玄奘三蔵、シルクロードを行く (岩波新書) (岩波新書 新赤版 1243)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312437

作品紹介・あらすじ

中国・天山山脈からガンダーラへ。「シルクロード」と呼ばれた古道のほとりで、東西の宗教や言語がまじりあう豊穣な文化をはぐくんだ西域・中央アジアの国々。今は歴史の彼方に失われたその姿を、旺盛な好奇心と鋭い観察力をもって記録に留めたのが玄奘三蔵そのひとであった。前人未踏の地をゆく、険しくも心躍る玄奘の旅を追体験する。

感想・レビュー・書評

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  • 仏法を求めてシルクロードを踏破、遥かにインドまで旅をした玄奘三蔵、それは文字通り命がけの冒険であった。じじつ彼以来、誰一人として同じ道を通ったことはなく、部分的なルートでさえ未だに踏査されていない箇所がいくつも残されているという。本書は、文化史の立場からも検討が行われ、玄奘の残した「大唐西域記」は、もはや単なる古代の旅行記にとどまらず、その正確無比な記述は考古学の手がかりになり、また人類学の貴重な記録としても精彩を放つ。    -20100630

  • (とてもよい作品だと思いますが、わたしにとっては繰り返して読むものではないので、星は三つにしております。)
    玄奘三蔵について、新書のサイズでとてもきれいにドラマティックにまとめてあります。

    私も旅が好きですので、玄奘が旅にでるときの心躍る気持ち、大変理解できます。
    高昌国の王様とのエピソード(そしてその娘婿)も涙が出そうになります。

    ただ、玄奘が立ち寄った国、とくに歓待してくれた国で往々にして政変がおこったり、滅びたりしているのが気になります。
    作者は、裏に唐の政治的な関与をほのめかしていますが。
    玄奘を歓待してくれる国は、仏教に対する関心も高く、親中国的なところであろうと思うので……そこを無理に政治介入をする必要はないように考えるのですが、どうでしょうか。
    この件について、自分で直接調べたりする時間はないのですが、ちょっと気になりました。

     自分も先日ウズベキスタンにいったばかりで、玄奘が味わった当地の名物(ナン、牛肉羊肉、ヨーグルト、蜂蜜)がそのまま現代でも残っていたことを嬉しく思いだすことができました。

  • 長いゴールデンウイークにタクラマカン砂漠あたりに行ったため読んだ本

    どちらかというとバーミヤンの大仏への強い思いがあふれた本だったが、タクラマカンあたりもところどころあそこかと思う記載があって面白かった

    玄奘の生い立ちから記録の取り方まで記載があって、さまよえる湖もそうだけど古典の記述を実際に考古学で検証していく楽しみに立ち会えるようなわくわくがあった

  • 2018/9/10
    玄奘の旅程を追いながら、その地域の歴史を描いていく。アレキサンダー大王が通った道を玄奘も通った。ボクも通ってみたいものだ。玄奘がインドで何を学んだのかも知りたかったが、残念ながらインドにたどり着く前に終わってしまった。他の本を読まなければ・・・

  • まさかインドに着く前に終わるとは

  • 玄奘の生立ちとシルクロードの旅をコンパクトに纏めた新書で読みやすかったが、途中バーミヤンの辺り以降、土地の史跡に関する記述が主になってしまっている。その為、旅の物語もその辺で切り上げられ、巻末に長安に戻って以後の事績が添えられているのみ。著者のアフガニスタンでの経験と思い入れがやや出過ぎて、玄奘その人から離れた感があるのは惜しい。

  • 2013.11.26
    結び〜あとがきが読み応えあり
    もしなお文化が生き残っているとすれば、国もまた生き残れよう
    カーブル博物館 横断幕

  • 西方への果てしない旅は誰に命じられたものでもなく、翻訳物ではない仏典の原典に触れて真髄を学びたいという情熱的な欲求が動機で、海外の翻訳作品をいつかは原文で読みもっと理解したいと考える(だけで何もしていない)私はそこに親近感を持ちます。入念な下準備をして実行に移す行動力、国禁をおかして国外へ旅立つ度胸、行く先々の地を見つめる緻密な観察眼、過酷な道のりを進む強靭な精神力。そんな玄奘の長い長い旅のダイジェストとも言える本でした。こんなにエネルギッシュな人ならば、ブタとサルとカッパのお供は必要なさそうですね。

  • [ 内容 ]
    中国・天山山脈からガンダーラへ。
    「シルクロード」と呼ばれた古道のほとりで、東西の宗教や言語がまじりあう豊穣な文化をはぐくんだ西域・中央アジアの国々。
    今は歴史の彼方に失われたその姿を、旺盛な好奇心と鋭い観察力をもって記録に留めたのが玄奘三蔵そのひとであった。
    前人未踏の地をゆく、険しくも心躍る玄奘の旅を追体験する。

    [ 目次 ]
    第1章 不東の旅立ち
    第2章 異文化の香り高い西域
    第3章 シルクロードの十字路ソグディアナ
    第4章 古代バクトリアゆかりの国ぐに
    第5章 仏教文化の聖地
    第6章 果てしなき道

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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • まさに三蔵法師が歩んだ道そのもの。
    西遊記ではなく大唐西域記であること。
    しかし、改めて玄奘の偉大さを教えてもらった。
    壮大なスケールの人生を垣間見た気がします。

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著者プロフィール

アフガニスタン文化研究所所長。
1957年名古屋大学文学部卒業。1975年より和光大学教授(アジア文化史・思想史)。2003年和光大学退職、名誉教授。東京藝術大学・帝京大学客員教授。
1964年名古屋大学アフガニスタン学術調査団一員として初めてバーミヤンを訪れ、以来アフガニスタンほか、西アジア、中央アジア、南アジアの古代遺跡の実地調査を行う。現在は主にアフガニスタンに関する文化研究を進めると共に、2003年7月から開始されたユネスコ日本信託基金に基づくバーミヤン遺跡の保存・修復の事業に参加している。

「2021年 『アフガニスタンを知るための70章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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