無業社会 働くことができない若者たちの未来 (朝日新書)

  • 朝日新聞出版
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レビュー : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022735652

作品紹介・あらすじ

【社会科学/社会】15~39歳で学校に通わず、仕事もしていない「若年無業者」。メールが送れない、仕事のスキルゼロ……日本に600万人とも推計される彼らの実態と未来、対策を、若年無業者2000人以上からのリアルなデータに基づき、気鋭のNPO経営者と社会学者が解く。

感想・レビュー・書評

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  • ニートと呼ばれる若者達に対する社会的イメージと、実際の若者達の状態のギャップを、定量・定性両面から解説している本。
    私自身は若者とよく会い、サービス設計をしている立場だったので、何故彼らがこう話すのか、何故そう行動するのかが、この本を読んで解釈できてよかった。
    働いていない若者は、決して怠けているわけではなく、本当は働こうとしているのに定職に就けない。自信がない、過去の失敗体験から抜けられない、コミュニケーション能力、起業の失敗など、様々な理由がある。そして、多くの若者は、一度仕事に就いた後に辞めている。つまり、一概に社会不適合なわけではない。そして、多くが病気を理由に辞めているという。

    私が会う若者は、皆、好きなことなら頑張れるから…という事を口々にとなえ、経験や知識を持たないままにチャレンジをしようとする。しかし、どうしても業界リサーチや仕事内容を理解しているわけではなく、話してみると、あくまで自分が好きな分野だから、といった事を答えるのだ。
    だから、受からない、通らない、自信がなくなる、を繰り返す。
    もちろん、仕事が何でもいいとは言わないが、何故彼らが、好きかどうかにそれほどこだわるのかが分からなかった。それよりは、まずは正規雇用である程度仕事して経験を積んで、それを活かしながら好きな分野にずらしたり、広げたりする考え方もあるのに…と。
    ただ、本を読んで、つまり彼らは仕事で辛い経験を持ち、そのまま自信を失ってしまい、身体や心を壊してしまった。そしてその状況を乗り越えるには好きなことで…という考え方になっているのでは?と思えた。これを感覚的に理解できたのは、本当にこの本のお陰だと思う。

    世の中の多くの人は、好きなことを仕事にしているわけではない。そして、嫌なことややりたくないことも沢山ある。
    そういった中で、今の仕事を辞める前に、相談したり視野を広げさせてもらえるようなサービスが必要なのだ、と感じた。

  • 若年無業者の例として7人のケースが出てくる。
    どれも一口に怠け者だと言えない人ばかりで、
    若者をひとくくりにして扱うことは問題把握を阻害し、解決の邪魔になることがよくわかる
    求職型と非求職型と非希望型それぞれで思っていることも対応も異なってくる。
    若年無業者を放置しておくと将来、最悪500兆円近くの生活保護費がかかるかもしれないというのは問題だと思った
    根本的な解決策として以下を挙げている
    ①すでに若年無業者の人を緊急避難的に救済
    ②すでに若年無業者の人に就労を促す
    ③若年無業になってしまっても再び労働市場に再参入できるようなシステムを社会に埋め込む
    日本型雇用はとくに③が難しいのは本書で挙げているが、なるべくはやく取り組むべきだと思った

  • この著作の冒頭の「はじめに」を読んで、すぐに購入しました。

    工藤氏の育児休暇時の「働いていない時」の著述に非常に興味を持ちました。なぜなら、私も一緒の経験をしたからです。

    働いていない人、もしくは、働けない人にとって、日本という場所は(私の場合、東京ですが)、相当「居心地が悪い」と思います。違う表現で言うならば、自分の存在に自信がもてなくなります。なぜなら、日本では、若年者もしくは、そうではない年齢も含めて、働いていないことは、イコール、「普通ではない」ことだからです。

    この著作の中で、無業状態になった当時者7人を引き合いに出し、
    「誰でも起こりうること」であることが、よく分かります。

    私自身は、無業状態の経験もあり、事情はよく分かります。問題は、一度社会との所属がなくなると、元に戻るには、相当ハードルが高いということです。

    なんでハードルが、高いかは、この本を読むと、理解出来ます。
    これから、若年無業者が減ることはなく、増え続けるように思います。
    著者の支援活動は、もちろん支持しますが、その支援を超える勢いで
    無業者が増えていっているのでは、ないでしょうか?

    個人が出来ることは、限られています。日本社会が急速に変わっていく中で、
    誰もが無業状態になる可能性を持っている。このことを踏まえて、
    これから、「働き続ける」ことを前提として、行動しないといけないかも
    しれません。なぜなら、この著作で語られるデータ、ケースから、
    どうやら、日本社会で、自信や希望を持ち続けるには、働かないといけないからです。

    なのに、働かない、働けない人が増えているのは、日本社会が、もの凄い勢い
    で変化し、その負の面を若者が、背負っているのではないかと感じます。
    もちろん、ほとんどの方は、生活するだけで大変ですが、、、。

    私は「気軽に働ける社会」を望みます。

  • これまた6月に読み終わっていた本・・・
    感想ブログにアップが遅れてます

    親の貧困で子どもも貧困
    それで学校に通えなくなり、就職も困難
    ってことになると更に貧困の悪循環

    若者の無業化だって、社会にとって重要な問題だよね
    「えぇぇ、ニートなの?引きこもり?」なんて影でコソコソ言ってる場合じゃない!
    どうしたら働けるようになるのか?


    付箋部分をご紹介します

    ・誰もが若年無業者になる可能性があること(p20)

    ・つまり、日本社会では、一度、無業状態になってしまうと、人間関係や社会関係資本
     意欲も失ってしまいがちなのである(p25)

    ・ところが歴史的な文脈から、日本では人材育成の機会の大半を、学校と企業が
     事実上独占してきた。そこから外れたところには、再び労働市場に戻っていくための
     ルートや学びの機会は多くない(p25)

    ・自分が現在、普通に生活できているのは、偶然の産物かもしれない(p31)

    ・どのような困難な状況でも、当事者になってみて初めて、社会的サポートがないことや
     あったとしても脆弱なものであることに気がつく(p34)

    ・「無業から抜け出したいのであれば、誰もが敬遠する業界や職場で働けばいい」という考えは安直だ(p103)

    ・甘やかす親がいるから無業でも生きていけるのではなく、正社員でない限りは同居以外の選択が
     できない社会状況に着目したい(p108)

    ・「日本型システム」にいったん参加しそびれたり、抜け出してしまったりすると、激烈な競争環境や
     不利な立場に立たされてしまう状況と構造が、少しは見えてきたのではないだろうか(p173)

    ・さらに企業が、人材育成のシステムを自社や関連企業内に限定してきたため、社会のなかに
     現実的なキャリア教育の機会は、そう多くはない(p175)

    ・①現段階で困窮している人を緊急避難的に救済すること、②すでに若者無業者になってしまっている人に
     早く就労できるように促していくこと③また無業状態になってしまったとしても、再び労働市場に再参入
     できるような機会と仕組みを、社会のなかに埋め込んでいくことに尽きる(p187)

    ・目の前の若者の課題を解決し、小さな成功事例を積み重ねる。そのなかから若年無業者に共通する課題が
     あれば、多くの個人、企業、行政とともに協働し、広く展開していく(p206)

  • まず、2014年6月刊行のこの著書が未だに1刷ということに、社会的関心度の低さを痛感させられた。もう1年経っているのに。。。
    この著書には、働く意思を持ちながら様々な理由で働けない若者が具体的背景とともに紹介されている。
    彼らに責任の全てを負わせるのは余りにも酷であることを、たった数件のケースからでも汲み取ることができる。
    弱肉強食で出来ない奴は置いていけばよい。
    そういうのは簡単だし、実際にそうやって社会を進めてきたのが、これまでの日本だった。
    しかしながら、人口や経済がシュリンクし、別の発展旺盛な国に産業主体を奪われる現実を踏まえると、強者であったとしても、弱者を無視してこの国で生活することは、現実的に不可能である。
    労働の場所にあまりにも多くの社会的なサポートを任せてきたツケはそう簡単に払えるものではない。
    だからこそ、この現実に多くの人々が気が付いて、自分なりの問題意識を持って、出来ることを一つ取り組んでいく他に、明るい日本の生活は見えてこない。
    まずは、目の前に誰も救い手がない人が存在していないか、きにしてみることから始めてみたい。

  • ひきこもり、ニート、SNEP・・・、働かない人々、特に若年者が問題になっていますが、そういった人々に対する誤解を解くべく、個別の例を紹介し、多角的なデータからの分析を述べ、その原因たる社会構造にも目を向け、社会の暗がりの部分に光を当てた、勇気と意欲すら感じられるよい本でした。労働環境や社内文化について、多かれ少なかれウソをついて希望者を集めるのが常識になっている。入社してそのことを糺してみても、「お前も大人だろ、わかれよ」みたいにせせら笑われてしまうものだ。劣悪な環境もすべて露わにしてしまわないといけないようになればいいのです。「バカか!そんなことをしたら、働かない人だらけになるだろ!」という声が出てくるだろうけれど、実際に経験したり感覚的にわかったりしてるから、昨今、無業者が増えたわけで。つまり、同じこと。社会が変わらないと変わらないんですよ。今の日本経済なんて、人的資源を食いつぶしている意味でだけど、背伸びしてなんとかメンツを保っている感じでしょう。一度怪我して転倒して、そこから真っ当に這い上がってみたらどうだろう。なんて、ちょっとラディカルなことを考えたりもして。

  •  若年就労支援を専門とするNPO「育て上げネット」の理事長と、若手社会学者による共著。対談集ではなく、章ごとに執筆を分担している。

     若年無業者はいまや200万人を超え、15歳~39歳の「若者」のうち、およそ16人に1人にのぼるという。
     本書は、この問題の概説書。工藤が担当した章ではNPO活動をふまえた現場の具体的実例とデータが紹介され、西田は社会学者として歴史的・大局的に解説を加えている。ミクロとマクロ――2つの視点から無業社会が論じられることで、この問題についての的確な全体像が提示されるのだ。

     「若年無業者」に関する世間一般のありがちなイメージ――「いい若い者が働かないなんて、怠け者か、仕事の選り好みしすぎているかのどちらかだろう」とか、「どうせ、低学歴で非正規雇用しか経験のないヤツが『若年無業者』になるのだろう」など――が、具体的事例とデータによって次々と覆されていく。

     たとえば、第2章は丸ごと、「育て上げネット」に相談に訪れた若年無業者の事例集になっているが、登場する若者の多くは高学歴だ。中には、税理士試験に合格したのに無業者に陥った例まである。
     それに、彼らは「働く意欲のない怠け者」でもない。

    《無業の若者を「働く意欲がない存在」という前提で考えるとするならば、若年無業者の75・5%が過去に働いた経験を持っている事実をどう捉えるべきだろうか。(第3章)》

     働きたくても働けない若者を大量に生み出す「構造」が、すでに日本にはできてしまっている。若年無業者を「怠け者」「甘えるな」と非難するばかりでは、何の解決にもならないのだ。

     構造的問題である以上、誰にとっても他人事ではない。
     家族がいつ若年無業者になっても不思議はないし、若年無業者の増大は大きな社会的コストとなる。将来の社会保障の担い手となるはずの若者たちが、社会保障を受ける立場になってしまうのだから……。
     1人の若年無業者が、25歳から65歳まで正社員として働く場合と、ずっと生活保護で暮らす場合を比べたら、そのギャップは1億5000万円にのぼるという。
     
     本書は、若年無業者の増大がいかに深刻な社会問題であるかという解説がメイン。したがって、「では、どうしたらよいのか?」という具体的な処方箋はあまり書かれていない。
     それでも、若者の就労という問題を考えるうえで有益な本だ。 

  • 我が事。自分の将来が重なるようで笑えない。
    こういうのを50代以上の日本人に読んでほしい。
    一見、自己責任で無気力なだけだろうけど内実は、さらに複雑である。

  • 主旨や良し。でも、ちょっと冗長かなぁ。あと、これをよんでも、ガーガー認めない人はいるだろうけど。
    個人的には、若者対策と合わせて、雇用を増やせる起業家を育てることも必要だと思った。
    一度レールから外れた人を拾い上げることができるのは、レガシー企業ではないはずだから。

  • 人間には承認してもらいたい欲求があるから好き好んでニートになってるわけでは無いというのは正論。
    日本人の大好きな自己責任も突き詰めれば社会保障の負担として我が身に還ってくる。

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著者プロフィール

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。昭和52年6月2日、東京・福生市で生まれる。成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科中退。平成14年、米国ベルビューコミュニティーカレッジ卒業。平成15年、青少年就労支援NPO「育て上げ」ネット設立。平成16年、特定非営利法人化。現在、同法人理事長として若年者就労支援に携わる。著書に『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)がある。

「2006年 『育て上げ ワカモノの自立を支援する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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