初に読んでから本書を読み進めるとよかったかなと思いました。「二コマコス倫理学」という日本語タイトルについての注意点や(正確に言えば倫理学について語っている本ではないよという指摘)、また本書の重要概念である「エウダイモニア」についても、本書内では幸福という訳語が充てられていますが、むしろウェルビーイングというほうが近い、というような注釈がなされていました。
特に後者が大事かなと思うのですが、アリストテレスが「幸福」について語っていると思ってしまうと違和感を持つ個所が多々ありました。明らかに日本人の幸福感とは異なる価値観が展開されているからですが、「エウダイモニア」の概念をウェルビーイングだとして本書を読めば、かなり腹落ちすると思います。人間は知的卓越性だけでなく倫理的な卓越性を持たなければならない。そして倫理的な卓越性は日々の行動、実践によって培われていくこと、さらに何においても中庸こそがもっともすぐれたことなどが議論されています。そこで必要になるのは知慮(フロネシス)ですが、知慮は普遍的なものというよりは、場所や時期によってそのコンテクストを変えていく変幻自在の知であります。知的・倫理的卓越性にもとづいた日々の活動が最高の善、すなわちエウダイモニアにつながっていくということになります。2300年前の文書が現代においてもこれだけ読まれていることに驚愕すると同時に、その書かれている内容の普遍性についても驚愕を禁じえませんでした。 -
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/706517
古代ギリシャの哲学者・アリストテレスの著作を編纂した倫理学書。 -
2300〜2400年?も前に生きていた人が書いた(講義した)ものとは思えない。資本主義も新自由主義も存在しないし国家(共同体)や経済の規模や概念も異なる、そんな時代での考察だけど、現代に生きる僕でも充分に共感や気付きを得られる内容が多かった。
徳のうち技術に関する話は自分の仕事感、また友愛(フィリア)に関する話は、自分の職場や家族との人間関係を改めて考えるきっかけになった。
ここまで共感出来るのは、この本が人間の本質を突いているからだろうか?それともアリストテレスの影響も受けつつ長年掛けて形作られた倫理・哲学世界の延長線を僕が生きてるからだろうか?
答えはわからないけど歴史や古典をもっと勉強したいと思われてくれる一冊だった。
因みに本の読解は難しかった。NHKの解説本(100分で名著シリーズ)やネットの解説を頼りながらなんとか読み進めた。