風のかたみ (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 126
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022649706

作品紹介・あらすじ

上意討ちにあった、豊後安見藩一門衆筆頭の佐野了禅。女医師である伊都子は目付方の密命を受け、佐野家の女人たちが暮らす白鷺屋敷に送り込まれた。しかし、そこでは不審な死を遂げる者が相次いで……。すさまじき女の執念に、切なさがこみ上げる時代小説。解説・冲方丁。

感想・レビュー・書評

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  • この時代の武士やその家族の生き方を背景に女性の強さや想いの強さに圧倒されそうでした。ミステリーを時代小説の中に取り込んだ内容で今までの葉室麟の小説とは大きく違うような印象を持った。また、本の表紙に描かれている白鷺がとても哀しく感じた。

  • よくできたお話しです。
    見栄っ張りな亭主と息子二人が 上意討ちにあって

    殿様から攻められ 火をかけ自害してしまいます。

    残された女たちは 混乱の前 白鷺屋敷に移されます。

    そこに 伊都子という女医さんが 住み込みで派遣されました。

    女たちが死なないように見張れ!という命令のもと

    一緒に住み始めます。

    秘密がいっぱい。家に入ってくる男の人が死に 毒薬も

    誰がなにを企んでいるのか

    本当はみんなどうしたいのか

    面白い本でした。

  • 上意討ちをうけ、残った女性家族をめぐるはなし
    歴史小説というか、ミステリー的

  • 葉室麟作品にしては、爽やかさや、清浄さを感じず、読み進めるのがしんどい作品だった

  • 面白かった
    時代小説ながらもミステリー
    最後に明かされる真実と本当の想いに切なさがこみ上げます。

    ストーリとしては、
    上意討ちにあった筆頭の佐野了禅。男たちはそこで果てるも、女たちは白鷺屋敷に逃れ、暮らすことに。
    そこには了禅の妻のきぬを筆頭に、長男の妻の芳江と娘の結、次男の妻の初、女中の春、その、ゆりの7人が暮らしています。
    そこに目付方の密命をもって送り込まれた女医師の伊都子。
    そんな中、この屋敷で、相次ぐ不審な死。
    誰が犯人なのか?
    疑われるある人物。しかし、その女は本当に犯人なのか?
    といった展開です。

    この時代の中の女としての生き様が心打ちます。

    そして、明らかになる真相
    そこにあった想い
    切ない...

    お勧めです

  • 悲しき女たちの闘いの物語だ

  • 上意討ちにあった一門衆筆頭の別宅に、密命を帯びて送り込まれた女医師の伊都子が主人公。
    そこでは、奥方や嫁たちとその子供、女中たちが暮らしている。互いに何やら剣呑な雰囲気があり、やがて、この屋敷に来た男が次々と死んでゆく。
    誰の仕業なのか、その裏に何があるのか。密室ミステリー仕立てにしながら、著者は武家ゆえの運命に抗う女性たちの哀しみを描く。
    「世間では武門の者はいついかなるときでも死を決しているべきだと申しますが、わたくしは、それは殿方に限ったことだと思っています。女子は子を守り、家を守って生き抜くのが務めです。殿方は死んでしまえば努めは終わりますが、女子はいかなる艱難にも負けずに生き抜かねばなりません。それは時には死ぬよりも辛いことだと思いますが、生きる戦いにたじろがないのが女の真です」
    「亡くなった夫にとっては何よりも家名が大切だったのでしょうが、女子にとっては、命そのものが大事です。わたくしたちは命を守るために闘わねばならぬようです」
    男の身勝手に振り回されながらも、懸命に生きる武家の女性の思いが込められたこの言葉が胸を打つ。

    没後3年になるが、いまだに新たに刊行される著者の作品を読めるということは、ファンにとってうれしい限りではないでしょうか。

  • 時代小説というよりも、時代ミステリという作品ですね。
    上意討ちをされた家の女性たちが、白鷺屋敷という所に集められる。密室ですよね。そこへ派遣された女医の伊都子。
    そこで起こる様々な怪異、そして死者が出た時、一人の女性が疑われる。
    本当に彼女が犯人なのか?
    上質なミステリでもありましたし、今も変わらない女性の立場の悲しさを感じる作品でもありました。
    流石、葉室燐さん!

  • 話はミステリーのごとく進行し、すべてが明かされたところで切なさがこみ上げてくる。葉室麟はやはり手練れだと思う

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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