白楽天――官と隠のはざまで (岩波新書) (岩波新書 新赤版 1228)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312284

作品紹介・あらすじ

一世を風靡した流行詩人にして、政治の中枢に上りつめた大官僚。玄宗・楊貴妃の愛の詩人にして、身近な言葉で日常の歓びをうたった閑適の詩人。多難な人生の中で、悲観より楽観を選びとるその詩は、中国の文学に新しい地平を切り開いた。官人としての生涯をたどりながら、日本にも広く深く浸透したその多面的な魅力に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • すごく工夫されている本だと思います。平易な文章で筆者の紹介したいことが、ビシビシ伝わってきました。浅学の当方が、これ以上、コメントすることは難しいですが、これを契機に、もし漢詩を読み進めたら、きっと一番の入門書だったと思い返すと感じています。

  • とても優しい文体で、白楽天の世界へ誘ってくれる。もっと白楽天を知りたいと思わせてくれる。漢詩の訳が、読みやすいため、漢詩に対しても興味がわく。白楽天だけではなく、しゅうへんの事柄についてもわかりやすく補足してくれているため、漢詩の世界が身近にかんじられた。

  • 白楽天が役人として比較的恵まれた人生を送ったことから、「俗」と宋代の蘇軾からは言われたとのこと。しかし、蘇「東坡」は元々白楽天が使った言葉からというのは、楽しいです。「元軽白俗」と蘇軾に並んで揶揄された無二の親友とされる元?との友情、そして長江での偶然の出会いは実に壮大なロマンティックな逸話ですね。白楽天の「長恨歌」が後代からの玄宗皇帝時代の盛唐を振り返る叙事詩であったということは、恥ずかしながら今まで良く知りませんでした。

  • どうせなら楽しい事を詩に!白楽天の詩は明るくなるので好きです。

  • 玄宗と楊貴妃の恋を描いた長恨歌の作者白楽天。その前向き志向の人生観。中隠の薦め。恵まれた才能があればこその生涯かも。結局、プラス志向であることが、日常的なストレスを抱えず、これが結果として長寿に通じているのかもしれない。

  • [ 内容 ]
    一世を風靡した流行詩人にして、政治の中枢に上りつめた大官僚。
    玄宗・楊貴妃の愛の詩人にして、身近な言葉で日常の歓びをうたった閑適の詩人。
    多難な人生の中で、悲観より楽観を選びとるその詩は、中国の文学に新しい地平を切り開いた。
    官人としての生涯をたどりながら、日本にも広く深く浸透したその多面的な魅力に迫る。

    [ 目次 ]
    第1章 エリート官僚の誕生―元和新政の申し子(幸運な門出;若い文人官僚たち;「長恨歌」をうたう)
    第2章 流行詩人の登場―新しい表現の旗手(一世を風靡;元軽白俗;社会詩への転身)
    第3章 諷諭と閑適―公と私(江州左遷;『白氏文集』の編纂;元〓(しん)との交情)
    第4章 生きるよろこび―自足する晩年(朝廷への復帰と離脱;宦遊の日々「閑適」の成就)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 本書は、中国文学を専門とし、

    京都大学教授である著者が、白楽天を紹介する著作です。


    玄宗と楊貴妃の悲愛を詠んだ『長恨歌』で知られる唐代の詩人・白楽天。

    彼は、当代きっての人気詩人であると同時に、

    宰相の地位も嘱望された優秀な官吏でもありました。


    本書では、その栄光と挫折が入り交じる生涯を、

    当時の政治状況や他の文人らとの交遊をふまえ概観するとともに、

    『長恨歌』や代表的な詩作についてコンパクトに解説します。


    左遷による挫折を味わい、鬱々とした気分で詠んだ『舟中雨夜』

    友人である元に長年会うことのできない状況を詠んだ一連の詩作などはもちろん

    思いがけず人気作家となったことを、自嘲するかのような言葉なども印象的でしたが、

    とりわけ心に残ったのは、

    自身の詩作の意義を『孟子』によって裏付けようとする過程と、

    それに対する著者の評価です。


    文字通り、血で血を洗う政界で身を処しつつ

    風雅の世界で頂点を極めた稀有な才人・白楽天

    その栄華に満ちた生涯と、秘められた苦悩を簡潔に紹介する本書。


    中国の詩や歴史に興味がある方はもちろん

    授業で漢詩を勉強する高校生などに強くオススメしたい著作です。

  • 日本でも平安時代に大流行した白楽天の評伝ですが、専門家向けではなく非常に読みやすかったです。後世、李白や杜甫よりも評価が低いように感じますが、友情や官界での苦労など李杜よりもはるかに人間くさいところがあります。

  • 白楽天の生涯と詩想の変遷を易しく解説した本。

    第4章〜生きるよろこび〜生と人間を肯定する の中に<span style='color:#ff0000;'><u><b>「不幸の絶えることのない身と世ではあるが、なおもその中に生きることのよろこびを見つけ、幸福感に満ちた文学世界を繰り広げてみせる、そこにこそ白楽天の文学の意味がある」</b></u></span>とある。これこそが本書の要約ではないか。

    枕草紙の<b><span style='color:#ff0000;'>「香炉峰の雪は」</span></b>や長恨歌で出てくる<span style='color:#ff0000;'><b>「比翼連理」</b></span>を昔むかしに習った覚えがある。漢文・漢詩に全く門外漢の身であってもなんとなく心に残る部分があるものだ。

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著者プロフィール

京都大学名誉教授

「2023年 『新釈漢文大系 詩人編7 杜甫 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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