子の無い人生

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041015568

感想・レビュー・書評

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  • ああ、なるほど、よく言い当ててるなと、思っていてもうまく言葉にできないことや、ああそうかという見方を発見できた。
    使う表現がところどころ面白いところがあったり。

    ”年賀状”のところで「私は子供がいない人のこと憐れんでいる」というトークを子なし族の前でするのはいかがなものかという指摘。
    下腹部では「蛍の光」が響いてこようという年齢という表現。
    ”孫・姪”では子なし族の最後はやはりお金なのかということ。
    ”土井たか子さん死去”の話。今の世の中では、仕事も家庭も子育てもちゃんとこなして、はじめてできる女性といわれること。
    それこそ土井さんは、仕事と結婚したと言っておられたが、今はそんな風に言っている人ほど、若手から煙たがられる。
    しかし、全部こなすのも並大抵のことではないし、女性にとって良くなっている社会なのか、そうでないのか・・・。
    そもそも、仕事も家庭も子育てもというロールモデルが日本に育ってこなかったのが少子化の一旦のような気もするのだが・・・。
    子なし族やシングルはお墓のことも考えておかないと。
    ”二極化する子沢山家族”、”宗教と子産み”もまさに言い得て。
    「できていない婚」も報道の仕方があってもいいのに。

    結婚するかしないか、子供を持つか持たないか(養子や里子などふくめ)最後は決めるのは自分自身、どう生きたいかということであると思うが、身近なロールモデル、結婚し子供をもつということを若いうちから家族で話すなど身近にしておかないといつまでたっても先延ばしになるのではないかなと。
    結婚し、家族をもち子供も育て充実した日々を送っている女性が増えると、それを見た若者も反面教師ではなくそうなっていき少子化も改善されていくのではとも思ったが、甘いかな。

  • 高齢になり体力経済がたちゆかなくなっても、社会によりかかるんじゃねーよ?てことだ。うん、わかってるよ。好きなことしか選んでこなかった、好き勝手やってきた。突然、弱者や被害者ぶるロウガイにはなりたくないと思っているよ、今はね。

  • 子なしの私にとって、まさにスポンジに水がしみとおるように、言葉が心に浸透していった。なるほど、その通りってなんど膝を叩いたことか。そしてさらに残酷なことに少子化を食い止めることが非常に難しい時代であることを痛感した。待機児童や児童虐待。子どもがいるからこその問題。じゃあ子ども産まない方が幸せだねって結論になる。かく言う私も「お子さんいないの?いいわねー」って周囲から羨ましがられるのだ。少子化には色んな問題を含んでいて、考え出すと夜も眠れない。そんな問題定義をしてくれた一冊。政治家にぜひ読んでもらいたいものだ。

  • 「負け犬の遠吠え」を発表後の著者のその後を著しながら、今日本でいわれる少子化問題について取材をし、著者の私見を述べている。
    最初のほうは結婚し子供を持った友人との関係が疎遠になっていく、話題があわない、時間がないといった結婚した人、子供を持った人、そして結婚せずシングルでいる人誰もが感じたこともある事実を著しており、共感はするが新鮮味はなかった。
    しかし、日本の少子化問題について言及しているあたりから、なかなか面白い内容になっている。日本の「家」「家族」に対する歴史的意識の変化は誰もが認識していると思うが、沖縄におけるそれは未だ古い家族制度と独特の文化があるということに驚かされた。
    日本の女性の高学歴化、男女の雇用が未だ不完全であるが均等になってきている現実、文化の変化等はなかなか一朝一夕には出生率アップにつながらないだろう。
    著者は結婚しないこと、子を持たないことで日本が少子化になっていることがそれほどいけないことなのかとも問うている。自分の老後を自分でまた国の援助制度が確立できれば何とかできる世の中になれば、それも「あり」なのかもしれない。
    また著者が引用した1981年に発表された田中康夫の「なんとなく、クリスタル」は当時は都会のある一部の特異な若者の姿ととらえられたが、その後の日本を見ているとまさに誰もが「なんクリ」なバブル期を過ごし、今に至っているように感じる。この作品の最後に既に日本の少子高齢化のことがほのめかされているのに、今更ながら驚かされた。2014年に田中康夫が発表した「33年後のなんとなく、クリスタル」は発表時話題になったが、私は読んでいなかった。酒井順子のこの本を読んで興味を持ち読んでみようと思う。

  • 2016.6.15読了
    「子供は看取り要員」のために産んだわけでもないし考えてもいなかったけど、私は親を看取り、子は私を看取るのかと思うと、やっぱり一人では死ねないのだなと考える。子供を授かってもこうはなるまい!と思っていたことも、普通にやっちゃってるのかもしれない。耳が痛い話もあり、考えさせられることもあり。(図書館)

  • もう自分は子どもを産むことはないなと自覚してからは、どうやって死ぬんだろうというのは常に心に引っ掛かっている重いテーマだったわけです。それを真摯に真っ向から語ってくれてホッとしたというか。言いにくいこともさらりと書いてくれていて、同じ気持ちの人がいてくれた、良かった、という気分。なにも解決にはならないのだけど。
    決して傷をなめ合う内容ではなく、今後起こりうる子ナシ高齢者の問題を社会問題として提起してくれているのはありがたい。

    いろいろ考えますね。望んで子ナシ人生を歩んできたわけでもないけど、いざ「人はひとりで死ねるのか」問題を突きつけられると、自分の過去を省みざるをえません。女性が自活する術を得て、男も女も未婚子ナシの人が増えている現状をふまえ、著者がおっしゃるように、国には子ナシ族がひとりで死ねる安心感を与えてほしいなぁと思う。

  • いよいよ中高年期に入ってきました。

    最期をどう迎えるのか、次の課題ですね。

  • 負け犬の遠吠えの続編⁈
    思ったより真面目な内容だった。
    なんだかんだで、酒井さん、よく勉強されてる。きっと、1人で死ぬ時代は来るのだろうな。
    20年後くらいにまた、続編が読みたい。

  • 367.3

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著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

酒井順子の作品

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