信長の原理

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041028384

感想・レビュー・書評

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  • 光秀〜同様、読みにくく、いまいち。今の日本人の感覚に近いやりとりで親近感は湧くのだが・・・

  • 読み応えあり!
    長編のなかに、万物の原理を織り込み、信長とその配下の武将の心の動きを読みとっているかのような傑作。満足です☆

  • 面白かった。後半は一気に読んだ。

    私は光秀が好きだから、半ばあたりから出てきてさらに面白かった。
    どう謀反(本能寺の変)へ至るか、それをどう書かれているのか、解釈したのかが興味深いところ。

    吉川英治の太閤記でも織田信長が書かれているかが、その時も織田信長はキライと思った。
    ブラック企業のトップという感じ。
    だけど、そういう人には魅力もあるものだ。

    蟻の2:6:2(1:3:1)の話は面白い。
    『光秀の定理』の時も確率の話が出てきて面白かった。

    “死に物狂いで働くか、それとも隠遁するかの二択”

    過去の謀反はその場で許されても、働きが芳しくなくなると追放されたり殺されたりする。

    必要な時は褒美もすごいが仕事を過労死しそうなぐらい与えて、ダメになってきたらすぐクビ。

    捨て駒。

    光秀は、一度は信長を討つことを決めかけたけれど、やめようと決めた。
    しかし、家老五人に相談をしてしまった。
    五人にも話したことから、いつかこのことが外へ漏れて信長の耳に入る。
    そうなればおしまい。
    だから、やめようと決心したのに、翌日には信長を討つことに流れが決まってしまった。
    運命の法則があるかのように…

    突出するものは叩かれ、また元に戻ろうとする。
    何の力かはわからない。
    神仏ではなく、何らかの力が働いている。

    こういう考え方は好きな方。
    世の中には誰もが疑問にあまり思わないことが多いのだと思う。
    何らかの法則の上に成り立っているかもしれない。

    普通、競争心(戦い)は、持ち続けるのがしんどい。
    人なら多少説明がつきそうなものの、蟻がそうなるのは、やはり何らかの法則があるように思えてならない。

    遺伝子で組み込まれているのかな。

  • どこまで史実に忠実なのかはよくわからないが、歴史小説としては面白かった。些末ながら、集団におけるアリの理論はわかりながらも、数人レベルにおいてもその考えに縛られるのはやや合理性に欠けるようにも感じた。とはいえ、とても面白い小説であることは間違いない。

  • 蟻の生態の観察から1対3対1の原理に気が付き,人間の働きの仕組みをそれに当てはめる.そういう風に意識してみると案外ぴったり収まるのが面白い.信長を軸に一人ずつ脱落者を出しながら本能寺の変へと進んでいく過程が,うまく騙されたように重なっていく.人間の心理描写に焦点を当てて戦いも調略も外交も暴いていく,こういう歴史の見方もあるのかと新鮮だった.

  • 「原理」とは働き蟻の法則なのか。
    本能寺で死を目前にした時になって信長が悟ったのは、
    生命を持ったものはすべて自分達の拮抗を常に維持しようとする復元力なのかと。
    優秀なものだけが存在する事を排除する。
    その力がどこから生まれるのか。
    自分の中で確信した「原理」を自力で打ち砕こうとして力の限り尽くしたが成し得なかったが神仏の存在を認めない信長としてはしかしそれを人知の及ばないところにあるものと認めざるを得なかったのではないか。
    曰く「天道」などと言われてきたもの。
    であれば今まで自分が行ってきた事が天道の前ではいささかの影響も与えず、原理は世の中を支配したままなのだ。

  • 信長の原理というタイトルからなにやら数学的なものを感じたが、いたって普通に痛快な信長もの。

    うつけと言われた信長には、自ら考える力があり、軍団を運用する理論にも自らが発見した原理があった。
    その原理に気づいた者たちは、信長の考えの奥にあるものを知る。
    そして、なかにはそれぞれの行動に移すものもあった。
    本能寺の変も、その原理につきうごかされたもののひとつであったのか。

  • 天下統一を目前に命を断たれた織田信長。独自の戦術と、明智光秀に討たれるに至った理由をからめた説を展開する。

    幼少期からの奇行で知られる信長が、蟻の集団を観察し、二割の働き者と六割の日和見と二割の怠け者に分けられることを発見し、自らの軍隊に当てはめて考える原理は興味深かった。が、それのみを軸にして最後まで押し通すのは、やや無理がある。
    前作『光秀の定理』のほうがおもしろく読めた。

  • 織田信長を描いた、オーソドックスな歴史小説。

    取り上げた定理は、10の個体が居れば、必ず、率先して生き生きと働く個体が2、漫然と働く個体が6、怠けてろくに働かない個体が2に別れてしまう、生き物の理。信長は、蟻を観察して2対6対2の法則に気づき、部下の働きにおいても、どんなに鍛練を積ませようとこの法則に抗うことが出来ないことに気づく。そして、働きの鈍った下2割の部下を、虫を踏み潰すが如く次々に切り捨てていくが…。

    2対6対2の法則に従って、主要な武将五人(羽柴、明智、柴田、滝川、家康。丹羽は既に脱落)の内から脱落し裏切るのは家康と睨み、暗殺を企てる信長だったが、家康ではなく、斉藤利三の切腹を命じられて退路窮まった光秀が反旗を翻した。

    信長は死ぬ間際に、「蟻も人も、働き者ばかりを集めては、やがて働かなくなり、逆に駄目な者ばかり集めても、やがては働くようになる」この世の理について、「他の生き物同士の拮抗を、常に均して維持しようとする。ある特定の生き物だけを、この世界に突出させない。それ以前の状態に絶えず戻そうとする」無言の圧力がこの世界を覆っているのだと気づく、というオチ。

    2対6対2の法則はともかくとして、歴史小説として読み応えがあった。

  • 垣根氏時代ものは読んでいるが
    これも非常によい作品だった
    ぐいぐい引き込まれていく
    人間の描写力がくどいくらいに細かい
    人間だけではないな…
    そこが この著者の魅力でもある
    次の作品も時代物だろうか
    おおいに期待する

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著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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