犬身 下 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.42
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本棚登録 : 175
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022645654

作品紹介・あらすじ

梓の飼い犬・フサとなった房恵だが、彼女の実家は決定的に崩壊していた。性的虐待を続ける兄、息子ばかり偏愛する母親。一方、まるで梓が書いているかのような、兄との性的関係を告白するブログが公開され…さまよえる犬の魂は何処に行くのか。

感想・レビュー・書評

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  • 中盤かなりドロドロするんですが、最終的には、これはハッピーエンドだと思いました。人間であり血族でありながら憎みあっている梓の家族と違って、犬と人間、犬と悪魔、悪魔と人間の間には、それぞれ絆が生まれているんですよね。個人的には感動的なラストでした。

    余談ですがこの主人公の名前が「八束房絵」飼い主の女性が「玉石梓」…八犬伝マニヤなら一目瞭然の「八房」と「玉梓」のパロディですね。

  • 自分が犬なんじゃないかと思う、という発想はなんだか斬新な気がした。私も犬が好きだけど、飼い主に献身的に尽くしたいっていう感覚はないので。笑
    実際に主人公が犬になってからは飼い主である梓の話が強烈でそっちばかりが印象に残ったけど、自分の飼ってる犬との関係を見直すきっかけになった本だと思う。

  • 後半物語が加速し、急に収束する。

    後味がいいのか悪いのか、読み手によって変わるかも。
    人生はいつだって素直じゃないから、
    だからこれはハッピーエンドなんだ、きっと。

  • 念願の梓の飼い犬となったフサだが、梓は、肉体関係を強要する兄・彬と、兄にばかり目をかける母に悩まされる日々を送っていた。そんな中、まるで梓が書いたかのような、彬との性的関係を告白するブログを見つけてしまう。家族の呪縛を抜け出したくて、けれど抜け出せない梓と彼女を慕うフサに訪れる結末は……

    ファンタジー要素はあれどなんか久々にどろどろした現代小説読んだな……って感じ。振り返ってみると設定はユニークだけど別にそこまで面白いってわけでもなかったかな……八犬伝要素も名前だけでほぼないしね。途中何で私これ読んでるんだろう……って疑問に思ってたりもしたので、☆3くらいで。彬もそうなんだけど梓の母親も読んでてつらかった。いや彬がなによりつらかった。やっぱ近親相姦は地雷だしそれがレイプに近いものならもっと地雷だわ、と再認識したのであった。終わりもああだし……。フサもしかしたらタブーやぶるんじゃないかなー、破るために存在するんだもんなーって思ってたらそれもなくて、ちょっと残念だった。でも性的な悦びの根源は単純なふれあいにあるっていうの良かったです。

  • 謎の狼人間との契約を経て、念願の犬となり憧れの飼い主・梓との生活をはじめた主人公・フサ。しかし、彼女はあまりにも醜悪な家族に取り囲まれ、苛まれる主の姿を目の当たりにするのでした。

    幼いころから妹への性的虐待を続ける兄、兄を偏愛するがゆえに娘に嫉妬して嫌がらせをする母、父の突然の失踪を契機に、家族の愛憎は悲劇を予感させるまでに煮詰まっていきます。

    主人公は無力な小型犬ながら、編み出した必殺技"犬型ゲロ噴射銃"で飼い主を守ろうと奮闘しますが…。

    妹に嬉々として手をつける兄はもちろん下衆で気味が悪いですが、彼なりに愛していたのは間違いないと思います。己のファンタジーに酔って、妹の気持ちをまったく理解できない男に、一抹の寂しさも感じました。
    また、(もしかしたら自分に魂が欠落しているがゆえに)人の気持ちを玩び、あえて波風を起こして事態を見守る狼人間。フサの魂にこだわり、ときに力を貸してくれるこの男は、主人公に魅かれているに違いありません。(よく考えるとお前の魂をよこせなんて、まるで愛の告白みたいです)
    そして、飼い主の苦境を傍観者としてでなく、自らの問題として引きうけるフサの献身に胸をうたれました。これほどの献身をするには、人間社会から解放された存在に変身する必要があったのでしょう。
    ”犬身”とは純粋な愛の形なのかもしれません。

  • ストーリーに起伏があるので面白かったです。しかし、登場人物の精神に共感も理解もできませんでした。ちなみに私は犬好きです。

  • 本当にまあ、最後まで、生々しくてグロテスクな小説だった。
    兄や母の存在はまさに、「憎い」ではなく「肉い」と書き表すのが最適だったように思う。最終局面に至って、兄と母の狂気ぶりはもはや人間味すら失い、心を閉ざしたように淡々とそれに応じる梓もまた、逆方向のベクトルで人間性を欠いている。そこに流れ出した血の匂いと温度で物語は急展開を迎え、一気に結末へと向かうのだけれど、その辺りのゾクゾク感がすごい。「血」の匂いと温度によって、もしくは血そのものによって「肉」が洗い清められたみたいにして、物語は新しい始まりとしての結末に繋がっていく。
    血と、肉と、それから魂と、人間も犬も、その3つからできているのに違いない。

  • 犬はいい。
    人間だったらどんなふうに声をかけたらよいものかわからなくなるようなときでも、犬だったら、そっとそばに寄り添えばいいのだ。

  • 上巻に記載

  • うーん…バルセロナの友人の元へ旅立つというハッピーエンドが来るかと思いきや、予想外の展開でした。
    でもあのまま、兄と母親にいいようにされていくよりかはマシなのかな。
    朱尾さんが意外に良い人(狼)でよかったw
    フサが殺されてしまった時には天国から見守るオチかと思いましたが、転生オチとは。
    下巻での梓の変化はすごく良かった。
    もう縛られるものは無いのだし、もう一度人生をやり直して欲しい。
    メイン3人が魅力的で一気に読んでしまいました。

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