インドクリスタル

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (541ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041013526

感想・レビュー・書評

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  • 文化も価値観も違う国での仕事のやり辛さをひしひしと感じる作品でした。高い純度の水晶を入手すべく奮闘する藤岡だが、出て来る関係者はみんな胡散臭く、NGO団体も当てにできず、誰が信用できるのかさっぱり判らない。そこに謎の少女ロサまで絡んできてぐいぐいと読み進めることができました。インド社会についてかなり調べてあり、労作、力作であると思います。でも、500頁超、上下段でわりと文字がびっしりと詰まっていて特に冗長とも感じなかったけど、読み終えて疲れました。長編、社会派どんと来いというタイプの人にはおススメ。

  • 3.5 カースト制度などのインド社会の闇の部分を生々しく書いており興味深く読めました。

  • すごい力作、おもしろかった。インドには行きたくもない。

  • 面白かった!!
    540ページ、二段組みの大作。
    人工水晶の製造開発会社の社長・藤岡は、水晶を求めインドの寒村に赴く。
    信義則や契約概念のない相手とのビジネス、謎に満ちた少女ロサとの出会い、先住部族と地主、カースト制度、男尊女卑、暴力、貧困、NGOなど、よくぞここまでインドを奥深く書いたと思う。
    日本はなんて平和で、平等意識がしみ込んで、性善説の国民なんだろうか。
    次々直面する困難、決して甘い話ではないが、展開が気になり、寝る間を惜しんで読んだ。
    (図書館)

  • ロサの存在感が凄いの一言。薄っぺらな人道主義とか平等主義とか人権意識なんかを嘲笑う、インドの現実。こちらの視点で見れば「過酷」「悲惨」だけども彼らにしてみれば、これが「普通」なワケで。中世かよ?と思うような価値観の中、自由を模索して抗うロサの生き様が印象的でした。

  • 面白かった。ロサの能力や存在感の描き方、さすがに上手い。ゴサインタン思い出した。

  • 常識と信じていることが、常識として通用しない世界がある。

  • ながい…完成度も高いし話も面白いけど、そんなに入りこめなかったなぁというのが正直な感想。

    多分、登場人物に感情移入出来なかったからかな?藤原は真っ当すぎるし、ロサも神秘的だけど、色んな意味で次元が違いすぎて感情を読むことは不可能に近いし笑。

    まぁそんなことを意図してる作品でもないのだけどね。流石ベテラン作家という感じの、玄人向けしそうは小説です。

  • 水晶の買い付けがこのように権謀術数,冒険大活劇,になるとは.インドに限ったことではないだろうが,商社の大変さがよく分かる.その上,インドのカーストや男尊女卑といった根深い格差社会,村と部族にゲリラまで登場し,問題山積みの小説.そこに,ロサという特異なの力を持った少女が,核として輝きを放って存在する.最後まで,彼女の真意がはっきりしないで,読むほうも引っ張られるが,最後の最後,ホッとしてページを閉じることができてよかった.

  • インドの奥地の高純度水晶と高知能を備えた部族少女の物語。

    日本実中小企業社長のクリスタルの発掘利用に焦点を当てると池井戸的作品にもなり得るほど、企業事情をしっかり調査しておられるようでした。
    インド奥地での冒険的悪戦苦闘に焦点を当てると船戸的作品になり得るほど、インドの内在している民族問題やNGO問題も臨場感のある描写がされていました。
    しかし、あくまで篠田作品足り得るのは、部族少女ロサの存在感と藤岡の日本人らしい思考での視点であると思います。
    藤岡からロサに対する淡き恋心らしきものや同情心は理解できたし、ロサの援助に対する拒絶姿勢には高潔な感じがしました。
    ただ、藤岡のロサに対する諦めの悪さはちょっと違和感がありました。
    それにしても内容も分量も重い小説でしたが、大変面白かったです。

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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