- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041007419
作品紹介・あらすじ
春の名残が漂う頃、隠れ宿「左近」の桜蔵に怪しげな男が現れ手渡した「黒面を駆除いたします」というちらし。桜蔵は現ではないどこかへ迷い込む……匂いたつかぐわしさにほろ酔う、大人のための連作奇譚集。
感想・レビュー・書評
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左近の桜シリーズ2作目。
人ならぬ妖しきものを惹きつけ、この世の限りに交わりを求められる体質の桜蔵。
1話20ページ足らずの12編のなかで「灰かぶり」「雪虫」「ヒマワリ」が好き。
私の物覚えが悪いのもあるけど、読んだうちからふわりと消えてしまう。半分くらい夢のようなそんなお話たちです。
最後、父・柾に引っ越してくるよう鍵を渡されたのにはドキドキ。3作目に続きます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
桜蔵の友人が登場したり一緒に行動したり、前作よりも現実の濃さが増している印象。一方であやかしたちの要求もあからさまな度合いが強くなっているような。
それでも花木の匂いや装飾の手触りまで感じられるような情景描写や、幻想的な雰囲気は変わらず、淡々としていながら艶めいていて、酔いしれてしまう。
一面に菊の花がふくらみを持たせて縫い込まれている書物なんて、ため息が出そうだ。 -
また変なやつにからまれて、脇が甘いな。。。とは思うが、色々なことが少しずつ明らかになって来て先が気になる。
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再読。
こんなところで終わっていたんだと再確認。桜生さんとは何者? -
少年でも大人でもない、(長野まゆみ作品の中では)不安定な年齢を扱っていたこの「左近の桜」シリーズだが、本書の終わり、つまり高校卒業と同時についに桜蔵も1人の男となった。
柾の魅力がすごすぎてそれ目当てだけでもこの本を読み進められる。流されるままにされる桜蔵もなかなか面白い。現実では、自分に起こる様々なことにこうも淡々としていられない。 -
前作より面白いと感じたのはこの世界観に慣れたからかな…?次はどんな妖に出会うのだろうとわくわくしながら読み進めていた。(2023.8.)
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解説者が「桜蔵は、現実に起きる生々しい悩みを背負わず、しかも、妖かしの世界で、男たちから接触されても、ディープな肉体関係を持つには至らない。口を重ねあうといった、淡い段階で終わる。」
「キスは知っているがそれ以上を知らないという、微妙な年齢を生きる者たちは、知る手前の、池のほとりで、深く感じ、震えている。」
と語っていて驚愕した。
私はてっきり、著者が靄に霞めているだけで、桜蔵と化生の男たちは一通りの行為を済ませているものだと思っていたから。
桜蔵の意識が途切れている間のことは、『ご想像にお任せします』と言わざるを得ない内容だと解釈していたから。 -
2021/04/19 読了。
感想は某所のブログで書いたものの再掲です!
・長野まゆみの主人公の巻き込まれ体質の少年は良い。大変にかわいらしい…… -
いつまでも桜蔵くんに成長がなくて虐げられてばっかりなのでつまんなくなってきた。
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学生(らいすた)おすすめポイント
『長野まゆみ先生の現代をテーマとした幻想譚シリーズの2作目で耽美な作品が好きな人にはおすすめ』
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https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/645238