砂上

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 403
レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041046005

作品紹介・あらすじ

空が色をなくした冬の北海道・江別。柊令央は、ビストロ勤務で得る数万円の月収と、元夫から振り込まれる慰謝料で細々と暮らしていた。いつか作家になりたい。そう思ってきたものの、夢に近づく日はこないまま、気づけば四十代に突入していた。ある日、令央の前に一人の編集者が現れる。「あなた今後、なにがしたいんですか」。責めるように問う小川乙三との出会いを機に、令央は母が墓場へと持っていったある秘密を書く決心をする。だがそれは、母親との暮らしを、そして他人任せだった自分のこれまでを直視する日々の始まりだった。自分は母親の人生を肯定できるのか。そして小説を書き始めたことで変わっていく人間関係。書くことに取り憑かれた女はどこへ向かうのか。

感想・レビュー・書評

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  • なんだか、ものすごい小説を読んでしまった・・・
    主人公は小説家の女性。
    女性編集者とともに一つの小説を生み出すまでの物語が描かれているのだが、
    小説を書くというのは、こんなにも凄まじいことなのか。。。
    書くべきものと書かずにはいられない性を持ってしまった主人公と、
    辛辣な言葉のナイフで容赦なく切りつけて来る編集者とのやり取りは
    読んでいるこちらまでも思わず傷ついてしまいそうなくらいでした。
    こんなにも作家としての手の内を明かしてしまっていいのかしら・・・と心配になるくらい
    小説家になりたい人が読んだら指導書代わりになるんじゃなかろうか。
    女性のしたたかさ、逞しさ、誇り高さに同性として胸を張りたくなる物語でした。

  • 作家志望の中年女性のお話。優秀な女性編集者に出会い物語を創っていく過程がリアルに描かれて楽しめた。自分の過去に向き合いながら小説という虚構を創造する過酷さと醍醐味。主人公と母娘とのお話も良かった。

  • 柊令央は、ビストロでのバイト代と元夫からの慰謝料を生活費にし、母の残した家でぎりぎりの生活を送っていた。ある日、令央のもとに投稿作品を読んだ女性編集者が訪ねてくる。主体性なく生きてきた令央だったが、何度駄目だしをされても小説を書き続けるように。。。
    令央が小説を書きつつ、自らの人生を見直す過程が面白かった。桜木さんは、女性の情念のようなものを描くのが本当にうまい。ミステリーにもなりそうなネタではあったかな。

  • 今まで同様、北海道の痛いほど冷えた空気、薄暗い景色が思い浮かぶ情景の中、女の人たちのそれぞれの生き方が描かれている。

    最後がストンと落ちなかったけれど…

  • 北海道に住んでいる40代の女性が細々と生活しながら小説家を目指す物語。
    物語は淡々としていて上がり下がりがない展開。
    女性向けの作品。人間関係が結構リアルに描かれていてラストのビストロのお母さんとのやりとりはリアルな展開だと感じた。

  • 本に遠ざかっている期間でも、
    桜木さんだけはグイグイ小説への匂いを
    運んで来ます。
    そういう存在の作家さんです。

    他人事には思えない所が
    数々あり、何度もページを戻しました。

    それは、シーンとか台詞という単純なものではなく。

    生々しさ。

    普段の生活で時に、もしくは度々現れる
    鈍い感情や、腐敗臭のするような虚栄心。

    それを物語を通して、突き付けてきました。

    読後感がすっきりしたことは一度もないけれど
    いつも視界を重くするような、
    いつまでも本の触感を手に残すような
    そんな、体に残る文章。

  • 「主体性のなさって、文章に出ますよね」
    「大嘘を吐くには真実と細かな描写が必要なんです。書き手が傷つきもしない物語が読まれたためしはありません」
    「わたしは小説が読みたいんです。不思議な人じゃなく、人の不思議を書いてくださいませんか」
    「文章で景色を動かしてみてください。景色と一緒に人の心も動きます」
    「現実としては誰も、柊さんの私生活には興味がありません。あなたは芸能人でも政治家でも、有名人でもない。だからこそ求められるのが、上質な嘘なんです。」

    小川乙三語録。

    小説家の裏側を覗けたようで、本好きには嬉しい、フィクション。

  • 第七回新井賞受賞作品
    いままでの桜木作品の中で一番好き。
    女の強さとしたたかさに痛さがないからか。母と娘と娘、三人の女のそれぞれの人生。男の入る隙間のないその人生に粘着きがないのは彼女たちがそれぞれに人間関係に乾いているからか。
    人を頼らず、人にもたれず、人をつつまず。流されているようでなにものにもひっかからないのはあるいみ自立しているからなのか。
    作り物として物語を紡ぐことで、自分と母親の「生」をなぞることで、ようやく娘との距離も定まったか。そしてもう一つの女のドラマも見え隠れしてそこも気になる。

  • 作家志望の中年女性が、やり手の編集者に見いだされ一冊の小説を書き上げる過程で、自分と家族との関係に向きあい人間としても一皮むけていく姿を描く。

    目の前の出来事を淡々と受け止め、他人と深く関わろうとしない主人公は、自分の母親とも娘とも本気で向き合おうとしない。当然、そんな彼女の書く作品には深みがない。
    編集者の厳しい指摘で自分の内面にメスを入れるようにして書く姿は痛々しく、息苦しいほど。が、真剣に家族と向き合い自身を見つめることによって、主人公をおおっていた幕のようなものが剥がれ落ち、終わってみればむしろ軽やかになっていることが救いだ。

    様々なタイプの作家がいるけれど、作者自身が彼女のように身を削って作品を生み出すタイプに思え、作家稼業の厳しさを思い知る。
    年末を締めくくった一冊。

  • 図書館で借りた本。小説家になりたい中年女性が作家デビューするまでの話で、女性編集者のアドバイスを通じて自分の生き様、母や妹との関係を題材にして小説を書き上げる。心には響かない話だった。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。07年、同作を収録した『氷平線』で単行本デビュー。13年、『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞を受賞。『氷の轍』『裸の華』『霧(ウラル)』『それを愛とは呼ばず』『起終点駅(ターミナル)』『ブルース』『星々たち』『蛇行する月』『ワン・モア』『誰もいない夜に咲く』等、著書多数。

「2017年 『砂上』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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