獄中記 (岩波現代文庫 社会 184)

著者 :
  • 岩波書店
3.99
  • (49)
  • (63)
  • (26)
  • (11)
  • (1)
本棚登録 : 715
感想 : 62
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (550ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006031848

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 外交官×神学の境地とはこんな感じなのか…本人は大変だったろうが、これは読み物としてかなり面白かった。

  • この本は著者が下獄していたときのノートや手紙を元に編みなおした記録です。今回この本を読むのは三度目になりますが、その圧倒的な思索の量と質に驚きをかくせません。

    どうも最近、こういう本ばっか読んでます。僕がこの本を読むのは今回を含めてちょうど三回目のことになりますが、読むたびに作者の強靭さと知識の深さ、量と。思索の緻密さに改めて舌を巻いたしだいでございます。この本は著者が当時、外務省のアフガン支援NGO問題に端を発したもろもろの政治事件に絡んで東京拘置所に下獄していた514日間の記録です。その間に自分のすべてを記録したノートを五分の一に圧縮したそうですが、それでもものすごい量で、これだけのことを獄中という特殊な環境でつづり続けたという事実は、作者の精神の強靭さと、辿ってきた外交官人生が以下に過酷なものだったかということを示すものだと思います。

    もし、自分が信念を持って取り組んでいた仕事のために国や自分が所属する組織から裏切られてこのような境遇に自分がなってしまったときに、果たして彼のように『誠実』であることができるのだろうか?そんなことを自分に問いかけながら活字をずっと追っていました。でも、獄中の中でこれだけの思索ができるのは本当に見事としか言いようがありません。

    作者は出獄後に論壇や文壇でその恐ろしいばかりの知識を使って、多彩な執筆活動を展開していくのですが、それが小菅の東京拘置所の中にその萌芽があったということに僕は驚きを隠せません。彼が読んでいた神学書や哲学書に関しては、相当難しいのでまだまだだなと自分を振り返りたくなりました。人はどんな境遇でも自分を見失わずにここまでのことができるのだと。そういう事実をこうして残してくれた筆者に、感謝します。


  • (2024.03.01)
    大阪・梅田・紀伊國屋書店で目についた。
    後に、ブックオフで見つけて、損をした。

    [題名]『獄中記』
    [著者]佐藤優
    [出版]岩波現代文庫(社会-184)
    [動機]佐藤優氏が書いてる著書の中で
        最も刺激的な題名

  • 筆者の同時期の作品とともに読むとよい

  • たしか読み終わってる

  • とにかく獄中記は深い思索のもので書かれているので面白い。
    本(それも小説や実用書ではなく学術書、それもテキストとなるような書物)を精読するというのは一生の経験になるであろうな。

    自分は本を読むと言っても、下読み、あるいはそれに毛の生えた程度なので、とてもとても精読していると呼べる本等ありはしない。
    今後の課題はそういった本を何冊かでも見つけ精読すること。

    深い洞察が折に触れて出てくる。
    それらを読み返したいと思うときがくるだろう。

    そのときのためにも手元においておきたい。

  • 真実がどこにあるのかはわからない。
    わからないが、512日間の強烈な精神力がここに描いてあった。
    真似などできるものではない。

    [more]
    (目次)
    第1章 塀の中に落ちて―二〇〇二年五月二〇日(七日目)から七月二八日(七六日目)まで
    第2章 公判開始―七月二九日(七七日目)から九月二七日(一三七日目)まで
    第3章 獄舎から見た国家―九月二八日(一三八日目)から一二月三一日(二三二日目)まで
    第4章 塀の中の日常―二〇〇三年一月一日(二三三日目)から六月一五日(三九八日目)まで
    第5章 神と人間をめぐる思索―六月一八日(四〇一日目)から八月二八日(四七二日目)まで
    第6章 出獄まで―八月二九日(四七三日目)から一〇月九日(出獄後一日目)まで
    付録

  • 塀のなかにいることを
    ある種楽しんでるよーな?

    もしくは

    せっかくの機会だから活かそうとしているのか?

    どちらにせよ
    一般人からすると奇人変人の類い


    知の巨人という渾名も分からんでもないです。

  • 鈴木宗男氏に対する国策捜査に巻き込まれ、実刑判決を喰らった元外交官であり、現在は執筆・評論業に忙しい佐藤優氏が、収監中に書き溜めていた大量のメモや手紙を1冊の本にまとめたもの。逮捕されるまでは対ソ連・対ロシアの外交官であり、モスクワ在任期間が長かったこともあり、ロシアや東欧に関する政治・文化的背景の洞察がとても鋭い。近世以降のヨーロッパの政治史・哲学史・宗教史に対する造詣が深く、このような豊かな教養に裏付けられた現代ロシア論には迫力がある。
    本書が執筆されたのは2000年代前半であるが、執筆内容の多くは、現在のロシア情勢にも十分に通用する。たとえば本書を読めば、ウクライナ情勢を受けてロシアが中国に急接近する素振りを見せたとしても、99%はブラフであろうということが容易に想像できるようになる。
    神学を高いレベルで究めた著者が、牢獄において自己を律し、頽廃も絶望もすることもなく、論理的かつ客観的に自己の置かれた状況を分析し、検察と正面から闘い続けた精神力には、ただただ脱帽するばかりである。

  • 深い洞察によって書かれた本。ここで紹介されている本は全て読んでおくべき。

著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤優の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×