- Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022732231
作品紹介・あらすじ
人脈と情報を駆使して出世競争を勝ち抜く。逆境で友情と忠誠心をしみじみ感じる。もつれた愛は、恨まれずに終止符を打つ。交わされなかった和歌が語る、愛の濃さ…。「書かれざること」を通して、物語が伝えたかった真実とは。まるで騙し絵のような、ストーリーの多重奏。確かな研究成果に支えられた、驚きの深読み。
感想・レビュー・書評
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「男読み」という言葉に引っ張られて途中まで著者が男性かと思っていた。本書も、当時の時代背景を踏まえた上での読み取り。字が小さめなせいか、ちょっと読むのに疲れたな。「恋は想いをたくさん傾けた側が分が悪い」って現代でも通じる考え方。まんま、「かぐや様は告らせたい」じゃないか。
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『源氏物語』に登場する人びとの人物像を、親しみやすい文章で紹介した入門書です。
本書は、「できる男の処世術」と題された第一部と、「幸せを掴むための女の心得」と題された第二部で構成されています。第一部では、光源氏という稀代の「色好み」の生き様が語られ、第二部では、その源氏と恋の駆け引きを演じた女性たちの姿が生き生きと描き出されています。 -
これまで、何度も源氏物語を読みかけては、2巻帚木で挫折してた。公達たちの女性論議が延々と続くのに飽いてしまう。
しかし、この新書は面白い。好き者の話だけでなく、宮廷内の内大臣、右大臣のパワーバランスを周到に計算して描かれている、とのご解説。うーん、侮り難し。
男女のお話としても興味深い。なぜ正妻の葵の上が、最初から疎遠な間柄として描かれているのか?そりゃ、お話展開上、妻一筋ではつまんないから。だが。そういう夫婦がすでにたくさんいたのね。世界に結婚に関する格言、嘆きが尽きない所以か。
たくさんの名言に遭遇した感謝を込めて。
・恋は、想いをたくさん傾けた側が、分が悪い。
・光源氏は、天性の、恋のギャンブラーなのである。
・振られた男を演じ続けるのも、色男の才、ということになろうか。
結論:自分にはムリ。 -
「女の書いたイケメン浮世話には興味ねーよ」という御仁向けの、源氏物語の解説書。著者は女性だが、男性向けに理屈っぽく物語を解説している。
ただ理屈をつけているだけではなく、解釈の視線を男社会 ---- 男社会といって語弊があれば、色事沙汰だけではなく組織や職場の人間関係や駆け引きに面白さ求めているのが特徴。
ただし、どう料理しても源氏物語は源氏物語で、登場人物が多く舞台背景も複雑で、理解は大変だ。当然、本書を読んだからといって、おいそれと源氏物語が分かるわけではないのが実情だが、「いつか全文を読んでやる!」というモチベーションをアクラレーションするには充分な内容。
それにしても、当時の恋文なるもの、今世のケータイメールとの相似性には驚くばかり(笑) -
繰り返し用いられるモチーフ。
人を変えて続いて行くエピソード。
その人の上で起こったであろう可能性を別の人物でさらに展開する。
密通する女の描かれ方の変化は確かに面白い。 -
源氏の行動を‘恋’だけではない視点から読み解く。新鮮さがある。
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源氏物語の登場人物を、ピンポイントに取り上げていて、なかなか面白かったです。
ただ、源氏物語を通読している人向けですね。
読んでない人にもわかりやすい、新書を書くのはなかなか大変ですよね… -
視点が新鮮なせいだろう、とてもおもしろかった。
「一見恋愛物語の形を取りながら、……じっと目を凝らしてみると……騙し絵のようなたくさんのストーリーが透けて見えてくる」と、独特の切り口から源氏物語を分析している。
まず、こういうふうにも読めるのかという驚きがあり、なるほどなあと納得できる。さまざまな刺激を受けた。雑誌掲載がきっかけで生まれた本らしく、読みやすい。