トランプは世界をどう変えるか? 「デモクラシー」の逆襲 (朝日新書)
- 朝日新聞出版 (2016年12月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022736994
作品紹介・あらすじ
【文学/日本文学評論随筆その他】トランプ大統領誕生で世界は、日本はどう変わるか? 米・中・露の覇権は? 世界経済は好転するか、保護主義で恐慌に突入か? 日本は自主防衛できるか? 戦争のリスクは増大するか?──反グローバリズムの奔流と新しい世界秩序を最強論客が読み解く!
感想・レビュー・書評
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事前の下馬評を覆したトランプだが、その当選理由をきちんと説明しているメディアは少ない。その中で、事前にその可能性を示唆していた歴史人口学者のエマニュエル・トッドと、元外交官の佐藤優による解説書。
後付けの説明かもしれないが、トランプ以前のオバマ政権時代からのアメリカの動きと、これからのアメリカが目指すと思われる方向が分かる。
あくまでも「緊急出版」ということで、深い論証はないが、1月に迎えるトランプの大統領就任を前に、現状を把握しておくにはよい一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書は2016年末に出版された本で、大きくは3部構成になっています。第1部がエマニュエル・トッド氏へのインタビュー記事。第2部はトランプの共和党候補指名受諾演説、第3部は佐藤優氏による論考です。出版から3ヶ月以上経ち、トランプ政権の動向が少しずつわかってきている中で本書を読んだ感想ですが、エマニュエル・トッド氏の分析は非常に面白い。新自由主義的資本主義に対する民主主義の反撃であって、何も恐れることはない。今回最も明らかになったのが、エリート層およびそれを擁護するアカデミクス(経済学者を念頭に置いている)がいかに現状分析を間違ったか、という点である。トッド氏の最大の特徴は、世界の多様性を重視する姿勢ですが、これまでのグローバル化はそういった多様性を無視して、起伏をブルドーザーで無理矢理たいらにするような行為だったが、ようやくトランプ政権になって、そういった行為にストップがかかった、つまり世界はむしろ正常な方向に向かい始めた、という分析です。個人的には非常に説得力があると感じました。いま重要なことは、「多くの経済学者」が主張しているような「グローバル化は経済にとってプラスであって、格差の主犯はグローバル化ではない」という説明が正しいかどうかではなく、「多くの低所得者層」が「グローバル化こそが失業や格差の主犯である」と信じていることです。はたしてその信念が正しいのかどうかは、まさにトランプがグローバル化の波を逆流させたあとに自ずと結果が分かるでしょう。とても参考になりました。
第3部の佐藤氏の論考ですが、正直トッド氏の論考と一緒の本に掲載されているとレベルの低さを実感してしまいます。そのためボリュームは多かったですが物足りなさを感じました。トランプ後の米国について、孤立主義への回帰という点についても記述されていましたが、このあたりの分析はForeign Affairsの2017年3・4月号に掲載されている”The Jacksonian Revolt”という論文の方がよほど面白いと思いました。 -
面白かった!
アメリカに脈々と受け継がれたニーバーの思想、トランプと赤狩りのマッカーシーの関係性など、インテリジェンスがないと思い至らないところまで解説してくださっているのがさすが佐藤優さん
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アメリカ大統領選挙の前年、2016年12月、トランプが大統領候補になった時点で出されたものだが、共和党候補指名受諾演説全文が載ってたり、エマニュエル・ドットの「民主主義がトランプを選んだ」載ってたり、たいへん面白い。
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世界で起きていることに敏感になろう!
所蔵情報
https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=B16433 -
対談かと思ったらそうではなく、トッド氏が30ページほど、あとはトランプ氏の演説、残りが佐藤氏という構成。副島隆彦氏は完璧にトランプを予想していたらしい。佐藤氏はそれほど悲観はしていない。日本の国として、今の時点で具体的にマイナス要因を明確にあげられないこともあるようだ。
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【由来】
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【期待したもの】
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※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
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【ノート】
・実は賞味はペラペラ。そうでなくても薄めの本書の1/7はトランプの演説(ちなみに1/7がトッドのインタビュー)。
・しかも実は最近、少し食傷気味の佐藤優。それでも高めの評価なのは、
知らなかったラインホールド・ニーバーについて少し知ることができた
田中宇の主張が的外れではないことを確認できた
から。
【目次】 -
トランプ氏をカリカチュア化せずに、冷静に語ってみようとした著だが、少し古く、当確したタイミングでの書である。今やトランプ氏が口だけではなく、修正はありながらも大枠は有言実行に動いている事が明らかだ。政治家の人となりをコミカルに捉え、政策の本質とは異なる視点でしか報道できない日本のマスコミからは伝わらない考察がここにはある。
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トランプのアメリカ大統領就任について、エマニュエル・トッドと佐藤優の2人が分析したもの。
当然ながらアメリカ国内にいるのと日本から見るのとででは微妙に見方は違うものの、どちらも非常に冷静な分析で勉強になった。