アリハラせんぱいと救えないやっかいさん

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041047590

感想・レビュー・書評

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  • 「変人」に憧れる気持ちはわかる。
    人とは違う特別なものを持っている気になれるから。
    私も変人と仲良くしようとしたことがあるし、自分自身も変人になろうとしたことがある。
    中二病なんかもそれらのうちに含まれるのではないか。
    そう考えると、多くの人が少しは理解しやすいはずだ。

    右にならえがよしとされた昭和の時代から、平成に入って個性が注目されオンリーワンという言葉も流行った。
    ところが最近はそれが行き過ぎて個性がないと人ではないというようなところまできていて、就活では「あなたの特技は?人と違うところは?」と聞かれる。
    答えられなければ、社会に受け入れてもらえない。
    若者が自分を演出するようになったことにはそういう背景がありそうだ。

    でも、だんだんと年を取ってくると、変人もしくは変人ぶろうとする「やっかいさん」の突飛な行動に振り回されることに疲れて、普通の人を求めるようになる。
    もうその域に達してしまった私には、登場人物全員の行動があまりに過激で好きになれなかった。
    結局みんな自分勝手で、自分の行動が人を傷つけるということに気づいていない。
    終盤のわだかまりがありながらもアリハラを追い続け、文句の一つも言えないコドリにはいらいらしたし、その後の超展開の結末にも納得がいかなかった。
    そうはならんやろ、と突っ込みたくなった。

    文章は人気の個人Webブログみたいだ。
    丁寧語だったりそうじゃなかったり、言葉遣いがころころ変わる。
    体言止めが多いこともライトノベルとかブログの文章の特徴だろうか。
    体言止めが多いとリズム感がよくなることはあるだろうが、箇条書きのように見えてきて全体のまとまりは悪くなる。
    読みやすく読ませる文章ではあるのだが、言葉が崩れていて文芸という芸術の枠には入らない。

    著者は私と同じ北海道出身で、物語の舞台でもある北海道大学を卒業している。
    今回はあまり好きな作品ではなかったが、物語中に札幌市内の様子が描かれるとやはり少しワクワクする。
    もう一冊くらい読んでみようか。

  • 地元が舞台の小説なので読んでみた。
    う~ん。
    若い子ならすんなりと読めるのだろうか?
    イマドキの若者の話言葉が多く、中年オバサンにはひっかかるものがある。
    やっかいな人々を巡るお話で、結局は“友達ってイイネ”ってことなのだろう。
    学生にはオススメ。

著者プロフィール

1988年北海道生まれ。北海道大学文学部卒。2015年『厭世マニュアル』で第6回野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。他の著書に『アリハラせんぱいと救えないやっかいさん』『ウチらは悪くないのです。』がある。

「2019年 『行きたくない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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