- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022508324
感想・レビュー・書評
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三崎亜記の新作短篇集。
いつもの不条理でコミカルなものもありますが、
情緒的で深みのある表現が増えてきた気がします。
新たなフェーズに押し進んでいる感じ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何もこんな未曾有の津波災害の時に読まなくても…と思いつつ、読んでしまった。今までの喪失した町シリーズの中で一番しっくりと読める物語だったと思う。静かに哀しくて、夢幻の世界と現実がうまい具合に交叉していて。白石さんの白黒写真も、この三崎さんの描くどこかふわふわした世界を巧みに奥行きのあるものにしてくれたと思うし。ただ・・・せっかくの佳品なのに、あまりにも津波の恐ろしさとリンクしていて、きちんとした評価がなされないような気がする。本当だったら来年度の本屋大賞の候補になってもいいような本のような気がするのだけど、やはり、読んでいて、東北の被災者の皆さんのことを思わずにはいられず、私はこんな風に本なんか読んでいていいんだろうか・・・と、かなり後ろめたい気持ちにとらわれてしまったし。
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団地船・・・・萌ぇぇ(´-ω-`)
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三崎さんの今度の短篇集もまた記憶に残る本だ。淡々と語られるから現実のような気がして油断しているとまんまと三崎ワールドへ連れて行かれる。その圧倒的なリアリティと語りのよどみなさは過去の作品以上だ。町の興亡、衰退というおなじみのモチーフを扱いつつも、これまでとは、そこに含まれる「愛」の匙加減が変わってきた気がする。その形は、男女の出会いであったり、見知らぬ人とのつながりであったり、夫婦の絆であったり、様々だけれど、どの話もせつなく心に響いてくる。抗いようのない暗い日常の中でのかすかな希望であり、そこに射す一筋の光のようだ。
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数千人の人々を乗せて海を漂う“団地船”、永遠に朝が訪れない町、“生態保存”された最後のニュータウン…。滑稽で哀しくて、少しだけ切ない連作短編集。
異世界を舞台に喪失感を描く相変わらずの三崎ワールド。初期の頃の作品にあった「どこかとぼけたユーモア」は少ないけれど、切なさに磨きがかかった。その消えたユーモアは写真家白石ちえこによる「在りえないモノ」の写真が補っている感も。やはり三崎亜記は独り善がりな?SFより本作のような作風の方が私は好きだ。
(A) -
いつもの日常の中にあるかもしれない、別の世界の扉。
そんな世界をいつもこの人は見せてくれる。 -
区画。
そこで区切られるコトで、より浮き立つ町
失う切なさ、得る尊さ
薄い膜の先にある、異なる世界
やっぱり好みだ -
これは写真が先、それとも文章が先、あるいは両方? いずれにせよ現実感の薄い不思議な写真と三崎さんの文章がすごく合っています。お気に入りは置き去りにされた町を描いた「四時八分」、温かい気分になれる「彼の影」、滅びと再生が明確に現れている最後の短編にふさわしい「ニュータウン」。やっぱり三崎さんの静かすぎる文章が好きです。
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発想が凄いですよね。
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静かに、過酷。
このシリーズ読むたびに最近思うんだが、私は出てくる町のどれにも住みたくない。