この世のおわり

  • 偕成社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035404903

感想・レビュー・書評

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  • 作者はスペインの人。弱冠20歳頃の作品だというけど、完成度は高い。
    紀元1000年が近づき、教会大分裂やイベリア半島のアラブ人征服、それぞれの国の形成など、ヨーロッパが大きく発展しようとしている頃、そして一部では至福千年説で終末感に揺れていた頃の話。
    マジャール人の焼き討ちにあった修道院のただ一人の生き残りの少年修道士ミシェルがなぜか選ばれた人として、紀元1000年の終末を回避するために3つの宝物を探しだすことになる。その道連れとなる吟遊詩人(ここに吟遊詩人を持ってくる辺り、趣味が合うし!)の若者マティウス、途中から話に加わる吟遊詩人を目指す少女ルシア、の3人の冒険譚。
    実際にはミシェルの年齢ではまだ修練士がせいぜいだろうし、クリュニー派の修道士がひとりで勝手に行動するとかあり得ないとは思うけど、そして吟遊詩人と修道士が共に行動するなんて更にあり得ないだろうけど、児童書として許容範囲だし、面白かった。
    最後の選択は意外にシビアで、ミシェルの人徳がたとえばキリストと同列になりうるかというと首を捻ってしまうけど……それならばミシェルの無垢さをもう少し強調しても良かったのではという気はした。
    でも最初から最後までとても面白く読めたし、日本ではなかなかないヨーロッパ中世初期を舞台にした良質な児童書が出たことはとても嬉しい。

  • 紀元997年の中世ヨーロッパ。吟遊詩人マティウスは若い修道士ミシェルと出会った。
    この世は老いていく、死に向かう。黙示録によればこの世のおわりは主の生誕から1000年後、今から3年後に訪れる。
    ある修道士によって200年以上前に書かれた写本に注釈があり、はかりしれない力を持った三つの首飾りを集め、『時をつかさどる霊』を呼び出してお祈りをして、生きるに値するか裁いてもらうのだという。それができなければ、時間の環は止まり、この世のものすべて滅んでしまうのだと。
    マティウスは半信半疑ではあったが、世間知らずのミシェルが気になり、共に旅をすることに。旅するうちにミシェルは成長していき、互いを理解していくようになる。

    地図が載っているので、彼らが旅した場所をみながら読みすすみましたが、この時代は何カ月もかけて移動するので大変よね。
    この世がこの先どうなるかを見てからのミシェルの行動には驚愕する。まさかそうなるとは。これはとても面白い物語。
    ほんとストーンヘンジって不思議な形をしている。この本を読んだら、ますます不思議に見えてくるね。

  • 紀元997年、ヨーロッパ。吟遊詩人マティウスは、この世のおわりを阻止しようとする少年修道士ミシェルと出会う。

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