ジェイン・エア(下) (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003570036

感想・レビュー・書評

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  • 19世紀の古典、少女が愛と居場所を見つけるまで、とあまりぐっとこない要素が特徴の小説。長らく読まず嫌いをしていたのだけれど、いざ本を開いたら、ジェインの強さ、正直さ、自己制御力がとても魅力的。さらに、バーサが原因で起こる日常の不具合のゴシックホラー的描写がアクセントになって、1000ページ近い長編なのに途中で飽きることもなくぐいぐい読んでしまった。ただ強いだけではなくて、悲しいときはおんおん泣くし、死にたくなっちゃったりする。理想のヒロインと現実の18歳の間のどこかに置かれたジェインの人物造形が実に心地よかった。舞台となるイギリスの田園風景の描写も美しくてすてきなのだが、おそらくひどく適当に「私の考えたイギリスの風景」を脳内にでっち上げているので、あとで映画を観ようと思う。

    その一方、男性の主要人物たちには飛びぬけた/独特な魅力が感じられない。ジェインに対する態度に、現実世界に溢れていてうんざりな傲慢や甘えを超えた何かがない。ジェインが大学に行ける時代だったらもっと比較検討の上、誰を選ぶか決められたのでは、などと余計なことを考えたが、まあジェインがいいならいいです。能力を完全に活かすべき、なんて余計なお世話でしょう。しかしパートナーがこの世を去ってからジェインがどうしたか、続きが読みたい。

    当時の人たちにはキリスト教の神が当たり前のように存在していたようで、これはちょっとうらやましい。ジェインも神さまのお導きがあるからって当たり前のように過去を振り返るわけだけど、誰かが自分を見ていてくれるという感覚があるのとないのとでは、生きやすさが違いそうだ。

  • ジェーンの怒涛の人生を一緒に駆け抜けて、面白かった、ジェーンが好きになった。多くの人に愛されるのが分かる小説。この時代のハッピーエンドは結婚だから、最後はロチェスター氏と結ばれるけれど、それは完全に独立した女性としての彼女の意志で、しかも男は身体も不自由にされているという作者の徹底したジェーンの精神の自由への配慮に感心した。貧しくて不器量で身分が低くても毅然としたジェーンの生き様を見習いたい。

  • とにかく地の文ーー語りが良い。油断して意識が語りにふっと吸い込まれて、何ページも何時間も経ってしまったこともあった。途中、3度くらい「このパートナー運の(男運とはいうまい、彼女の果敢な魂に懸けて)なさは何なの!?」と本を置いて溜め息を吐いたものだが。全体は主人公ジェインの、「その自由な魂のほんとうに充ち足りる『愛』」を指向して、大きく波立ちうねりながら進み、その愛に呼応したものの述懐が示すところによって閉じられる。前巻導入部に勝る「美」はない、けれど、ふたりが場所を越えて感応する箇所はまさしく完成されたもので、とても、うつくしい。

  • 自分の考えを直球で相手に投げるジェインは感情的だけど、その一方で穏やかに過ごす術も知っている。どんな状況でも自分がどうあるべきかを考えて自分で決めていく姿はカッコいい。すべてがシンプルで、無駄がない。必要なものが必要な分だけあれば、人はこんなに活動的に生き生きとしていられるんだと思う。
    貧しく境遇にも恵まれないなかでも、前向きでいることができることをジェインは教えてくれる。自分のやるべきことを知り実践していたら、嘆いたり不貞腐れたりしている暇なんてない。
    ロチェスターとの結婚は、そんなジェインの唯一と言っていい望みだったんだと思う。何が自分の幸せなのかを知るジェインの夢が叶ってよかったなぁ。

  • 良かったが、ブロンテ姉妹よりはオースティンの方が好き。

  • 二十歳程度でこうできるか。

著者プロフィール

Charlotte Brontë(1816- 1855).

「2014年 『シャーロット・ブロンテ全詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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