子の無い人生

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.18
  • (12)
  • (39)
  • (65)
  • (17)
  • (10)
本棚登録 : 491
感想 : 54
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041015568

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 子どもの仕事は、親の最期を看取ること。自分だけの領域を、子どもによって荒らされたくない。「可愛い子ども」しか可愛いと思えない。

    子どもを持つことに前向きになれない人に読んでほしい。共感する項目も多いです。

  • 『セックス・アンド・ザ・シティ』の主人公のキャリー・ブラッドショーという人の職業がコラムニストだったから、こういう感じのコラム(エッセイ?)を読むと、キャリーのことをたまに思い出すんだけど、酒井順子本人も自らをキャリーに重ねて心強く思っていたんだなあ。
     
    “戦中・戦後は、今とは比べものにならないほど、皆が貧しかった。それでも人々は結婚していたのであり、我々が今結婚しないのは、経済的理由だけではない。決して、「結婚できないのは社会が悪いから」と、責任転嫁はできない状況です。”(p.122)と書いてあったけど、今は「皆が」貧しくないから経済的理由になったりするんだと思う。
    皆が貧しかったらそれを理由に忌避されたり自信喪失につながらなさそうだけど(貧しいのが「普通」だから。)、正規・非正規とか分かりやすい身分格差になるとけっこうそれが効いてる人も多いと思う。

  • 独身で子供を持たなかった酒井さんの目線で書かれたエッセイ。「親が死んだ時のために子供は存在する」と書かれていたけど、ほぼ同意。介護、看取りなど自分の親じゃなければできないと思うこともしばしば。それにしても女性は男性と比べて未婚か既婚か、子供がいるかいないかで比べられるから面倒。日本だけかな。

  • ★断絶を消したいのか作りたいのか★子の有無が良し悪しではないと分かっているし、そう思うこともないが、なぜかこうした本を読むと余計に断絶を感じてしまう。沖縄で結婚しなかった女性は家の墓に入れないくだりが最も興味深い。民俗は思わぬ事象を浮かび上がらせてくれる。

  • 【由来】
    ・calilトップページ

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 子がいても「看取り要員」にすらならない家族もいるので、子あり人生は安泰かというとそうでもない。
    まぁそれでも、子がいるいないに関わらず、「一人でも安心して死ねる社会」ってのは理想ですね。
    センシティブな話題なのに、ユーモアを交えた軽妙な文章で書かれていて、ところどころクスッと笑わせられたり。普段から深くよく考えておられる人なんだなぁと。

  • 子供の世話にならずに老いたり死んだりするのは大変なんだなーと思った。子供がいないなら自分の老後と死後のプランをしっかり立てないと。

  • 酒井順子さんの本は『負け犬の遠吠え』を10年以上たってから読んでファンになり、以来新刊を追いかけて読んでいます。
    『負け犬』は「未婚、子ナシ、30代以上」ですが、今回は40代半ばを過ぎて「子どものいない人生」について語ります。

    私が彼女のファンなのは、まず面白くて笑えること。
    そして私自身どうも一途で思いこみが激しく、視野が狭くなる傾向にあるので、
    彼女のような人がいろいろなかたの意見を参考にし、今回についていえば沖縄やラオスでの取材もとりあげていて、勉強になるし、人間としても見習いたいと思っています。

    さて、今回思った絶対一番大切なこと。
    「子供に看取られ、子供に葬られなくても、誰でも安心して一人で死ぬことができる」
    100%近くの人たちが同じ気持ちでいるのではないでしょうか。

    とても良いビジネスになると思います。
    酒井順子さんは『ロボット娘』『ロボット孫』『介護ロボット』を想像されていました。

  • 子の無い人生なんて、何もそんな悲しい(とイメージしてるのは自分)タイトルの本読まなくたって。と思ったけど、立ち読みすると読みやすかったので。
    さすが酒井順子さん。
    沖縄の慣習や政治の時代、源氏物語に至るまで、時代を越えて女の価値を決めてきたのはひたすら、子どもがいるかどうか、ということを書いている。
    結婚しても子どもがいないと、グループ分けでは未婚子なしと同じ扱いを世間から受ける。
    じゃぁ、あの「負け犬」はなんだったの?
    というふうに、この10数年を振り返りつつ、酒井さんもアラフィフになられたことで、視点も変わったようです。

    男性より、女性の方が、子どもがいるかどうかで評価されてしまう世の中。生きづらいですよね。
    なんか、少子化問題単独の対策を立ててもどうにもならんと思うのよ。長時間労働とかね、非正規労働者とかね、待機児童とかね。女性活躍とかね、今は結婚して子どもがいてこそ、女性活躍のスタートラインに立てるみたいに言われて、なんで国はそんなハードル上げるんだよ、違うとこあげろよ(下げろよ?)と思ってしまう。

    あと20〜30年したら、子なし族の介護時代が到来するんだって。子どもを持たなかったことを「自己責任だ」と言われるんだろうけど、何も残さないシンプルさもあるのかもしれません。

  • どストレートなタイトル
    生涯子供がいないということについて性別、時代、カルチャーを越えて検証している
    今の日本では中々辛口かつ本音の滲み出た本。

    「下に見る心」を差別対象の前で決して出さないことが差別なき世の第一歩となるのではないか。
    40歳前後といえば女性にとって出産可能な最後の時期。そろそろ下腹部では蛍の光が聞こえてこようという年齢。という言い方がなんとも(笑)我々世代が高齢者となる頃は婆ではあるが祖母ではない人が大量に発生する。
    女性も頑張ればなんでも手に入るようになった時代。しかし、勉強やスポーツや仕事と同じように「子供が欲しい」と頑張っても容易に得ることは出来ない。出産前には「結婚」という関門が立ちはだかっており、その関門をくぐり抜けるには男性の同意を取り付けなくてはならない。そしてその結婚をするには「自分さえ辛い思いに耐えればどうにかなる方法」とは全く異なる努力をしなくてはならないので、矢折れ力つきる人が多い。

全54件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

酒井順子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×