- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784036432004
作品紹介・あらすじ
アメリカの8人の高校生が、広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非をディベートする。肯定派、否定派、それぞれのメンバーは、日系アメリカ人のメイ(主人公)をはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系と、そのルーツはさまざまだ。はたして、どのような議論がくりひろげられるのか。そして、勝敗の行方は?
感想・レビュー・書評
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様々な出自を持つアメリカ人8人が、原爆の是非についてディベートを行う構成。
話として上手く纏まり過ぎているきらいが感じられ、星ひとつマイナス。
日本人としての一番のハイライトは、原爆慰霊碑の
「安らかに眠って下さい。
過ちは繰り返しませんから」
の解釈の部分。
まさか、日本人の反省と捉える解釈が有り得るとは。
フィクションだから、と思いたい。
衝撃の展開であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本人、アメリカ人、中国人、全人類、読んで考えてみるべき
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広島、長崎に落とされた原爆の是非を巡ってアメリカの高校生たちがディベート形式で議論する話なんですが惹き込まれてしまいました。
肯定派と否定派に分かれて繰り広げられる議論。多方面にわたる資料を分析して導き出してゆく手法はスマートだし、感情に訴える演出力も表現方法として胸を撃つ。
朝はご飯派かパン派かってどっちでも良さそうな話じゃなくって次の世代を担う高校生たちが、かなり重要なテーマについて自分たちの主張をぶつけ合うなんて素晴らしく思いました。断片的にしか知らなかった戦争の事実も改めて向き合うことできたし交わされる意見にはどちらにも頷きたくなる。浮き彫りにされる思惑にはゲーム感覚もあるんだけど。主張するだけでなく相手の意見も聞く姿勢等、理知的なところも文化の違いにエキサイトしました。
平和を創造することのできる個人がいたこと。こうゆうエピソードはジーンときました。
主語のない日本語の誤訳からの挽回は見事だったし、言語、文化の違いから発想も違う。相互理解するには知識も時間も必要だけど、互いに許して愛しあう簡単なようで難しくしてるのは、内なる敵の無知、憎悪、偏見なんだと。
またまた良い本を手に取ることができて爽快でした。
最後のページに核関連の年表が掲載されてましたがその歴史は1895年11月エックス線の発見から今日に至るまで続いてるんですよね。-
しじみさん、こんばんは〜
この作品は、なかなか読みごたえありますよね。わたしもとても引き込まれました。
戦争と向き合う若者たちが、とても...しじみさん、こんばんは〜
この作品は、なかなか読みごたえありますよね。わたしもとても引き込まれました。
戦争と向き合う若者たちが、とてもリアルで、その熱意がとても心に響きました。忘れてはいけないことですが、どうにもできないレベルの話でもありますよね。
今も、あちらこちらで戦争が起きていて、ほんと、悲しいことですよね…2023/11/02 -
Manideさん、こんばんは
これ凄くわかりやすいし中高年にもお勧めな作品でしたね。
高校生たちの意識高めで頼もしく思いました。
...Manideさん、こんばんは
これ凄くわかりやすいし中高年にもお勧めな作品でしたね。
高校生たちの意識高めで頼もしく思いました。
あっちこっちで紛争起こってますよね。
どうにかならないものかって思いますねぇ2023/11/02 -
2023/11/02
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母を日本人に持つアメリカ人、メイは夏休みに「原爆は肯定されるべきか否か」のグループディベートに挑む。
うっかり小手毬さんという作家を知りませんでしたが、これはすごい本でした。 広島・長崎に落とされた原爆については戦争を終わらせるために必要だった、むしろポジティブな形で受け入れられているのがアメリカ、という印象がありますが、このことをテーマにした子どもたちによるディベート対決のお話です。本自体は中学生向けなのかな。文字も大きくてすぐに読めてしまう。でも読んだ後にもたれるこのボリューム感。ずっと頭の芯が熱を持っている状態で、こういう本を読んだのは久しぶりな気がしました。
何しろすごいのがこの多層にわたって込められている情報量。血筋も考え方も「アメリカ人」という一言で括れない人たちの細やかな描写や第二次大戦時の出来事とその関係性、そしてもちろん原爆の是非(戦争の是非)。このテーマを多層に分解して中学生レベルの読み物に落とし込んであるのだから、これはすごい。しかもディベートという競技についてもよく踏み込んでいて、ミスリードや議論のすり替えなんかを(多分登場人物が意図的に)やったりするところも面白いのです。この「アメリカ」への解像度の高さは実際に作者がアメリカ在住だから見えることなのでしょうか。
ともあれ、中学生向けということもあるのか、少し無理にエピソードを畳んだような気もするのですが、なにしろこの難しいテーマを折り込んでコンパクトに優しく描いて見せた小手毬さんに脱帽です。これ、日本人とアメリカ人全員読んでいいと思います。そしてなぜ戦争が起きるのか、なぜ戦争がなくならないのか、平和とは何か、じっくり考える機会にして欲しい。
折しもウクライナ戦争に次いで今年はガザで悲劇が起こり、世界はまた分断と戦争の匂いに満ち溢れるようになってしまいました。そうした中でこういう本とメッセージは世界中のたくさんの人に届いて欲しいと感じました。 -
他の方のレビューを見て、アメリカによる広島、長崎への原爆投下の是非を学生が肯定派、否定派に別れディベートする。ただそのやりとりのみを書かれた話。
読み出しから、ずっと引き込まれて
ずっと考えさせられた。
多くの人が一度は読むべき本だと思った。
子供たちに読んでもらいたい本だ。
もちろん自分の子供にも勧める!
図書館で探したら課題図書のコーナーにあった。とりあえず、買って手元に置いておき、定期的に読みたいと思った。
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ストレンジャーさん
引き込まれる本ですよね。
この本が、ディスカッション形式で進行していくというのは知っていたのですが、ここまで引き...ストレンジャーさん
引き込まれる本ですよね。
この本が、ディスカッション形式で進行していくというのは知っていたのですが、ここまで引き込まれるというのは、ある意味良い誤算でした(*^▽^*)
お子様がいらっしゃるのですね!この本はお子様にもきっと良い本となるのではないかと思います∩^ω^∩
うちの子にも勧めたいのですが、うちの子たちは大の本嫌い。
小さい頃から、私が絵本読んであげるよーって言うと、走って逃げていく子たちでした(^◇^;)
本って本当に素晴らしいのになぁ。。。2023/10/11
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ついこの間原爆ドームに訪れたばかりだったので、なんとなく感情移入しやすかった、、、
ディベートそういえば語学学校時代に先生が好きでよく授業中やってたな笑 -
舞台袖(えっ、1千字?2千字じゃなかったの?そりゃあ、長いと人は読まないし…仕方ないなぁ)
えー、こほん。8人の素晴らしいスピーチのあとに、こんなオジサンが感想を言うのを許して頂きたい。アメリカって国は凄いとつくづく思いました。「日本への原爆投下は本当に必要だったのか、否か?」こんな硬いテーマで、しかも高校生の公開討論会に、しかも4回に分けての討論に、市民の皆さん200人もが駆けつけてくださるなんて!日本ではこんな討論会自体企画できません。
そして皆さん聞いたと思いますが、なんて深い討論だったのでしょう!原爆否定派も肯定派も、今ではアメリカの教科書に書かれている「原爆投下によって、百万人のアメリカ人の命が救われた」という説には、懐疑的になっていると思います。正にこれこそがディベートの良い点です。話し合いで真実に近づくのです。日本人の私にも発見がありました。アメリカ教育の実態を知ったことは有益でした。
勝負事のせいか、ミスリードもありましたね。「日本人は自分たちの犯した過ちによって、原爆投下があったんだと認識している」という主張です。これは日系アメリカ人のメイさんが見事に反駁してくれました。私も色々付け足したい事があるのですが、時間の関係で遠慮しておきましょう。
事実をもとに挑まれる討論に関しては、あ、言い忘れましたがもちろん私は否定派ですけど、私でも事実でもって反論することができたと思います。それは私にはン十年間の蓄積があるからです。高校生の皆さんは、特にメイさんはこの3ヶ月でここ迄達しました。若いって素晴らしい。色々なノイズが邪魔しないうちに、真っ直ぐここ迄届いたことに彼女達の未来を感じます。
厄介なのは感情論でしたね。「悪は罰しなくてはいけない」「南京大虐殺を見よ。被害者面をするな!」「原爆投下は必要悪だった」少しは事実誤認もあるかもしれませんが、問題はそこじゃありません。論点を集約すれば「非戦闘員を戦争で殺してもいいのか?」「戦争は必要悪なのか?」この2点だと勝手に私は単純化します。
前者は、私はNOだと思います。これは、この1世紀で人類がやっと国際的合意まで持っていきつつあります。ウクライナ戦争でも、実態はどうであれ建前としては両国共に否定できません。
後者は未だ国際的合意はできていません。私の国日本でも、真っ二つとまではいかないまでも、曖昧に分かれています。でも皆さん、時間が来たので結論だけ言いますが、この討論を聞いて答は自ずと明らかになるのではないでしょうか?
(スピーチ部分、きっちり998字)
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学生時代、ディベイトが最も苦手だった。
時間的に、日本にも導入されたばかりというせいもあって「主張、ポリシー、自己哲学、持論展開。。」を声高に、しかも胸を張って相手を打ち負かす・・そんなものだと思っていた。
評価でこの作品を5点としたのは、こんな素晴らしい作品は小説というより珠玉の教養本としてさらに広まっていってほしいと渇望するからである。
ディスカッションに登場する高校生8人は肯定論者も否定論者も多種多様~ある意味これこそ地球の現状(もっともごくごく一部)であることを当たり前として認識させられる。
高校生でありながら、ネット世代らしく、知識が豊富で読んだ事によって私も目から鱗が落ちた思いだった。
戦争の世紀20世紀に起こった事象を簡略に、しかも周辺事情を交えつつ述べて、自己の在り方をプレゼンする彼彼女らに圧倒された・・しかも何という抑えた口調。
狂言回しになっているメイの視線が初々しさの中にも徐々に気持ちが盛り上がっていくのが読み取れる。
小手毬氏の作品は在アメリカに置いての日本を見つめる作品の視点が好きでたまに読むが偶然手に取ったこの1冊、時間的にも有意義な宝物に合えた気持ちが強い。
孫が中学生になって読んでくれたらな。。