- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022508324
作品紹介・あらすじ
数千人の人々を乗せて海を漂う"団地船"、永遠に朝が訪れない町、"生態保存"された最後のニュータウン…喪失、絶望、再生-もう一人の"私"が紡いでゆく、滑稽で哀しくて、少しだけ切ない九つの物語。『失われた町』『刻まれない明日』に連なる"町"を、気鋭の写真家との奇跡的なコラボレーションで描く連作短篇集。
感想・レビュー・書評
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★異端は、希少であるが故に異端視されるのだ。(p.102)
好きです、この本/シュールなはずの設定なのにちゃんと物語になっていてしんみりさせられたりほんわりなったりはいつもの三崎亜記さんです/短編集というかショートショートに近いです/写真もよいです。
【遊園地の幽霊】遊園地があった地にできた町の人びとが見る夢。
【海に沈んだ町】海はきまぐれにやってきて町を沈める。
【団地船】団地船も今では老朽化と高齢化が進み寂れている。
【四時八分】旅を続ける運命の男は早朝四時八分で停止してしまった町を「案内人」の少女とともに通り抜ける。
【彼の影】私は他の誰かの影と暮らしはじめる。
【ペア】ペアであることの意味?
【橋】特に問題の発生していない橋をわざわざ丸木橋に?
【巣箱】巣箱が異常発生しているが一刻も早く除去しなければならない。
【ニュータウン】ニュータウンという生態系保護のための生態展示。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
短編集
遊園地の幽霊、彼の影が好きでした -
町にまつわる短編集
ファンタジーのような、どこにでもあるような、なんだか不思議な透明な話。
挟まれている写真も、話に深い味わいを与えている。 -
不思議な雰囲気の連作短編。
団地とかニュータウンとか、昭和のノスタルジックさを感じた。写真も雰囲気があって良かった。 -
三崎さん初で、各話の題や、中のモノクロ写真から(怖いの?)と、ちょっとびくつきながら読む。
短編なのでスルスル読め、不思議な世界へあっという間に落ち、早々に読了。
ちょっとしたワードがつながっている感じで、どんどん読んでしまった。
夜中に『四時八分』を読んでしまい…ひとりゾワゾワしたり。同じ話を読み返したり。
白石さんの写真が、また良い味出してきて
なんていうか…独特で面白かった。ゾワゾワ…
『彼の影』が好き -
数千人の人々を乗せて海を漂う“団地船”、永遠に朝が訪れない町、海に沈んでしまった故郷を探しにゆく男、政府に監視されるニュータウン―。私たちが生きる現実から少しだけ乖離してしまった町を舞台に、そこに住む人びとを淡く繊細に描いてゆく、9つの物語。
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短編集。ファンタジー。
どこか少しだけ現実離れした日常。
設定が少しだけSFっぽい作品もあり。
各短編が微妙に繋がっているみたい。
不思議でノスタルジック。
表題作と「団地船」が好み。 -
52:三崎さんならではの静けさの中で語られる、場所と人と記憶の短編連作。作中に登場した単語が次の物語のタイトルになる、というちょっと嬉しい仕掛けもあり、挿入される写真もすごく雰囲気があって、腕を上げたな……! という感じでした(何様!?)。
「遊園地の幽霊」や「彼の影」みたいにほのぼの調のものもあれば、「巣箱」や「ニュータウン」みたいにブラックユーモアを感じさせるものもあって、さらっと読めるのにしっかり残る感じがすごくいいです! 三崎さんはくせのない文体だけど、けっこう好き嫌いがあるようなので積極的にお勧めはしませんが、私は大好き。 -
3.11にこの様なタイトルの本を読んだのも、何かの縁なんだろうな。