成長なき時代のナショナリズム (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 72
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040820477

感想・レビュー・書評

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  • ほぼ同世代の著者。
    書かれている、ほぼすべての内容に完全同意できる。
    というより、感覚としては、自分が言いたかったことが、根拠をもって、しっかり整理されて著されている。という状況に近い。快著。

  • ナショナリズムという言葉は、太平洋戦争時に広まっていた「天皇陛下万歳」や「お国のために」と繋がっていそうで、少し忌避の気持ちがあったのだけど、本書を読んで少し変わった気がする。
    しかし、昨今蔓延る保守層の「他国を貶めて自国を誇る」風潮は如何ともしがたいし、あまり耳に入れたくない論旨だ。

    本書で少し変化した意識と共にYouTube等で配信している保守系番組をチラ見しつつ、現在の(マインドの質の悪い)保守層がどう変わっていくのか、それとも変わらずに行くのかを見ていたい。

    追伸
    とても面白く読み進めていたが、ベーシック・インカムへの基礎理解が無かったので、もう少し知恵をつけたらまた再読したい。

  • なんで急に話がある領域に深入りしたり、別のところにいったりするのかなと思っていたんですが、それは日本人が解釈する、急進的な右翼を意味するようなナショナリズムというフレームでは社会問題を語ることができないためで、個別の問題はそれとして議論すべきだろう、という考えに基いているからなんじゃないかと思います。ベーシック・インカムが日本においては労働条件の悪化からもたらされた啓発て感じもするんですが、その結果が相反する新自由主義と思想が近似するところは皮肉なもので、そりゃアフリカやアジアに先行投資しますね。

  • 各地で叫ばれるナショナリズムについて分析した上で、その対策にまで踏み込んだ1冊。
    ナショナリズムの原義からすれば、リベラル派もナショナリズムであるという主張に納得させられた。また保守派とリベラル派でナショナリズム含め、議論になぜズレが生じるのかということにも触れられているのがよかった。
    ナショナリズムを分析したあとは、おきまりの低成長時代はどうすべきかという議論になるが、他の本と比べ、特に目新しい点はない。ただ日本政治の動きと連関づけられて語られてる点で、他の本と少し違うと感じた。
    ベーシックインカムの是非についても、労働からの解放は果たして善なのかという問いを投げかけているところが興味深い。
    オーウェルの1984年を読んだ後に、この本を読んだのだが、機械化、グローバル化が進み、供給過多を回避するためにどうすればよいかというのが現在の先進国における問題である。それへの悪い方向での解決策を1984年はある意味提示しているといえ、あらためてオーウェルの先見の明を感じざるを得ない。

著者プロフィール

萱野 稔人(かやの・としひと):1970年生まれ。津田塾大学総合政策学部教授。哲学者。早稲田大学卒業後に渡仏し、2003年、パリ第10大学大学院哲学研究科博士課程を修了(博士・哲学)。専門は政治哲学、社会理論。著書に『新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか』『名著ではじめる哲学入門』(ともに、 NHK出版新書)、『暴力はいけないことだと誰もがいうけれど』(河出書房新社)、『暴力と富と資本主義』(KADOKAWA)、『死刑 その哲学的考察』 (ちくま新書)、『リベラリズムの終わり』(幻冬舎新書)ほか多数。

「2023年 『国家とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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