忘れられる過去 (朝日文庫)

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  • 朝日新聞出版
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022646439

感想・レビュー・書評

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  • 読む、ということへの向き合い方が、心地良い文章が続く。それと、読んだことのない文学への入り口として、とても魅力的な玄関になっている。

  • 平易な言葉で語られる鋭い視点と指摘。いずれの文も氏の文学への柔らかい執着心が伝わってくる。私の文学への関心の扉を少し開いてくれたような気がする。じんわりと心に溶け込んでくる作品だった。とても良かった。

  • ほとんどのエッセイが見開き2ページというコンパクトさなので、ちょっとした時間に読むのに本当にちょうどいい。

    柔らかな言葉で綴られた文章に、たくさんの著作名が出てくる。見たことのない文学者の名もたくさんあるし、聞いたことのない本もたくさん出てくる。
    でも、それを読みたくなる。
    「本を読むこと」に関して書かれたエッセイが多くて、いくらか本が好きであれば是非読んでみてほしい。立ち読みでもいいから。

    そこには「ほほぅ」と頷くことや、「くすり」と笑ってしまうこと、そして「うーむ」と唸ってしまうことが書いてあると思う。

    文学は、経済学、法律学、医学、工学などと同じように「実学」なのである。社会生活に実際に役立つものなのである。そう考えるべきだ。特に社会問題が、もっぱら人間の精神に起因する現在、文学はもっと「実」の面を強調しなければならない。—「文学は実学である」

    こうした立場が「理想的」だといくら言われようと、個人的にはこの考え方に与したい。心から。

  • 短いエッセイの寄せ集めだが、配慮の行き届いた文は読んでいて気持ちがいい。

著者プロフィール

荒川洋治
一九四九 (昭和二四) 年、福井県生まれ。現代詩作家。早稲田大学第一文学部文芸科を卒業。七五年の詩集『水駅』でH氏賞を受賞。『渡世』で高見順賞、『空中の茱萸』で読売文学賞、『心理』で萩原朔太郎賞、『北山十八間戸』で鮎川信夫賞、評論集『文芸時評という感想』で小林秀雄賞、『過去をもつ人』で毎日出版文化賞書評賞を受賞。エッセイ集に『文学は実学である』など。二〇〇五年、新潮創刊一〇〇周年記念『名短篇』の編集長をつとめた。一七年より、川端康成文学賞選考委員。一九年、恩賜賞・日本芸術院賞を受賞。日本芸術院会員。

「2023年 『文庫の読書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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