- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022504968
作品紹介・あらすじ
大学受験の失敗から、女子寮に集った22人の女の子。同じ目標に向かっているのに、来春は、別々の世界へ散っていく。騒がしくも、はかない1年をめぐる、彼女たちの青春小説。
感想・レビュー・書評
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連作短編4編+エピローグ
大学浪人の女子寮を舞台に繰り広げられる群像劇.それぞれの事情は異なるがセックスをキーワードとして1年が巡る.モラトリアムの不安な気配が漂った空気が描かれていた.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
誰も知らない自分がいる。
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浪人生の集う女子寮での短編集。
18・9とかの女の子達のなまなましさ、みたいのがすごく感じられてしまって、私はちょーっと苦手だったかな。。 -
来年の春は、散っていく花も美しく見えるのだろうか-。大学受験の失敗から予備校の女子寮に集った22人の女の子。あおい、咲、多英、礼奈の4人を中心に、騒がしくも、はかない浪人時代の1年をめぐる、彼女たちの青春小説。
4人の視点で描かれた短編が4篇。若い女性の集団生活というだけで微妙な人間関係が、浪人と言う過酷な環境でさらに複雑に…。でももっとドロドロした展開かと思ったら、描き方がクールなので読後は結構さっぱりした気分。
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高校生のころ、短期間だけどした寮生活を思い出した。
大変だったけど楽しかったな。
でもこの本のようにお風呂まで共同だとなぁ・・・
それがタイトルになるんだって終わり方だった。
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線画っぽい表紙で手に取る予備校の女子寮の話で、春夏秋冬が4人の寮生の視点から書かれてる「春」の話が同じくらいの年代の登場人物を客観的に見て珍しく微笑ましかったなんでそう考えるのにそこでまたその動作?みたいな特別おもしろくはなく、考えさせられるものもなく、だから小説っていいなとおもう小説
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どういう切っ掛けでその本を手に入れたのだったか、もう忘れてしまった本を読むことになるということが、実は少なからずある。月に一度、本の束を受け取るスタイルで本を読むようになってから、そういうことがよく起こる。受け取った時に既に、辛うじて注文した時の記憶が残っているような本がある位なので、それらを並べて、一冊ずつ(そう、自分は複数の本を同時進行で読むことができない)その時の気分で取り出して読んでいると(かつては買った順に律儀に読んでいたこともあったけれど)どんどん記憶の底の方に押し込まれていってしまう本がどうしても出てきてしまうのだ。どの本も買うことを決めたときには一応入れ込んで注文してはいるのだけれども。
木村紅美の「花束」は誰かの書評に釣られて買ったものだったような記憶がかすかに残ってはいる。残ってはいるのだけれども、読み終えてみて、改めてその書評の何に動かされたのだかが全くわからない。文体に興味があったわけでは無いような気がする。話の内容に、というわけでもないと思う。じゃあ何を期待していたんだったっけ、自分。いかんせん、そう自問しても何も記憶の底からは浮かんでこない。
ところが、別な記憶がゆっくりと浮かび上がってきて、驚いた。それは少しノスタルジックと言ってもよい感傷的な思い、でもある。「花束」が描く下宿生活が、学生時代の自らの下宿生活を思い出させたというのは、もちろんある。だが、それだけではなく、この少女たちばかりが出てくる話が、すっかり忘れていたある時期の自分の読書の思い出と、それと同時に当時の自分が感じていた感傷的な気分も、記憶の底から引き揚げたのだ。それは余りに青い時代の自分の記憶であり、思い出すのが恥ずかしいような記憶でもあるのだけれども。
自分が男声合唱などという、もう聞いただけで男臭い世界にのめり込むずっと前、「多感な」と括弧つきで断りたくなるような中高生の頃に魅了されていたのが、少女マンガと少女小説(って今や聞きませんが)だった。とは言っても広くそういう世界を極めていた訳ではなく、ずっと男子寄り(?)の清原なつの(「花岡ちゃん」ですねえ、やっぱり)や立原あゆみ(言わずと知れた「ヰタセクスアリス」)を好んで読んでいたのだ。そして、文章で嵌まっていたのが、氷室冴子なのだった。
今にしても振り返れば、それが女子という謎の存在に対する、かなり間違ったアプローチ、努力であったのだろう、と自分を弁護してやることもできるが、当時の自分はこういう世界があることに(ってどんな世界だか実際に見聞きしたわけではないのだけれど)、もの凄く「興奮」していたように思う。そういう高揚感で詩などもたくさん書いていた。その熱っぽさが記憶の底から蘇ってくる。
もちろん、「花束」のこの設定は、もう直接的に氷室冴子の「白書シリーズ」を猛烈に喚起する(ああ、そう書くだけでもう充分に恥ずかしい気分に襲われる)。しかしそれにもまして、不思議なことに、実際には一度も嗅いだことのない少女たちの発する化学物質に満ちた空気の匂い、といったようなものが、うっすらと蘇ってくるような錯覚を覚えるのだ。
ひととき、今の自分の姿に目をつぶり、10代の頃の気分に浸って読んでしまう。もちろん、読み終わった途端、照れ隠しにこんな文章を書くことになってはしまうのだけれども、それも今回ばかりはそんなに嫌な気分ではない。決して中年のいい歳をした男性が読んで面白がるような本ではないとは思うし、作家に強い引力を感じることもないのだけれど、あの頃思い描いていた、ちょっときれい事に片付けようとしていた世界を改めて取り出して、それに現実味を加えることができたように思う。ということは、木村紅美がしっかりと人間臭さを描いているということなのだろうと思う。
それにしても、なぜこの本を手に入れたのだったか、と今一度首をひねっているのでは、あるのだけれども。
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1月10日
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浪人生が集う女子寮を舞台に、それぞれの四季ごとにストーリーテラーが変わってゆく連作短編集。誰一人、「人」に対して同じ捉え方、印象を抱いていないという事に気付かされる。(私自身が女子寮生活のがある経験上)あの独特の雰囲気、昔からの暗黙のルール、女子ならではの妙な仲間意識が呼び起こされた。けしてさわやかではないけれど、最終章の短編で綺麗にまとまった気がする。