超デジタル世界 DX,メタバースのゆくえ (岩波新書 新赤版 1956)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004319566

感想・レビュー・書評

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  • 西垣氏の本は数冊読んでいたので本書も手に取りました。新書ということであっと言う間に読了できましたが、著者の本を初めて読むという人は、概念の理解等に時間がかかるかもしれません。本書ではDXを、「オープンデータ」「オープンソース」「クラウド」というキーワードで表現します。そして日本人、日本企業がいかに「オープン」を苦手とするかについて論じつつ、オープン化にまい進している米国も、実はオープン化がもたらす弊害(システムの不安定化、もしくは独裁者の登場)に苦しんでいる、と論じます。これは目を開かせてくれる主張だと思います。現在コンサルタントや多くの有識者が「オープン化」=良いことで金科玉条のように述べていますが、本書を読んで改めて「中道」の大事さを感じました。つまり完全にクローズドなデジタル化も良くないが、完全にオープンなデジタル化も実は良くないのでは、ということです。

    また著者が以前から主張している基礎情報学のフレームを使った分析も興味深かったです。これはオートポイエーシス理論に階層構造を持ち込んだフレームワークで、人間個人をオートポイエティックで自律系の存在としつつ、その上位にある社会システムからみると人間個人は他律系として機能していることになるというわけです。日本社会はこれまで指導者層だけが外に対してオープンで、欧米の知識を輸入していたが、市民レベルもしくはコミュニティレベルは極めてクローズドを保っていた、しかしそれがインターネットの登場で崩されつつあるわけです。それ以外にも興味深い個所はありましたが、全編通じていろいろと考えさせられる良書でした。

  • デジタル化が進む社会の将来見取り図として有用な著作。さすが西垣さん、という感じ。

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1956/K

  • dx、メタバース、オープン化と、何でも負の側面は存在しそして実際起きているわけで、無批判、無邪気に飛びつくべきではない。デジタルが有する最適化、効率化という全体主義的な発想は危険で、個人の自由意志や自己決定権も配慮すべきという点も納得できる。程々に不透明で多元的な社会が最も安定しているという研究成果の紹介も面白かった。

    ただ、デジタルを推し進める人たちを、人間をモノと一緒で全体の中の部品と捉える輩と極端に決めつけて議論を進めるやり方はいかがなものかな、と率直に思った。アメリカのデジタルビジネスが、世界を自分の思い通りに変えたいという宗教的ミッションに基づくものとのことだが、何を根拠に主張しているのだろう?著者の長年の経験の中で色々と鬱憤が溜まっているのかな?と邪推してしまった。
    また、だから日本文化にあった方法でという結論に飛びつくのは論理の飛躍があるように思えた。デジタルにはいいところもあるしわるいところもある。極論どおしで否定しあわず現実的な妥協点、解決策を探すということに尽きる気がする。AIの限界も説いているが、chatGPTがローンチした今でも結論は変わらないか気になった。

  • 欧米が牽引するDXに乗っかれば日本は幸せになるのか?文明の本質からDXを問い直す本。

  • 情報について、もっとも新しく述べている本である。政府の提唱するDXとメタバーズについて批判的分析をおこなっている。最後では情報Iで重視されたプログラミング教育について、非常に狭いシャノンの情報概念としてユダヤ=キリスト概念にそったものであることを看破している。
     情報メディア論として大学初年度の学生に推薦できる本である。

  • ソサエティ1.0 狩猟社会
    2.0 農耕社会
    3.0 工業社会
    4.0 情報社会
    5.0

    DX(Digial Transformation)

  • 007.3||Ni

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著者プロフィール

東京経済大学コミュニケーション学部教授/東京大学名誉教授

「2018年 『基礎情報学のフロンティア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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