- Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022505712
作品紹介・あらすじ
財政破綻にあえぐ極北市。赤字5つ星の極北市民病院に、非常勤外科医の今中がやってきた。院長と事務長の対立、不衛生でカルテ管理もずさん、謎めいた医療事故、女性ジャーナリストの野心、病院閉鎖の危機…。はたして今中は桃色眼鏡の派遣女医・姫宮と手を組んで、医療崩壊の現場を再生できるのか。
感想・レビュー・書評
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前に読んだことあるかもーと思いながら手に取りました。権力者に対してのみんなの言葉遣いが、本当にそんなこと言うかな?って現実味がなく、響いてきません。で、海堂さんはこの作品でなにが言いたいの?と。腐敗した病院組織も医療事故の話も、中途半端に終わってしまい、消化不良。
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赤字5つ星を抱え、財政破綻にあえぐ極北市‼
そのうち、1つ星の極北市民病院に、極北大から非常勤外科医として派遣された今中は、院長と事務長の対立、不衛生でカルテ管理もずさん、謎めいた医療事故、女性ジャーナリストの野心、病院閉鎖の危機など、これでもかってほど、目まぐるしく起こる出来事に(゜ロ゜)
遂に財政破綻した極北市‼
突然登場した再建請負人に吃驚、で巻末⁉
焦って、調べてみると、続篇がありました(^^; -
続編への布石なんだろうなぁ。
どうしようもないほどの人ばかりがクローズアップして描かれて
最後には一掃され、ヒーロー登場で終わる。さてここから、っていうところで。
ブラックペアンからのヒーローの成長ぶりに驚き。ぺいぺいの研修医だった頃が懐かしい。
姫宮さんがスパイスになっていたのが面白かったかな。 -
地方医療が崩れていく様子が描かれているのと同時に、ふと、祖母が入院した時、地方の病院に行った時のことを思い出す。あの時の臭いは今でも忘れられない。
少しずつ、病院の体制が崩れていく姿が何とも言えなかった。
病院が再生する物語があるのならば読みたい。
少し違うが、『プラチナタウン』(楡修平)なども介護問題・地方医療問題を扱っているので読むと面白いかもしれない。 -
地方公立病院の成れの果て
大学病院から地方病院へ出向させられた一人の外科医。
彼が赴任した病院は多額の赤字を抱える自治体の公立病院であり、それ自体も赤字経営の温床だった。
ありえない現状を次々に目の当たりにし、慣れつつ文句も言いつつ、日々の業務に勤しむ。
だが、病院を襲うのは中央で対立する司法と医療の代理戦争であった。
途中までは唖然呆然、リアルに病院で病気をもらってきそうな所だが、こういう所が本当にあるのだろうか?旧態依然ならまだマシ、と思えるレベル。
最期にドドドッと物語が動くのだが、これは…以前ニュースにもなったな。
外科、産科に限らず、医療に絶対はない。
常に確率を明示され、それでも可能性に賭け、人事を尽くして天命を待つ。
本来はそうなのに、今はあまりに技術が発達し、出来て当然のように捉えられている。
それだと、果敢にリスクをとることが本当に馬鹿らしく思えてくる。
誰のために、何のために、やるのだろう。
そして、公立病院の悲惨さ 笑
一概に公立と括っては行けないかもしれないが、やはり安心感はあるからなぁ。
大丈夫、と言われつつ、潰れてしまうこともあるんだよ。 -
なんか、いいかげんな病院だなぁって。でも、いい方向に変わっていくといいな。
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破産した北の架空の自治体・極北市を舞台とする。いや、舞台というより、この破産した土地の医療現場である極北市立病院そのものが、この小説の主人公であるのかもしれない。
誰がどう読んでも、夕張という実在の破産自治体がモデルであることは自明である。市立病院があり、破綻した医療システム、駅に隣接した豪奢なリゾート・ホテル、その裏の破綻したスキー場、破綻した遊園地。そのどれもが夕張以外の何者をも想起させない。
ぼくは、昔、医療関連の仕事をしていた頃、ここの市立病院に何度か入ったことがある。そこは、まぎれもなく老朽化した暗い建物だった。純白のリゾート・ホテルからいくらも歩かない場所に、病院は、古びて傾いていた。
病院前から延びる一本の通りは、昔栄えていたことをうかがわせる何かがある。今は人っ子一人歩いていないが、きっとかつては鉱山の仕事を終えた労働者たちが繰り出したであろう繁華街の幻だけが広がる。
一方では、夕張映画祭で、映画の街のイメージを作った夕張である。ふるさと創成金の一億円の有効な使い方として、当時は評価された。今でも古き映画の看板が、閉ざされたシャッターの並ぶ商店街に並んでおり、それらが、見る者とてない無人の通りにだらりと延びている情景こそが、異様に映ったものだ。
さらに先には大夕張という、かつて栄えたが、これからダムの底に沈んでゆこうとしている町がある。そこを車で走った折に、前をバスが走っていた。バスの向うに廃校となった小学校が見えてくる。道路を渡る歩道橋(こんなものにも最早何の意味もないのか、とぼくは胸が痛くなった)に、「想い出をありがとう」の横断幕が掲げられている。ぼくはまさしく震えた。
あの頃、何度も湖に沈む前に取り壊される大夕張の町を撮ろうとカメラを構え、廃屋を撮影して回ったのだった。
それは、もう10年以上も前のことだ。
そう言えばこんなこともあった。ある休日に、夫婦で、幼い息子をつれて、石炭の歴史村の野外ステージで何とかレンジャーというTVヒーローの出し物を、裏山から眺めたのだ。入場料がもったいなかったので。実際にキャラクターショーの観客よりも、キャラクターたちのほうが多い情景だった。裏山から覗き込む家族連れは、ぼくたち以外にも何組も見られた。拓銀が破綻した年のことであった。
その後北海道の金融はバブル破綻の代名詞みたいになり、石炭の歴史村も、夕張市も破綻していった。信じ難いスピードで。
この小説では、そんな町の、破綻してゆく市立病院を舞台に「ジーン・ワルツ」では噂だけの登場となった三枝医師の姿を見ることができる。さらに、移転した極北大医学部の救急部に、あの『ジェネラル・ルージュの凱旋』の速水医師の颯爽たる姿が見られる。さらにテレビ画面の向こうではチーム・バチスタの手術シーンが行われているようだ。ああ、海堂尊の世界は時間軸に沿ってではなく、ときには遡る。そして、こうして土地や人間は。複雑に絡み合っているのだ。
本書でも何人かの印象的な女性たちの姿が残る。姫宮、西園寺さやか、そしてとっても印象的なのが並木看護師である。
いつもながらいい世界だ。そして幻のように瞼の裏に甦る夕張が、ぼくの心にはずっと在り続けるだろう。 -
小説の続きが気になる!
田口&白鳥が出てこない、いつもと違う内容で新鮮でしたよ!