開かれた社会とその敵 プラトンの呪縛(上) 第一巻 (岩波文庫 青N607-1)
- 岩波書店 (2023年2月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (514ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003860250
作品紹介・あらすじ
ナチズムの虎口を脱したポパー(一九〇二―九四)は、亡命先のニュージーランドで、左右の全体主義と対決し、その思想的根源をえぐり出す大著の執筆に着手した。その第一巻では、プラトンを徹底的に弾劾、大哲学者を玉座から引きずりおろすとともに、民主主義の理論的基礎を解き明かしていく。政治哲学上の主著の全面新訳。全四冊。
感想・レビュー・書評
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図書館から借りたのだが,興味が湧かなくて,いつか読むことにして「読みたい」にして,返却。
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岩波文庫で500ページ超×4分冊の構成になるようだ(まだ1冊目しか出版されていない)。
ナチズムの虎口を脱したポパー(1902-94)は、亡命先のニュージーランドで、左右の全体主義と対決し、その思想的根源をえぐり出す大著の執筆に着手した。その第一巻では、プラトンを徹底的に弾劾、大哲学者を玉座から引きずりおろすとともに、民主主義の理論的基礎を解き明かしていく。政治哲学上の主著の全面新訳。全四冊。
構成は、第1分冊(本書)と第2分冊で第1巻「プラトンの呪縛」を、第3分冊と第4分冊で第2巻「にせ預言者ーヘーゲル、マルクスそして追随者」をカバーしている。500ページのうち本文は300ページで著者注が200ページあり、注だけでもそうとう読み応えがありそう。
第1巻には冒頭の序文と序章の間に「イマヌエル・カント 啓蒙の哲学者」という30ページの講演が収録されており、これだけでも相当に面白い。また、カントの位置づけとその後のヘーゲルとの関係をしっかり認識しておかないとこの後(特に「にせ預言者」のパート)の理解に関わってくるだろう。
そんなわけで、「イマヌエル・カント 啓蒙の哲学者」を読んだだけの段階だが備忘録としてここに記しておく。
カントの「啓蒙」と「人間の自由」分析の意味を30ページでキッチリまとめている。あまたあるカントの解説書との違いは、そうしたカントの哲学史のみならず文明史や政治史における位置づけ、とくにカント後の世界を席巻した全体主義や共産主義(そして、その道筋を作ったヘーゲル)との関係が明らかにされていることにある。
日本(だけでもないのだろうが)で書かれたカント本は、ヘーゲルの研究者が書いたものなどあったりして、カントとヘーゲルの関係についてポパーとは全く違う解釈もあったりする。その辺は、まさに「自分で考えなければ正解はわからない」ということ。 -
知的誠実さが極めて高い論証を読みたい人におすすめ。
ヒストリシズムや本質主義、自然主義に依拠するあらゆる言説を批判するとともに、プラトンが全体主義と酷似した政治理論を提示したことを論証する。
対して、個人の権利や自由を保証するために国家が必要であるとする「保護主義」を擁護するとともに、保護主義がプラトンに遡って不当に批判されてきたことを示す(不当な批判としては、個人主義と全体主義、利己主義と人道主義の関係を整理し、それぞれの組み合わせが可能であるにもかかわらず個人主義と利己主義を同一視して人道主義の義憤を促すといったものがあった)。
カントについて触れた、自然科学の人間中心的な説明も面白く読める。 -
◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD00769591 -
日銀総裁だった黒田さんが高校生で夢中になったカールポパーであります、手に取って、パラパラと、という感じでありますが、難解ですね。
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下巻は当分先になりそう。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/787246 -
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