空からおちてきた男

  • 偕成社
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本棚登録 : 63
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (130ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035404606

作品紹介・あらすじ

飛行機の故障で砂漠に墜落し、九死に一生をえたカメラマンのフラッシュは、手にカメラを持ったまま命の恩人の小さな姉弟につれられ、異文化の村へはいりこむ…『不思議を売る男』の作者ジェラルディン・マコックランのはなつ異色作。

感想・レビュー・書評

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  • 飛行機の故障で沙漠に墜落したカメラマンのフラッシュは、文明から隔離された村に辿り着く。その手にあるのはインスタントカメラのみ。残っているフィルムは10枚分だけ。
    今までの価値観とは全く異なる世界に放り込まれた時、人は何を拠り所とするのか。フラッシュの手にはインスタントカメラがありました。はじめ怖々だった村人も次第にフラッシュが何を撮影するのか気になり、また撮影してもらいたくもあり彼の元に集まります。カメラマンとして今まで数限りなく撮影して来たフラッシュだからこそ、限られたフィルムで何を撮影するか。それは何に価値を見出すか。今までとまるで違う価値観を見出す自分に気付く。佐竹美保のイラストで表される写真もかっこよく素敵なのです。
    最後に現実と非現実が曖昧になるような描写もありますが、基本は真っ直ぐな物語です。フラッシュの素直な感覚がそのまま読後感につながります。

  • 978-4-03-540460-6.
    C8397¥1200E

    空からおちてきた男
    2007年4月 初版第1刷

    作者:ジェラルディン・マコックラン  1951年イギリス生まれ
    役者:金原瑞人(かねはら みずひと)
    画家:佐竹美保(さたけ みほ) 1957年富山県生まれ

    -------------------カバー袖より
    飛行機の故障で砂漠に墜落し、
    九死に一生をえたカメラマンのフラッシュは、手にカメラをもったまま
    命の恩人の小さな姉弟につれられ、異文化の村へ入り込む…。
    不思議を売る男の作者 ジェラルディン・マコックランのはなつ異色作。


    もくじ
    1 フラッシュ
    2 スティラとオル
    3 永遠にかわらない+ショット
    4 牛
    5 勇者たち
    6 美女
    7 フラッシュマン
    8 消えゆくもの
    9 月とティクサ
    10 笑って!
    11 最後のフラッシュ

    墜落現場から離れた村で救出されたフラッシュ。そのきっかけを作ったのはフラッシュだった。

  • 飛行機事故で墜落した男フラッシュは、少女と少年スティラとオルに助けられて村へ行く。カメラを知らない村人は、初めは驚くものの、あれ撮って、これ撮ってとお願いしてくる。残り10枚のフィルムで村の人、生活を写すものの、助けられた救助隊員には、そんな村は近所にない…と。
    全て夢だったのか?夢があってとても面白い。

  • 新しく訪れる生命に、これから老いて行く若者に、死にゆく者に、消えて行く記憶に、「笑って」と呼びかける。そして写される写真。その中の姉弟は、永遠に子どものまま。風景は、ゆらゆらするのをやめて空中からはがれ落ちた蜃気楼。融けることのない雪──。

    飛行機の墜落事故で樹海に不時着したフラッシュ。
    気がつけば、目の前にはスティラとオルと言う名の小さな姉弟がいた。彼女たちの案内で、フラッシュは手に安物のポラロイドカメラだけを持って村を訪れる……。
    誰もカメラを、写真の存在さえも知らないさびれた辺境の村で、フラッシュは時の流れを止める、記憶を紙にのり付けするコトのできる偉大な魔法使いとして過ごすことになった。
    残されたフィルムは九枚。残された九つの『魔法』。
    フラッシュは求められるまま村にただ一頭だけの大切な雌牛を、村の勇者たちと一番の美女を、祭りの夜、かがり火ごしに村中の人びとが踊り歌う姿を、幾世代にも渡って描かれ続けた、消え行く古い壁画を、……明日、病で死ぬ少女の最後の笑顔を『魔法』で永遠に描き留める。
    そして最後の一枚。村の長老は、「空からおちた男の絵、あなたの絵が欲しい」と言った──。

    ごく短いお話です。主人公フラッシュの背景も村で過ごす日々も、決して深く描写される事はなく、その文章はドライです。それなのに、彼が撮った写真の一枚一枚に映り込んだ人々の表情や風景の奥深さを心にずんずん感じる事ができる、不思議な物語。

  • この日本語タイトルから、『地球におちてきた男』を思い出しましたが、もちろん全然ちがう。


    飛行機の故障で墜落したカメラマン。、気が付くと子供がそばに。彼らにつれられ村に辿りつくと、写真の存在を知らない原住民達が。
    フィルムは10枚しか残っていなかったが、
    牛や村人を写していく・・・


    なんだか不思議な物語です。

    挿絵があるんですが、主人公のカメラマンが撮った写真ってことであるんですが、
    それが、初めからあるような感じで溶け込んでいて素敵なのです。

    読後、ほわってする。

  • ★★★★☆
    未開の地に不時着したカメラマン。
    「文明」に触れたことのない土着の人々に助けてもらう。
    男の手元に残ったのは一台のインスタントカメラ。
    残ったフィルムで、男が残した写真と物語は?^^
    (まっきー)

  • この人の寓話ってなんか深いものを隠し持っているような気がする。わかるようでわかりにくい。空からおちてきた男はカメラマンで、助けてくれた姉弟の村で異文化体験をする。それを10枚のインスタントカメラで写すが、救出されたときにはカメラは消えていた。味わいのある物語でした。

  • 飛行機の故障で砂漠に墜落し、九死に一生を得たカメラマンのフラッシュは、
    手にカメラを持ったまま、命の恩人の小さな姉弟につれられ、異文化の村へ
    入り込む…。「不思議を売る男」の作者マコックランの異色作。

  • 佐竹美保さんの絵がいい味だしてます。ティクサのところと宴の場面はじーんとしました。文明生活から離れてるけど、写真の目的をいちばんわかってて、必要としてるのは彼らなのかもと思った。あと10枚しかないフィルム、私ならなにを撮ろうかな。

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著者プロフィール

1951年生まれのイギリスの作家。『不思議を売る男』で88年にカーネギー賞、89年にガーディアン賞を受賞。2004年に『世界はおわらない』でウィットブレッド賞児童書部門受賞。18年には『世界のはての少年』で二度目のカーネギー賞受賞という快挙を成し遂げた。

「2022年 『世界のはての少年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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