ラスト ラン (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041011775

作品紹介・あらすじ

「残された人生でやっておきたいこと」 74歳のイコさんの場合は、五歳で死別してしまった岡山にある母の生家まで、バイクツーリングをすることだった。そこで出会ったのは、不思議な少女で……。

感想・レビュー・書評

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  • ファッションデザイナーだった74歳のイコさん。人生の「ラストラン」と銘打って、赤いバイクを買い、ライダーススーツに身を包み、幼い頃亡くなった母の故郷・岡山を目指す。母の生家である古い家屋で会ったのは、12歳の少女のゆうれい…。
    角野栄子さんの自伝的小説「トンネルの森1945」を読み終えた後で本書の存在を知った。「トンネル…」では幼い少女だったイコ。またイコが登場する作品を読みたいと思ったのがきっかけである。
    思いがけず、幽霊の少女ふーちゃんと旅することになるイコさん。屈託ない、実にマイペースなふーちゃん。道中、他のゆうれいと会い、思い残していることを探っては心置きなく旅立つための手伝いをする。ファンタジーではあるが、あちらとこちらの壁は存外薄いものかもと思い知らされる。
    何より、バイクを颯爽と乗りこなすイコさんのカッコよいこと!すごくいい意味でエイジレス。歳を重ねることで自ら限界を決めちゃうのはナンセンスだなと思わされる。
    ちょっと風変わりなロードノベル、読者もイコさんのバイクの後ろに乗せられた気分で、物語がどこにいくのか想像が付きそうで付かない。その振り回され感もまた楽しいというか。ある「ねじれ」現象により、振り回されるイコさんが年相応に見えない、むしろ失われた「娘」ポジションを旅の過程で取り戻していくように見える。
    角野さんの分身「イコ」登場作品、シリーズというわけではないから設定に若干の違いはあるものの、自伝的作品ということで共通する部分はある。角野さんの歩みの点と点を結んでいくようなつもりで、またイコ登場を楽しみに待ちたい。

  • 全身革のライダーススーツに身を包み、バイクを乗りまわすこんな74歳がいたらカッコいいけど、角野栄子さんのどこが自伝的なんだろ?
    角野栄子さんのファッションが好きで読んでみたけれど。

  • 子ども時代の母親と出会って旅をするなんてワクワクする!ラストランを楽しむイコさんもかっこよかった。
    ただ、ラストがどうもしっくり来ない。
    で、この先どうなるの⁈

  • お母さんとの思い出を探しに行くおばあちゃんの話。お母さんが昔の家のおばけちゃんになっているなんて展開が可愛い。しかもなかなか破天荒少女のおばけ、自分のお母さんの少女時代見てみたいなぁ。

    最後もこれからもおばけと暮らせるという展開がめでたしで良かったな。

  • 何歳になっても平凡な毎日から抜け出したくなるのだろう。
    いつもと変わりない風景も何か毎日変化している。だから平凡の毎日などないのかもしれない。
    そんな事を感じました

  • 年をとっても、楽しいことはたくさんある!
    人生楽しまなきゃ!と、思える本です。
    角野栄子さん、好き。

  • 思っていたものと違いました。
    バイクに乗って颯爽と旅に出るなんてカッコいいですよね。
    早くに亡くなった母親との思い出をと旅に出るんだけど、最後はなんだかよくわからなくなりました。

  • ふーちゃんにあってみたいなあ。
    バイクはカッコいいと思っているので、物語の中の幽霊みたいに憧れながら読みました✨
    バイクでもなんでも、前に進んでいく。おばあちゃんでも、幽霊でも。

  • 伝えられなかった気持ち、解けなかった問題、素直になれなかった自分。過去はどうあれ今ならきっと向き合えるはず。角野センセイが描くおばあちゃん・イコさんに、「自分も道半ば」と気付かせてもらいました。

  • ムスメが面白いよと薦めてくれた一冊。
    峰不二子ばりのスタイルでバイクを乗り回す74歳のイコさん。ラストランに選んだのは、幼い頃死に別れた母親の生家を訪ねる旅。

    角野栄子さんの自伝的小説だそうで、作中のイコさんと同じく、エイコさんも実際に5歳で母親を失くしているそう。
    お母さんに会いたいという思いを、こんなステキな形で実現させるとは、さすが『魔女の宅急便』の作者!

  • ラストは嫌いじゃない終わり方でしたが
    途中幽霊のふーちゃんが誰に見えて誰中見えてないのか?わかりにくくて入り込めなかった

  • 人の縁、想いというものを押し付けがましくなく考えさせられた。この手の話の、よくある筋に沿ったり沿わなかったり具合が絶妙で飽きることなく一気に読めました。
    途中、自分が絶対失いたくない存在を持ってしまっていることが哀しくなったけれど、最後まで読むとやっぱりその存在があって良かったなと思えました。

  • 作者らしい語り口。でもそれが私の好みではない。自分の母親である女の子の幽霊と出会ったあと、他の幽霊たちも見えるようになって少し面白さが増した。しかし、最後、女の子が去ろうとしているのを引き止めてしまう主人公にはまったく共感できない。

  • 主人公は74歳のおばあさん。YA向け作品で主人公がおばあさん、ファンタジーはあまりないと思います。それにおばあさんが「もう一度、バイクツーリングで思っきり走りたい」と人生最後の旅に出かけるというのもかっこ良くて、いったいどんな旅になるのかワクワクで一気に読むことが出来ます。

  • 74歳になったイコさんが導かれるように出会った少女は、5歳の時に死に別れた母親だった。そんなプロットを聞いて読む前からグッときていたというのに、読み始めてどんどん期待というか予想は裏切られていく。決して悪い意味だけでなく。
    角野栄子さんという人はとことん陽性の人なのだろう。
    イコさんの一人語り的なスタイルで軽妙に話は進み、クライマックスで遂に母として向かい合う場面。なんとイコさんの母への思いは軽く裏切られるのですが...
    それにしてもなんて前向き!
    でも、やっぱり母は母として見送った方がよかったのでは、と少し思いますが、どうでしょう?角野栄子作品、初めて読んだのでこれがこの方のテイストなのでしょうか?

  •  74歳のイコさんが人生最後の大冒険を決意。
     真っ黒なライダースーツに身を包み、
     真っ赤なオートバイを走らせる。
     250CCのオオタで、イコさんのラストランの始まり、始まり。
     で、どこへ?
     はたと困った時、目に着いた母親が12歳の時の写真。
     そうだ! 
     幼い頃に死に別れてしまった母親の生家がある岡山をめざそう。

    元気としかいいようのない高齢者のイコさんの姿に
    そうだ、そうだ、残り少ない人生楽しまなきゃ。
    頑張れ、イコさん。と応援しながら読める作品だ。

     めざす母の生家は現在もあったが、
     そこで、12歳の少女の姿をした母親の幽霊と出会う。
     なぜか気があった二人は、そのまま一緒に旅に出ることに。
     イコさんと幽霊のお母さんは、
     この世に心残りがあってあちらの世界へ行けない
     幽霊たちに次々と遭遇し、
     幽霊たちの心残りを解決してあげるはめに・・・。
     でも、自分たちはいつまでも一緒にいたいと思うようになる。

    『魔女の宅急便』の著者が贈る自伝的小説ということだが、
    ミステリー感がいっぱいで、
    それでいて、心があたたまる不思議な作品だった。
    ほうきがオートバイに変わり、
    魔女が高齢のイコさんになったような・・・。
    ほんわかとした読後感、
    最後まで魔女宅の世界感が楽しめた。

  • 元気なおばあさんのイコさんのラストランのバイク旅行にわくわくします。

  • 74歳のイコさんが5歳の時に死別した母親が、12歳の少女の姿で幽霊となって現れる。この設定にまず惹かれました。
    母親を亡くした寂しさをぶつけようにも、相手は自分よりも年下の姿なので複雑な気持ちが沸き起こる。これを主人公を74歳にした所が面白い。そのため遥かに年下の姿の母親に対する気持ちも、少女への慈しみの気持ちが相まって、少女の恋心を見守る気持ちへと繋がるのですから。
    またイコさんもバイクをかっ飛ばす元気な女性の姿で描かれるのも素敵です。老人と言えど幽霊と言えど前に向かって進むのだ! という気概がいいですね。

  • 2014/3/30〔日曜日〕

  • 自伝を基に見事なガールミーツガール小説に仕立て上げる.小説でありながら,見事に未来を予感させる.瑞々しい筆致は流石です.

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著者プロフィール

1935(昭和10)年、東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、出版社に勤務する。25歳の時からブラジルに2年間滞在し、その体験をもとにしたノンフィクション『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』で作家デビュー。著書に『ズボン船長さんの話』『小さなおばけ』シリーズ、『魔女の宅急便』『ぼくびょうきじゃないよ』『おだんごスープ』『ラストラン』など数多くの絵本・児童文学作品がある。産経児童出版文化賞大賞、路傍の石文学賞、旺文社児童文学賞、野間児童文学賞、小学館文学賞、IBBYオナーリスト文学賞など受賞作品多数。

「2017年 『いろはにほほほ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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